23-3.大人組
私はハルちゃん、お姉ちゃん、ニクス、カノン、セレネと共に露天風呂にやってきた。
残りのメンバーは既に入っていたようだ。
訓練組は食事の前に済ませている事も多い。
普段はその間に食事の準備を行うけれど、今日はノアちゃんも付き合ってくれたのだろう。
リヴィがいてくれるお陰で私がいなくともお湯を張れるようになったのは大きい。
お姉ちゃんが加わったことで転移が出来るのも三人に増えたし、これからどんどん各自の出来ることも増えていくことだろう。
人数も増えたので皆の出来ることが増えていくのは重要だ。
「セ~レ~ネ~」
「どうしたの?アルカ。
甘えたくなっちゃった?」
「うん~そんなとこ~」
私は子供モードでセレネに抱きつく。
今は子供達がいないから私が一番精神年齢低いんじゃないかしら。
私を抱き締めて優しくキスしてくれるセレネ。
セレネも遂に手加減を覚えたようだ。
「セレネ~好き~
大好き~愛してるよ~」
「はいはい。アルカちゃんは可愛いでちゅね~」
「セレネお姉ちゃん!
もっとぎゅってして~」
「ぎゅー!」
「きゃっきゃ!」
「小春……あなた恥ずかしくないの?」
「多分、今日はお姉さんの事があったからおかしくなったんじゃない?」
「うぐ……」
「違うわカノン。これは私の教育の成果よ」
「教育というより、調教だよね?」
「ニクスにもしてあげようか?」
「ハルもする」
「むしろハルには私が甘えてあげるわ!
さあ!その大きな胸を私に頂戴!」
「い~や~あ~!セレネお姉ちゃんは私の!
ハルちゃんじゃなくて私のあげるから!」
「アルカ!!」
「きゃは!」
「なんでハルは大人モードなの?」
「空気読んだ」
「?」
「やっぱり子供アルカ良いわよねぇ。
私の方にも来てくれないかしら」
「ならカノンも纏めて愛してあげるわ!
さあ!いらっしゃい!」
「う~ん。それは悩ましいわね。
アルカと一緒に愛されるのも悪くはないけれど、やっぱりセレネ相手に油断するのは少し怖いわ」
「何でも楽しむのがモットーなんでしょ!
さあ!怖がってないで!カモン!」
「だ~め~な~の~!
セレネお姉ちゃんは私だけ見ててってば!」
「も~!アルカったら!仕方ないわね!」
「これはどっちかな。
素で甘えてるの?
上手くセレネを乗せてカノンを守ったの?」
「羨ましい……
今度私もやってもらおう」
「ハルがやってあげる」
九歳モードに変身するハルちゃん。
「カノンおねえちゃん」
「やっぱり小さい姿最高よ!ハルちゃん!!」
「ハル……
魔法をそんな事の為に使うなんて……」
「そういえば、何で吸血鬼っぽいのばかり教えてたの?
変身とか、霧化とか、魅了の魔眼とか、隷属契約とか。
そもそも、深雪はどうやって覚えたの?」
「いえ。
私は吸血鬼らしい能力を教えただけよ。
魔法の基礎は教えたけど、その辺りの魔法は全部自分で生み出していたわ。
むしろ変身魔法もハルから教わったのだし」
「え!?
でもハルちゃんママから教わったって!」
「アルカが正気に戻った」
「まほうおそわった」
「ハルきたえた」
「ハルちゃんってやっぱり凄いのね!
流石私のハルちゃんよ!」
「ふへ」
「アルカちゃんとハルちゃんが裸で抱き合ってる!
ブハッ!」
「カノン!
セレネ!カノンが鼻血吹いて倒れた!
治療して!」
「大丈夫よそれくらい。
わざわざ術を使うまでもないわ。
とりあえず部屋まで運んであげましょう」
「私が運ぶわ」
お姉ちゃんとカノンの姿が掻き消える。
「お姉ちゃん、触れずにカノンの転移してたわね。
ハルちゃんもお姉ちゃんも出来るのに私だけ……」
「しょうじん」
「あるのみ」
「はい……」
「アルカの能力なら再現出来るはずなんだけど。
なにかブレーキでもかけてるのかな」
「アルカの場合は手を握りたいだけじゃないの?」
「そんな理由で制限かけてるの?」
「かのうせいある」
「ハルちゃんで練習してみましょう!」
「するなら私にしてよ」
「わかったわ。セレネ。
じゃあハルちゃんは私の中からアドバイスしてね!」
「がってん」
「うむむむ」
『イメージ』
『しゅうちゅう』
「頑張れ~」
「セレネは私の!私の一部なら離れてたって関係ない!」
「あ。成功した。
また妙な理由付けしてたけど、やっぱりああやって無駄に制限かけてるよね。アルカって。
あれ?誰もいないの?
私だけ取り残された?」




