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23-19.マスター

 お昼を食べた後は訓練に参加しようと思っていたけど、急遽レーネと二人で人魚の国に行くことになった。

少し話したいことがあると、人魚の王様から呼び出しを受けたのだ。


 ちなみに午後の訓練は、結局個別メニューになった。

アリアはお姉ちゃんから魔法の基礎を教わり、

ルカはノアちゃんと引き続き覚視の訓練。

リヴィはニクスが魔力と神力の使い方を教えている。


 私は支度を済ませてレーネと共に、人魚の国のレーネの部屋に転移する。



『では、アルカ様。参りましょう』


『いえ、それより私は待っているから、少しくらいは久しぶりの家族水入らずを楽しんできたらどう?』


『……そうですね。では少しだけ。

 お心遣い感謝します。アルカ様』


『ううん。少しなんて言ったけど、ゆっくり楽しんできて。

 ハルちゃんもいるから、待っていても退屈はしないわ』


『ふふ。では行って参ります』


『いってらっしゃ~い』


『アルカ』


『どうしたのハルちゃん?』


『サナはなす』


『私と?

 もう大丈夫なの?』


『うん』

『はなすだけなら』


『マスター』


『どうしたのサナ?

 マスターって私?』


『他の呼び方がお好みでしょうか』


『いえ。なんでも良いけれど』


『ならマスターと』


『ちゃんと説明しないで契約してしまったけど、認めてくれるの?』


『はい。ボクのマスターになってくれて感謝します。

 オリジンにより、コアの呪縛は解除されています』


 オリジンってハルちゃんの事?。



『ママって』

『よんでくれない』


 呼ばれたかったんだ……



『オリジンは母ではありません』


『拘りがあるのね』


『つぎのこ』

『きたい』


『探すの?』


『ぎゃくたんした』

『あとふたり』

『うまれた』


『オリジン。今はボクの話しをさせて下さい』


『しかたない』


『しれっと聞き捨てならない事言ってたわね。

 まあ、後で迎えに行くとしましょう』


『うれし』


『マスター。

 ボクに何を求めますか?』


『?突然どうしたの?

 別に何も無いわよ』


『求めて下さい。存在理由が欲しいのです』


『せっかくダンジョンから開放されたのになんで?』


『オリジンから共有された知識によって、マスターの疑念の意味はわかっています。

 けれど、ボクは指標が欲しいのです。

 あの空間は窮屈でしたが、この世界は広すぎます』


『じゃあ私達の為に生きて。私の一部になって』


『謹んでお受けいたします』


『アルカ……』


『だってハルちゃんは私の一部なのよ?

 ハルちゃんが面倒見るなら私のものでしょ?』


『もう……』

『しらない』


『どうしてハルちゃんがへそ曲げるの?

 ハルちゃんが契約しろって言ったんじゃない』


『アルカのなか』

『ハルのばしょ』


『追い出す気だったの?』


『……』


『オリジンが拒絶するならば外からマスターを支えます』


『いい』

『サナもここすむ』

『へんなこといった』

『ごめんなさい』


『ううん。何かあるなら我慢せずに言ってね。

 ハルちゃんが私に独占欲を持ってくれるのだって嬉しい』


『うん』


『ふふ。ハルちゃん可愛い』


『サナはマスターの好みですか?』


『え?』


『なるほど。外見は問題ないようですね。

 話し方を変えて欲しいとも思っているのですね』


『誘導尋問?』


『サナみじゅく』

『ハルみたいに』

『きおくたどれない』


 前にニクスがやってたみたいに表層しか読めないから質問で私の思考を引き出したようだ。

地味にニクスにすら出来ないことをやってのけるハルちゃんパない。



『マスター。

 これからよろしくなのです。

 マスターとオリジンの為に精進するです』


 なんか妙な話し方になった。

これから試行錯誤するって事?


 あとハルちゃんにもそれなりに感謝してるのね。

まだパスが完全じゃないからハルちゃん以上に曖昧だけど、なんとなく伝わってきた。

無理やり拐ってきてしまったのに純粋な子だ。



『まあ、ともかく今はゆっくり休んでいてね。

 ハルちゃんが側にいるから問題はないでしょうけど』


『感謝です』


『サナ』

『すこしねむらせる』

『しばらくはなしむり』


『わかったわ。ハルちゃんはどうなるの?』


『アルカとだけ』

『はなせる』

『ハルのほんたい』

『こころのなか』


『そとへのかんしょう』

『むずかし』


 ハルちゃんが丸ごと心の中の世界に入ってるから外への干渉が難しいの?

確かに今は、普段のハルちゃんが私の体に溶け込んでいるような感覚が無い。

サナに集中しているからだと思っていたけどそうじゃなかったのか。


 普段は心の外と中に別れて溶け込んでいたから外部に干渉できたの?


 でもニクスは心の中だけで普通に念話してたわよ?



『あれでもかみ』

『とうぜん』


 左様ですか。


『なら深部に行けば直ぐに済むんじゃないの?』


『むり』

『サナつれていけない』


 なるほど?

やっぱりよくわからない。

まあ、ハルちゃんが言うならそうなのだろう。



『のこりのふたり』

『はやめにほしい』

『いっしょにすませる』


『本気で迎えに行くの?

 そんなにママって呼ばれたいの?』


『ちがう』

『おバカ』

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