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23-10.師

 私は無事一撃も貰う事無く訓練を終える。

なんか終盤、アリアの動きが急激に速くなって驚いたけど、ハルちゃんは余裕で対応してくれた。

ちなみに、ノアちゃんはハルちゃんの事を忘れていたわけではなく、私が頼るのも織り込み済みだったようだ。



「お陰でアリアもいつもより良い動きをしていました。

 今後はたまにはアルカにも相手をしてもらいましょう。

 とはいえ、ハルの件は褒められたものではありませんね。

 今回はアルカ自身でも問題なくやり過ごせたはずです。

 いくら成長が速いとは言っても、訓練を開始してから三ヶ月も経っていないのです。

 仮にもルネルさんの訓練を受けたアルカが避けきれないわけ無いじゃないですか。

 最初から全部ハル頼みなんて、ルネルさんに見られたら叱られますよ」


「うぐ……」


「アルカ!約束!」


「ルカも!」


「リヴィも!」


「私もお願いします!」


「そうね。じゃあアリアからね」


「お昼の準備は出来ています。

 冷めない内に来てくださいね」


「「「「「は~い」」」」」


 ノアちゃんは先に戻って行った。

早めに約束を済ませて向かうとしよう。


 私はアリアを抱き締めてキスをする。

そのままつい、何度も繰り返してしまう。



「次ルカ!もう交代!」


 私はアリアを離して、今度はルカを抱き上げる。

そのまま、苦しくないギリギリまで力を込める。

暫くしてから、少し体を離してキスをする。



「次リヴィ!」


 今度はリヴィを抱き上げて頬にキスをする。



「ちがうの!」


「はいはい」


 頬ではダメらしい。

ちょっと前は無邪気にきゃっきゃと喜んでくれていたのに。

何度かリヴィにもキスをして、最後にレーネだ。


 レーネには優しく肩を抱いて、心を込めて一度だけキスをする。

真っ赤になったレーネが幸せそうに微笑んでくれる。

もう何度もしているのに、レーネの反応はいつまでも変わらない。

堪らずもう一度キスをして、レーネを開放する。



「つぎハル」


 いつの間にか私から出て順番待ちに加わっていたハルちゃん。

しかも、今日は何故か大人モードだ。

ハルちゃんの方から私の唇を奪いに来た。



「きゃー!!」


 アリアから黄色い声援があがる。

少し刺激が強かったのかもしれない。

ハルちゃんは激しいのが好きだ。



「ハル!やり過ぎよ!

 子供達の前で何やってるの!」


 お姉ちゃんまだ居たんだ。

お姉ちゃんストップがかかって渋々私を離すハルちゃん。



「「……」」


 ルカとレーネは真っ赤になって目を逸らしている。



「リヴィもする」


 何故か大人モードになって迫ってくるリヴィ。

リヴィとハルちゃんの二人が同時に大人モードなのは初めて見たかもしれない。

ところで顎クイなんて何処で知ったの?セレネ?

それとも本能的なやつ?

意外とこういうのも悪くないわね……



「もうお終いよ。リヴィちゃん」


「は~い」


 お姉ちゃんに止められて、素直に引き下がるリヴィ。



「リヴィもハルもお胸が大きいのね~

 アルカと並ぶとなんだかドキドキしてしまうわ。

 レーネお姉ちゃんも並んでみて!」


 アリアは何を言ってるの?

深雪お姉ちゃんも呼んであげようよ!

少し小さいけど無いわけじゃないよ!



「小春?何か妙なこと考えなかった?」


「ううん。お腹すいたな~って」


「早くいきましょう。ノアちゃんに悪いわ」


「「「「「「は~い!」」」」」」


 私達はノアちゃんの待つ食卓に移動した。



「クレアとグリアは?」


「昼はあまり来ませんね。

 クレアさんは私が相手出来ない時は、森で魔物達を相手にして修行しているみたいです。

 夕飯の頃には帰って来るはずですよ。

 グリアさんはいつも夕飯しか食べないです。

 まあ、放って置くとその一食すら抜いてしまうのですが。

 夕飯の頃には引きずり出します」


「苦労してるのね……

 いつもありがとう。ノアちゃん」


「いえ。大した事じゃありません。

 それよりリヴィは何故あの姿なのですか?」


「ハルちゃんに影響されたみたい」


「そうですか……

 まあ、行儀よく食べているので文句は言いませんが」


「今のハルちゃんとリヴィが並んでると違和感凄いわよね」


「何れは皆大きくなるのでしょうか。

 例の契約を交わすと成長も止まるのですか?」


「止まらない……はず」


「そういえば、なんでハルちゃんって子供の姿のままなの?

 吸血鬼って成長しないの?」


「多分ダンジョン産まれだからだと思うよ」


「そうなの?

 というか、その言い方はニクスでも確信が無いの?」


「ノーコメント」


「ハルの真似?」


「私こんなに大きな娘がいるのよね……」


 何故か今更ダメージを受けるお姉ちゃん。

普段と違う大人ハルちゃんを見て現実を突きつけられてしまったようだ。


 年齢関連とかは、ちょいちょい数百年生きているとは思えない様な事気にするけど、いつまでも若い精神を保ってるのは、私の記憶を定着させる為に頭弄ってた弊害とかじゃないわよね?

ちょっと怖くて聞けない。


『私も変身魔法を覚えてアルカ様好みの幼子にもなれるように頑張りますね!』


「レーネはそのままで良いのよ。

 むしろそのままが最高なのよ。

 それはそれとして、一度くらいは見てみたいけど」


『ふふ。ありがとうございます。アルカ様。

 ならやはり、いつかお見せしますね』


「ありがと。楽しみにしてる」


「ハル!アリアにも変身魔法教えて!」


「アリア。食事中に大きな声出さないの」


「リヴィがおしえてあげる」


「リヴィの説明はわかりずらいのよ……」


『そうですか?

 私にはわかりやすかったですよ?』


「ルカもちょっと良くわからない」


「レーネだけなのね。

 なんでかしら」


「二人には魔石があるからだと思うよ。

 そもそもの感覚が人間とは違うんだよ」


「ならハルちゃんもじゃないの?

 私にいつもわかりやすく教えてくれるよ?」


「ハルは知識量が違いすぎるから。

 レーネとリヴィはまだ感覚頼りな部分が大きいんだよ。

 グリアの言ってる魔法と魔術の違いみたいなものだね。

 ハルのは二人と違って学問であり、魔術なんだ」


「なるほど」


「ハル頑張った」


「やっぱり、ある程度時間を決めて魔術教室も始めるべきかしら。

 一応、覚視の習得後にとは思っていたのだけど、アリアはもう視えつつあるのよね」


「そうですね。アリアだけ次の段階に進んでも良いかもしれません。

 流石に練度は足りていませんが、今までの模擬戦と魔法の練習を同時に進めても良いでしょう」


「アリアにはバフを教えてあげましょう。

 きっと気に入ると思うわ」


「本当!?」


「止めて下さい。

 最初からそんなものに頼るのはダメです。

 十全に自分の体を使いこなしてからにしてください」


「「は~い」」


「私もノアちゃんに教えてもらおうかしら」


「お姉さんはルネルさんに弟子入りするのが良いと思いますよ。

 もちろん、ルネルさんが良いと言えばですが」


「ルネルさんね……」


「お姉ちゃん会ったことあったっけ?」


「え?突然どうしたの?」


「なんか微妙そうだったから」


「……ちょっとね」


「もしかして昔会ったことがあるのですか?」


「……そのね。寿命を伸ばす方法を探していた時に、エルフの国に行ってみた事があってね。

 それで少し……」


「「……なるほど」」


「大丈夫よ!一緒に謝ってあげるから!」


「そうです。

 私達の不老魔術も最終的には見逃してくれました。

 きっとお姉さんも大丈夫です。たぶん」


「……」

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