23-2.パンドラルカ
「では気を取り直して、答えを発表します!」
私はたっぷりと溜めを作ってから言葉を続ける。
「私達の組織名は、パンドラーク。
名前の由来は原初の人間の女性であるパンドラと、方舟のアークを組み合わせたものよ!
方舟は正しき人であるノアが建造し乗り込んだ船。
そして、私達も乗船出来るように正しい人で在り続けるという意味も込めているわ!
つまり、正しい人間の女性を守るための組織なの。
私達にピッタリでしょ?」
「始まりはノアとアルカだものね。
不思議な偶然もあったものだわ。
二人の出会いは運命だったのかしら」
「どういう意味?」
「知らなかったの?アルカって方舟って意味よ?」
「え!?」
「ぷっふふ」
「ニクス!知ってたのね!?」
「むしろ、何でアルカが知らないのさ」
「だってお姉ちゃんが付けてくれた名前だし……」
「ノアの方舟と言うのはアルカの世界の神話なんですよね?
私とアルカにそんな繋がりがあったなんて、とても良い気分です」
「私の名前には何か関係はないの?」
「セレネは月の女神じゃなかった?
ニクスが夜の女神だから、ニクスとの関係が深いわよね」
「うげ!」
「うげってなにさ!
それはひどいよ!
そもそも、近いのは役割からくる印象だけで、その二柱に関連性は無いでしょ」
「それは良かったわ」
「ひどい……」
「折角ならパンドラルカに変えない?
アルカの名前が入っている方が愛着も湧くわ」
「「「「「「「賛成~!」」」」」」」
「ギリシャ由来ならアルカじゃなくてキヴォトスじゃない?」
「お姉ちゃんは空気読んで。
今そんなツッコミ要らないでしょ」
「うぐ……」
「という事で今から、パンドラーク改め、パンドラルカよ!
パンドラルカの運営は基本的にカノンに任せるわ。
お姉ちゃんも力を貸してね!
私が人で在り続ける為の組織にならお姉ちゃんも興味あるでしょ?」
「……そうね。わかったわ。協力する」
「やったぁ!!」
「本当に何だか子供みたいに燥ぐわね」
「まあ、元々そういう所もありますから。
お姉さんと出会えて尚の事なのでしょう」
「アルカ可愛いわ~」
『カノンも大分おかしくなってきましたか?』
「まだまだじゃない?」
『ニクスはつまらない』
『おかしくなって』
『ふつうになった』
「私が元々おかしいみたいに言わないでよ!」
「ニクスは変よ?」
「アリアだめ。思ってても言っちゃいけないの」
「ニクスいいこ!」
「もう!もう!もう!」
「ニクスは何を騒いでいるの?
また虐められてしまったの?
もう。仕方ないわね。こっちにいらっしゃい」
「アルカ~」
「はいはい。よしよし」
「アルカってニクスに甘すぎない?
いえ、事情はわかっているのだけど。
ニクスだって悪いところを直そうともしないのだもの。
正当な評価じゃない」
「セレネ~おいで~
そうやってカリカリしていないで、一緒に仲良くしましょう~」
「仕方ないわね」
「チョロい」
「やっぱりニクス摘み出して良い?」
「二人とも大好きよ~」
「アルカは強引ね。
実はちょっと面倒くさくなってるの?」
「カノン。余計な事を言うとこっちに飛び火しますよ。
もう話も終わったようですし、退散して寝る支度をしてしまいましょう」
「そうね」
「なんだ?話は終わったのか?
結局、私がいる意味無かったじゃねえか」
「私も部屋に戻る。
ミユキ氏にも、今度色々と話を聞かせてもらえるかね?」
「ええ。ハルちゃんと一緒に貸してあげるわ」
「言い方!」
「お姉ちゃんはもう私のものよ。
何も間違ってないわ」
「なにそれ!?」
「ママあきらめて」
「ハルとアルカのもの」
「もうにがさない」
「ハルまで……」
「さあ、支度して寝てしまいましょう。
今日はお姉ちゃんとニクスは私の部屋ね!」




