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23-7.下見

 私達は爺さんに改築と島開発の件で協力を依頼した。

こっちはいつも通り、二つ返事で引き受けてくれた。

指輪の時とは大違いだ。まあ、結局受けてくれたんだけど。


 その次はテッサのギルドに寄って、お姉ちゃんを紹介しつつ、新しい依頼が出ていないか聞いてみる。

相変わらず新しい依頼は無いようだ。

ピレウスの方も無かったし、魔物達はどうしてしまったのだろうか

これで、一ヶ月半くらい私は仕事をしていないことになる。


『アルカのせい?』

『けはいつよすぎる?』


『そういう事なの!?

 魔物達に化け物の縄張りみたいな扱いされてるの?』


 今私達未開拓地の深部に住んでるんだけど、どっかで未開拓地の魔物が溢れ出したりしてないわよね?


 それにしても、仕事どうしよう。

流石に無収入が続くのは不安になってくる。

なにせ、パンドラルカの活動資金はいくらあっても困らないのだ。

言い出しっぺが何もしていないのではダメだろう。


 いっそ、カノンの手伝いでもしようかな。

収納魔法と転移魔法を使えば、カノンならあっという間に稼いでくれる事だろうし。


 冒険者も辞めてしまおうかしら。

不老魔法の事も考えれば、怪しまれる前には姿を晦まさなければならないのだし。

辞めてしまえば私を危険視しているギルド本部の人達も干渉してこないとか無い?


 あ、でも、ピレウスにある自宅の事が問題か。

国の所属になる気は無いので、冒険者を辞めたら何処の国にも所属していない別荘の方をメインの拠点にするしか無いだろう。


 自宅の方を利用し続けると、冒険者としてもあの国の国民としての身分も無ければ、何かのトラブルに巻き込まれる可能性は高い。

フリーになったSランク冒険者等、国が放っておかないだろう。

利用する意味でも、潜在的な危険という意味でもだ。

国外退去を命じられるのならマシな方だろう。

もしかしたら、この国に住んでいるのだからと堂々と囲い込もうとしてくるかもしれない。

最悪、あの自宅は手放すしかないだろう。


 まあ、パンドラルカの活動が軌道に乗ってから考えるのでも良いか。

それに、まだまだギルド長達には恩を返したい。

あと数年は冒険者としても登録しておこう。


 地下の町とかはちょっと前に様子を見たばかりだ。

今日の所は必要ないだろう。


 ルネルに声を掛けるのは改築が済んでからにしたい。

今のままじゃ寝る場所がない。

建物は魔法でいくらでも増やせるけれど、家具や生活用品は別途揃えるしかないのだし。


 なら、やっぱり予定通りに島探しの準備を進めよう。



「お姉ちゃん。今日は少し飛び回ってみたいのだけど付き合ってくれる?」


「いいけれど、どうするつもりなの?」


「この大陸の海外がどうなっているのか知りたいの。

 あの島国のように、まだ知らない国があるのかもしれないし」


「それを知って、島の大まかな範囲を絞り込みたいのね?」


「うん。そういう事」


「なら、一度帰ってニクスに聞いてみましょう。

 あの島国の事は知っているようだったし、他の国についてもなにか知っているかもしれないわ」


「そうね。

 それにニクスとは約束をしていたんだったわ。

 島探しに行くときは連れて行くって。

 そもそも、仕事に行くときも連れて行くって言ったのに、置いてきてしまったわ。

 もっと気を付けないと……」


「きっと大丈夫よ。

 今ならまだ少し外出した程度だわ。

 直ぐに戻ってあげましょう」


「うん!」


 私は別荘に転移する。



「酷いよ!また置いて行くなんて!

 連れて行くって約束したじゃん!」


「ごめんなさい!

 ヘパス爺さんとギルド長さんに会いに行ってきただけなの。

 これから島探しの件で下調べをしたいから、ニクスとの約束を守るために戻ってきたのよ」


「本当?

 それなら良いけど……」


 嘘はついてない……よ?

ちょっと、真実が足りないかもしれないけど。



「それで早速だけど、この大陸の外ってどうなっているの?

 例の島国以外に国はあるの?」


「内緒。これは別に話せないとかじゃなくて、自分達で調べてみたほうが良いんじゃない?

 折角長い人生があるのに、そんな事まで聞いてしまっていたら、あっという間にやる事が無くなっちゃうよ?」


「それもそうね。

 とりあえず、今から人魚の国の辺りの上空を飛んでみようと思うのだけど、ニクスも行く?」


「うん。行く」


「わかったわ。

 そう言えば、お姉ちゃんはどうしたい?

 もし他にしたいことがあるのなら教えてね」


「いいえ。付き合うわ」


「じゃあ早速出かけよう!」


 私はニクスとお姉ちゃんと手を繋いで、人魚の国の海上辺りに転移する。



「ハルちゃん。探知お願いね」


『がってん』


「探知なら私も手伝うわ。

 ハル。一緒にやりましょう」


『うん』

『いっしょに』


 協力してあっという間に広範囲の島を見つけ出していくハルちゃんとお姉ちゃん。

いくつか候補になりそうな島があるようだ。

ちなみに、人の住んでいる島は近くには無かった。

この辺りは大昔から人魚の縄張りみたいだし、人間と争っていた時代に淘汰されてしまったのだろうか。

もしかしたら、生活痕でも見つかるかもしれない。


 ハルちゃんの共有してくれた周辺状況を元に、一つ一つの島に降り立って転移先に出来るようにしていく。

ハルちゃんに任せれば探知先に転移も出来るのだろうけど、それだと私のやる事が無くなってしまう。

無駄手間な気もしなくはないけど、折角だから空のデートだとでも思ってゆっくり飛んでいこう。


私が一度行って、転移先に指定出来るようにしておけば、わざわざリヴィに乗らなくても全員で調べにこれるだろう。


 そういえば、リヴィとの契約の件でノアちゃんとも話をしなくちゃだ。

ノアちゃんの言う通り、まだ急いで契約する事も無いだろう。

期待させてしまったのでリヴィには悪いけど。



「中々良さそうな所はないわね。

 もう少し大きめの島が良いのだけど」


「そうだね。

 建物もいくつか建てる必要があるし、畑も訓練場も欲しいんだよね?」


「そんなところね。

 カノンに他に欲しいものが無いか聞いてみないとだけど」


「小春は農作なんて出来るの?

 途中で放りだしたりしない?」


「やるのはノアちゃんよ。

 お姉ちゃんの予想通り、私も前に一度作ってみたけど、途中からノアちゃんが全部世話してくれていたわ」


「ノアちゃんばかり負担が多くない?」


「ノアちゃんがそういうの好きなの。

 何度か家事の分担も提案しているのだけど承諾してくれないのよね。

 一応、皆が頼めば手伝いはさせてくれるのだけど。

 でも私が頼むと、好きでやってるんだから取らないで下さい。なんて言うのよ」


「そう……私も少し話してみるわ」


「まあ、あまり気にしすぎないでね?」


「ノアの事は置いておいて、次の島も見に行こうか。

 人魚の国から少し離れれば大きな島もあるんでしょ?

 一応そっちも見ておこうよ。

 レーネなら多少離れていても泳げば直ぐでしょ?」


「そうね。選択肢が多いに越したことはないものね」


『しゅっぱつ』

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