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23-22.そっくり

 私達はコアを回収し、ハルちゃんが掌握するのを待ってから、次に指定された地点に転移した。



「今度はラピスちゃんの時とは全然違うのですね」


「そうね。まるでハルちゃんみたいだわ」


「!?!?!?」


 相変わらず転移先は幼女の眼の前だった。

もとい、ダンジョンボスの眼の前だった。


 今度は黄色っぽい髪とドレスの幼女が、鼻歌混じりで足をパタパタしながら寝転がっていた。

幼女は突然現れた私の存在に気付くなり頭を抱えて震えだした。


 なんで三原色なの?

何で性格に個性まであるの?

ダンジョン生み出した存在の趣味なのかしら。

ニクスが教えてくれないから、いるのかは知らないけど。


 ともかく仲良く出来ないかチャレンジだ。

別に口説いてるわけじゃないよ?


「突然ごめんね。

 少しだけお話しさせてくれないかしら。

 大丈夫よ。危害は加えないから」


 私はしゃがんで視線の高さを落としてから語りかける。

そのまま震える幼女から反応があるのを待つ。



「…………だれ?」


「あなたのママの恋人よ」


 我ながら妙な自己紹介だ。

この子には正しい意味での母親等存在しないのに。



「ママ?」


「そう。

 ママに頼まれてあなたを迎えに来たの。

 だから安心して。

 私はあなたの味方よ」


「…………ほんと?」


「ええ」


「…………ころさない?」


「もちろん。そんな事しないわ」


「…………こわくない?」


「うん。こわくない。

 ちょっと力は強いけどね」


「…………ちょっとじゃない」


「そうね。ごめんね。

 怖がらせたいわけじゃないんだ」


「…………そっか」


「信じてくれる?」


「…………」


「ごめんね。そんなの無理よね。

 初めて会ったのだものね。

 抱っこしても良い?」


「…………」


『アルカ様?

 いきなり話題が飛び過ぎでは?』


『ハルちゃんの時はこれでいけたの……』


「…………いいよ」


 !?


『……』


 レーネ?


 私はダンジョンボスを優しく抱いて座る。

ハルちゃんの時を思い出すわね~。


 暫く話しかけずに背中を撫で続ける。

少しずつ力が抜けていき、私に体を預けてくれる。



『ハルちゃん。一回落ち着かせる為に血を飲ませるけど、契約は待ってくれる?』


『……しょうち』


 ハルちゃんから渋々返事が返ってくる。

私が優しくしすぎてるのが面白くないのかしら。

それとも、自分の時の事を思い出しているのかしら。



『きにしない』


『は~い』


「お腹すいてる?血飲む?

 私の血はママも好きなのよ~」


「…………いいの?」


「うん!

 はいどうぞ」


「…………ありがと」


 私が差し出した指を咥えて血を飲み始める。

一生懸命で可愛い。



『スケコマシ』


『今晩ハルちゃんにもやってあげるわ』


『まだむり』

『サナたちきけん』


『じゃあ、今度ね。

 久しぶりに好きなだけ血も飲んでいいからね』


『うん』

『ならゆるす』


 許された!



『この子も可愛いですね。

 少し羨ましくなってきました』


『レーネ。ごめんね。また今度ね』


「……ママ」


 私の指から口を話したボスちゃん(仮)が口を開く。



「ママ?」


「……ママがママがいい」


 私がママになって欲しいって事?



『…………』

『……なんで?』


 さあ?

懐かれたみたい。



「じゃあ、あなたに名前をつけても良い?」


「……うん。うれしい」


「あなたの名前は、なのは。

 どう?気に入ってくれる?」


「…………ナノハはナノハ」


「…………うん。いい」


「そう!良かったわ!

 それで、ナノハをこのダンジョンから出してあげたいのだけど、私と契約してくれる?」


「…………うん。する」


 この子はハルちゃんと同じ様に、ダンジョンを守る意思が弱いのかな?

意外とすんなり決断してくれた。



「ありがとう!

 じゃあ、また血を飲んでくれる?」


「…………うん」


 再び私の差し出した指を咥えるナノハ。

前の二人と同じ様に、体が光に包まれた所で闇の霧に取り込まれて私の体の中に消える。



『これでいい』

『コアもわすれない』


『は~い』


 私はまたダンジョンコアを取り込んで、ハルちゃんの掌握を待つ。



「これで全員なのですよね?」


「そうよ。もう少ししたら帰りましょう」


「またセレネが怒りますね」


「今回は違うんだけどなぁ……」


「いつも似たような事を言っているではありませんか」


「しんらつ……」


「自業自得でございます」


「うぐぅ……」

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