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23-11.初戦闘

 私達は食事を終えて身支度を整え、発見したばかりのダンジョン前に転移した。



「では今回はアリア、ルカ、レーネ、リヴィの四人で先行して下さい。

 私達は後ろから付いていきます。

 アリアはルカの指示をよく聞くように。

 なにかあれば私達も手を出します。

 今日は訓練や試験ではありません。

 気を抜きすぎない程度に楽しんで下さい」


「「「「はい!」」」」


 早速先頭に立つアリア。

アリアの少し後ろに続くルカ。

更にその後ろにレーネ。

三人の後ろで浮いている子供リヴィ。


 リヴィを除いて一番覚視による気配感知が上手いアリアが斥候役も兼ねるのだろう。

流石に勝手に先に行ってしまう事は無いだろうけど、注意しておこう。


 ルカはアリアから先の様子を聞いて判断する役目だ。

ルカはまだ覚視が使えない。

キッカケすら掴めていないようだ。


 それでもアリアの動きから何を感じ、何を考えているのかまで察して動ける上に、自ら前に出て、自身の動きと予め決めておいた合図で他の二人に指示を送って、司令塔まで努めている。


 レーネは火力要因だ。

ルカと同じく覚視はまだ掴めていない。

常に冷静にルカを信じて攻撃を放っている。

ルカも、まだまだ未熟なレーネが自身の死角から攻撃を放っているのに怖気づく様子も無い。


 二人ともまるで歴戦の冒険者のように信頼しあっている。

レーネとルカも良いコンビだ。

ルカは誰かに合わせるのが上手いのかもしれない。


 リヴィの戦闘能力については、本来アリア達とは大きな差がある。

全力ならリヴィ単独でも私達とある程度模擬戦が出来るレベルだ。

範囲火力だけならノアちゃんすら上回るだろう。

覚視についてもある程度使えているようだ。

けれど、リヴィの場合はドラゴンならではの感覚もあるようで、実際にどんな風に感知しているのかはよくわからない。


 ともかく、リヴィも今は他の子達に合わせている。

リヴィの場合は元来がドラゴンなので、人間に力加減を合わせる事と、接近戦の技量を磨く事を優先している。

その為、基本的には魔力や神力に頼らない接近戦メインだ。

パーティとしては空から突撃して遊撃する役割が多い。



 後ろに続く大人組は、ノアちゃん、私、ハルちゃん、お姉ちゃん、ニクスだ。

ニクスは実質非戦闘要員だから気を付けよう。


 ノアちゃんは子供組の後ろに続く。

私はニクスの手を握ってノアちゃんの後に続く。

ハルちゃんはいつも通り私の中だ。

お姉ちゃんは一番後ろで警戒してくれているようだ。

正直過剰戦力だとは思う。



「このダンジョン静かね。

 まだ入口とはいえ、魔物の気配も無いわ」


「かなり先の方にゴーレム系の魔物がいますね。

 アリアでは厳しいかもしれません。

 まあ、リヴィの敵ではないでしょうけれど」


「大して強くないの?」


「いえ、かなり強い方ですね。

 単に相性の問題です。

 リヴィの拳の方が硬いでしょうし」


「流石ドラゴンね」


「流石に普通のドラゴンの幼体はゴーレム殴り倒したりはしないよ?

 リヴィが特別なんだよ?」


「ドラゴンって何歳くらいまで幼体なの?」


「普通は三年もすれば成体になるはずだけど、それは順調に魔石を取り込んだ場合だよ。

 リヴィは一度も魔石を取り込んでいないんでしょ?

 でもその代わりにアルカの莫大な力を取り込んでるはずなんだよね……

 力の総量だけならとっくに成体になっていてもおかしくはないんだけど」


「もし足りていないのなら、大量に力を注ぎ込んだら急成長する可能性があるの?」


「うん。そのはずだけど」


「ダメですよ。そんな実験みたいな事は認めません」


『けいやくすれば』

『ハルしらべる』


「だそうだけど。ノアちゃん」


「ダメです。ちゃんと十分な判断力が身につく年齢になるまで認めません」


「流石ノアちゃんね。小春はもう少し見習いなさいな」


「私だってノアちゃんとセレネから迫られた時はそう言ったわよ!」


「そうでしたね。

 結局キスしてくれたのはアルカからでしたけど」


「ノアちゃんいじわる……」


「それにしてもこのダンジョン相当広いみたいね。

 このペースでは数日かけないと最深部まで到達しないわね」


「お姉ちゃん、なんでそんな事わかるの?」


「ある程度特徴が見えてくれば判断出来るのよ。

 一見何でも有りに見えるダンジョンにもルールがあるの。

 例えば魔物の出現間隔とかもね」


「知らなかったわ」


「小春だって相当数のダンジョン攻略してるでしょうに」


「基本はゴリ押し力押ししかしてこなかったんでしょうね」


「ノアちゃんどうしてそんなに辛辣なの?

 ノアちゃんも手を繋ぎましょう。

 仲良くして欲しいわ」


「結構です。洞窟内で三人も手を繋いでどうするのですか?

 いくらここが広いとはいえ、気を抜きすぎです。

 仮にもダンジョンなんですから、私達はともかくアリア達にはなにかあるかもしれません。

 もう少しだけ警戒して下さい」


「はい……すみません」


「小春は、ノアちゃんとセレネちゃんにはすっかり頭が上がらないのね。

 一番子供なのかしら」


「もう皆知ってる事だよ。深雪」


「小春……」


「一々呆れないでよ!お姉ちゃん!」


「変な逆ギレしないでよ」


「アリア達が戦闘を開始します。

 全員静かにして下さい」


「「「はい」」」


『あれおかしい』

『ノア』


「ええ。行きます」


 言うなり姿を消すノアちゃん。

次の瞬間にはゴーレムの頭を切り落としていた。


 禄に戦闘もさせてもらえずにノアちゃんに介入されて、流石に面白くなさそうなアリア。



「どうしたのノアお姉ちゃん?」


「アリア!気を抜かないで下さい!」


 のんきに近づいていくアリアを咄嗟に転移で引き寄せるハルちゃん。

他の子供達も私達の後ろに転移される。

お姉ちゃんも手伝ってくれたようだ。


 首の無いゴーレムが腕を振り上げる。

私は光弾を放ってゴーレムの腕を消し飛ばす。


 直ぐさま全身で倒れかかってくるゴーレム。

私の中から飛び出した黒い霧が大人ハルちゃんの姿に代わり、ゴーレムの巨体を受け止める。

そのまま、ハルちゃんは触れた部分からゴーレムを侵食していく。

急速に黒く染まっていくゴーレムは、そのまま機能を停止した。

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