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22-18.顛末

 ギルド長への報告を済ませた私はお姉ちゃんを連れて、その場から教会のセレネの部屋に転移する。

思っていたより時間をかけすぎてしまった。

既にセレネは仕事を終えて、自室のベットで寛いでいた。



「誰よそれ?

 よくいきなり私の部屋に連れてきたわね?

 流石に怒って良いのよね?」


「ごめんセレネ。気持ちはわかるけど今は押さえて。

 お願いだから話を聞いてから判断してね。

 この人はエイミーなの。

 家に帰ってから改めて説明するから」


「エイミー?何言ってるの?

 気配だって別人じゃない。

 いくら姿を変えてたってこうはならないでしょ?」


「お姉ちゃん。お願い」


 お姉ちゃんは再びエイミーの姿に変身し、例の能力で力の隠蔽もかけ直す。



「驚いたわ。本当にエイミーさんなのね。

 遂にアルカに口説き落とされたの?」


「残念ながらまだなの。

 これから口説くけどセレネも許してね」


「「何言ってるのよ!?」」


「その辺りの事情もちゃんと話すから。

 セレネなら絶対に納得してくれるわ。

 だからお願い。信じてくれる?」


「信じるのは無理だけど沙汰は待ってあげるわ」


「ありがとうセレネ。それで十分よ」


「あなた達それで本当に良いの?」


「セレネは私の一番大切な人だもの。

 私はセレネの事を信じているわ」


「私がアルカを大切に思ってないみたいな言い方やめてよ!」


「ごめんごめん。そんなつもりはないわ。

 セレネが疑ってしまうのは、私が原因だもの。

 ともかく、行きましょう。

 話はゆっくり出来るところでしましょう。

 ノアちゃん達も待っているだろうし」


「そうね。お腹すいたわ」


 私はセレネの差し出した手を握って、皆の待つ別荘に転移した。



「お帰りなさい。

 色々とお疲れ様でした。

 もう皆待っていますよ。

 とりあえず夕食にしましょう」


「ただいま!

 ありがとう。ノアちゃん。

 私もお腹すいちゃった!

 そうだ!お土産もあるのよ!

 後で色々渡すからね。

 醤油も買ってきたから今後は夕飯のレパートリーが更に増えるわね!」


「それは楽しみです。

 あれは美味しかったですから」


「ただいま。ノア。

 今日は晩御飯なに?」


「もう食卓に並べてあります。

 自分で確かめて下さい」


「もう。じゃれ合いに付き合ってくれても良いじゃない」


 ノアちゃんに抱きついて頬にキスをするセレネ。



「セレネ、私にはしてくれないの?」


「人の寝室に女連れで来ておいて何言ってるのよ。

 お預けよ。お預け」


「ぶーぶー」


「まだセレネにはちゃんと話していないんですね。

 まあ、時間もかかりますしね。

 食後にゆっくり説明するとしましょう」


 そう言って私に抱きつくノアちゃん。

私はノアちゃんにキスをする。


「あ!こら!ノア!

 私が先よ!」


「知りません。

 もう行きますよ」


 ノアちゃんに続いて皆の待つ食卓に向かう。

今日もこたつにしたようだ。



 皆に挨拶を交わして席に着き、食事を始める。

やっぱり人数が厳しい。

大きめに作ったこたつもギリギリだ。

もっと大きいこたつに替える為にもまた改築しなくちゃ。


 この家を建てた時は、

私、ノアちゃん、セレネ、リヴィ、レーネ、アリア、ルカの計七人だった。

今は、ハルちゃん、ニクス、カノン、お姉ちゃん、

グリア、クレアの六人が加わり、計十三人だ。


 殆ど倍の人数になってしまった。

レーネはまた半年で建て替えだなんて言っていたけど、二ヶ月位しか経っていないはずだ。

まあ、グリアとクレアは別枠だし……


 とにかく、明日にでも爺さんに頼みに行くとしよう。

今日言っておけばよかった。

けど、レーネとの婚約式典が終わるまでは難しいかな。

流石にこの規模の建物は何日か掛かるだろう。

風呂やキッチンにも拘りたいし。

予約だけ入れに行くことにしよう。


 食事が終わっても、皆にはまだ残ってもらった。

セレネもいる事だし、お姉ちゃんの事を改めて説明しておこう。



「セレネにも説明が必要だから改めて一から話すわね。

 今までギルドの受付嬢として働いていたエイミーは、私の本当のお姉ちゃんだったの。

 名前は篠宮 深雪。

 ある事情で、私を追って六百年前にこの世界に来たの。

 そして、ハルちゃんの生みの親でもあるわ。

 私を救うためだけに今まで一人で頑張っていてくれたの。

 私はもうお姉ちゃんに一人になって欲しくない。

 だから家族になって欲しいの。

 皆も認めてくれる?」


 セレネも含む全員から賛成の返事が返ってくる。



「ありがとう。

 それで、もう一つお願いなのだけど、私はお姉ちゃんも口説くことにしたわ。それも認めて下さい」


「意味がわからないんだけど。

 どうしてそんな結論になったの?

 実の姉なのでしょう?」


「一応理由は色々あるのだけれど、少し言い辛いわね。

 ともかく、お姉ちゃんの愛に全力で報いたいの。

 私の愛も知ってほしいの。

 だから姉だからってだけでは足りないの」


「私はそんな事求めてないわ!

 小春は妹なの。

 それだけで良いのよ。

 小春さえ無事なら。幸せなら。

 私はそれだけで幸せなのよ」


「何となく状況は察したわ。

 良いわ。認めてあげるアルカ」


「セレネちゃん!?何でなの!?」


「その姿でエイミーさんは変よね。

 えっと、ミユキさん?

 いや、なんか呼び分けるのは面倒くさいわね。

 お姉ちゃんで良いわよね。

 どうせ私の義姉でもあるのだし。

 お姉ちゃんはアルカの気持ちがわからないの?

 それだけ重いものを押し付けておいて、そんな言い分通るわけ無いでしょ?

 嫌なら嫌で良いのよ。

 別にアルカの求めるような関係を無理やり受け入れる必要はないわ。

 けれど、そんな断り方ではアルカだって納得しないわ。

 罪悪感しか感じないもの。

 だから無理やり押し付けようとしているんじゃない。

 アルカなりの気持ちを知ってほしいのよ。

 アルカは心の底からあなたの幸せを願っているの。

 その為の手段が多少強引なだけなの。

 だから、断るのなら断るで、アルカの気持ちを本当に理解した上で断りなさい。

 今のあなたでは弱気過ぎるわ。

 何が理由なのかはわからないけれど、折角最愛の妹と本当の再会が出来たのにそれではダメよ。

 あなたが自信を持ってアルカを突っぱねるのなら、アルカだってここまで心配したりしないわ。

 私は別にあなた達の関係がどうなろうとも口出ししない。

 アルカもそれで良いでしょ?」


「ありがとうセレネ。

 やっぱりセレネは私の気持ちをわかってくれたわ」


「当然よ。アルカは私の一番だもの」


「ともかく、その件は追々という事にしましょう。

 私も反対意見はありません。

 お姉さんの件に関してはアルカの好きにして下さい」


「ありがとうノアちゃん!」


 他の皆も口々に同意してくれる。

グリアとクレアはわけわからんって顔してたけど。

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