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23-13.仕切り直し

「お姉ちゃん。心当たりは?」


「違うわ!私じゃない!」


「ここに出てくる魔物達って、なんらかの形で死にづらいものよね?

 お姉ちゃんがハルちゃんを生み出したのと同じような事を考えた人でもいたのかしら」


 再び隊列を調整して進み始めた私達は、何度か魔物とも遭遇した。

その魔物達はどれもが簡単には倒しきれない特徴を持っていた。


 ゴーレムやスライム等の弱点を突けないと倒せない魔物。

巨大ワームやトロール等の多少の傷をものともしない魔物。

霊体やガス状の気体系の魔物。

群体の羽虫なんてのも出てきた。

この調子なら吸血鬼が出てくるのも時間の問題だ。


 やたらと倒し切るのに手間がかかる相手ばかり出てきた。

結局、アリア達は何も出来ずに見ているしか無かった。



「今日の所はここまでにしておきましょう。

 まだ先は長いようですし、そろそろ夕食の支度もしなければなりません」


「そうね。私もセレネとカノンを迎えに行かなくちゃ」


「「そんな~」」


「今のままでは力不足です。

 精進して下さい」


「「は~い」」


 素直だ。

良い子だな~


 私達はダンジョン探索を切り上げて帰還した。


 私は全員を家に送り届けてからセレネを迎えに行く。

セレネはまだ仕事中のようだ。

カノンもまだだろうし、私は少し時間を潰すことにした。


 とりあえずセレネのベットで横になる。

うん。セレネの匂い。

枕に顔を埋めて思いっきり息を吸う。

なんだか幸せな気分になって足をバタバタしてしまう。

そのまま枕を抱いて丸まっているとセレネが戻ってきた。



「何してたの?」


「匂い嗅いでた」


「それだけなの?

 残念ね」


「何して欲しかったの?」


「何でもしていいわよ?」


「セレネがしてくれる?」


「よろこんで」


『カノンまってる』


「あれ?もうそんな時間?」


『セレネのにおい』

『しゅうちゅうしすぎ』


「もう邪魔しないでよハル。

 あなたも出てきなさい。

 纏めて可愛がってあげるわ」


「残念だけどダメよ。

 帰りましょう。セレネ」


「もうしょうがないわね」


「立たせて!」


 私はセレネに向かって手を伸ばす。

セレネは子供モードの私を抱き上げてキスしてくれる。


 私はそのまま別荘の自室に転移した。



「じゃあセレネ。行ってくるわね」


「はいはい。

 もう何度も聞いたわ。

 早く行って上げなさい」


「は~い」


 私はセレンを自室に残して、今度はカノンの部屋に転移する。



「待ってたわ!アルカ!」


 私を見るなり飛びついてくるカノン。



「待たせてごめんね。

 さあ、帰りましょう」


「何してたの?

 これはセレネの匂いね?

 普通に抱き合っていた程度じゃないわね?」


 なんでそこまで分かるの?

しかもセレネの匂いも覚えてるの?



「セレネを待ってる間、セレネのベットで転がってたからかな」


「私のベットでも休んでいく?」


「ノアちゃんが御飯作って待ってるよ?」


「私の匂いには、そそられないのね」


「そんなわけないでしょ」


 私はカノンごと転移でふかふかのベット上にダイブする。



「今度はカノンの匂いね~

 このまま眠ってしまいたい気分だわ」


「ノアが待ってるんでしょ?」


「そうだね~」


「本当に眠ってしまいそうな声ね」


「安心するんだもん。

 もっとぎゅーってして?

 カノンお姉ちゃん」


「アルカちゃん!!」


 あかん。

なんかスイッチ入ったっぽい。

カノンに子供モードで迫るのは早かったかもしれない。


 暴走したカノンは私を思いっきり抱き締めてから、頬にキスの雨を降らす。



「もう帰るよカノン」


「もう少し!」


 私は大人モードに戻ってしてカノンを抱き締め返す。



「なんで戻っちゃうの?」


「落ち着くかなって思ったから」


「最近大人の女性の良さがわかってきたわ」


「それ本当に私の事?

 私の精神性は大人って呼べるようなものじゃないよ?」


「それはそれ、これはこれよ」


「どういう事?」


「アルカの性格が子供っぽくても大人の女性として見れる要素は十分にあるって事」


 私の胸に顔を埋めてスリスリするカノン。



「体だけなの?」


「そんなわけないじゃない」


「じゃあ唇にキスして良い?」


「……聞かなければ受け入れたわ」


「え~」


「もうダメよ。

 また雰囲気作ってね」


「厳しいなぁ~」


「アルカにとっては十回目だろうけど、私にとっては初めてなの。

 もっと大切にして」


「十?まだお姉ちゃんとはしてないよ?」


「そうなの?

 アルカにしては随分と手こずっているのね」


「昨日の今日じゃない」


「一日あれば十分でしょ?」


「私をなんだと思ってるの?」


「私のお嫁さん」


 私はカノンにキスをする。



「今のは納得いかない!」


「だって聞くなって」


「なんでお姉様の話してる時にしちゃうのよ!」


「もう終わってたでしょ?

 カノンからお嫁さんって言ってくれたんじゃん。

 お陰で我慢できなかったわ」


「そうだけど、そうじゃないでしょ!」


「じゃあノーカンで良いわ」


「それも嫌!」


 私はカノンにキスをする。

今度はカノンからもキスを返してくれる。

何度も何度も繰り返してから、我に返るカノン。



「こんなはずじゃなかったのに!」


「じゃあ諸々吹き飛ぶまで続けましょう」


「ストップ!

 やっぱりやり直し!

 これは絶対違うわ!」


「え~

 もう今さらじゃない。

 これからは毎日しましょうよ。

 する時は子供でも大人でも好きな方に変身してあげるから」


「それでもダメ!

 今度二人きりでデートして!

 その最後にするの!」


「なんかそんな小説でもあるの?」


「今関係ないでしょ!」


「わかったわ。約束する。

 次はデートの時ね」


「ちゃんとしてくれたら許して上げるわ」


「はいはい。さあ帰りましょう」


 私はカノンを抱いたまま、自室に転移した。

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