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22-11.バグ

 私達は以前来た江戸時代風島国に転移した。

ハルちゃん、ニクス、カノンの三人はあっという間に全員分の着物を揃えてきた。

前回の私のグダグダっぷりは何だったのだろうか。


 具体的にはまずハルちゃんが、先日ハルちゃんの収納に移した荷物の中から、この地の貨幣を取り出してカノンに預け、ニクスがカノンにこの地の文化を教えつつ店に連れて行き、カノンが交渉その他諸々を担当してくれた。



「こんな国があるなんて知らなかったわ」


「私も最近まで知らなかったの。

 そういえばお姉ちゃんは旅もしていたの?」


「ええ。大体十年位ごとに場所も変えていたから」


「成長が止まっているから?

 でも変身魔法で成長段階の調整くらいできるんでしょ?」


「意外と難しいのよ?

 特に本来の自分と異なる姿なんてね。

 それに、あまり長いこといると愛着も湧いてしまうから。

 今回は小春の事もあったから長くいすぎたわね。

 十五年位はいたんじゃないかしら」


「十五年もエイミーの姿でいたの?

 流石に迂闊すぎない?」


「うぐ・・・

 仕方ないじゃない。

 小春との唯一の接点が無くなるかもって怖かったのよ。

 それでも、正体を明かす気はなかったから適当な所で隠れようとは思っていたのだけど。

 まさかあんなにあっさり捕まるとは思いもしなかったわ。

 あれは一体何なの?

 私の能力も変身放棄する程出力を上げていたのに簡単に突破されてしまったわ」


「ああ。だからエイミーの姿じゃなかったんだ。

 私も正直良くわかっていないのだけど、ニクスとハルちゃんはどう?

 あの抱き寄せの魔法の事ってなにかわかる?」


「バグかな?」


『わかんない』

『ニクスよべる』

『おかしい』

『かみのたいせい』

『むこうかしてる』


「え!?」


「そういえば、あれ使ってニクスの降臨もしていたのよね。

 何なのそのチート能力。

 私のなんて……」


「お姉ちゃんのだって、ニクスの目ごまかしてたじゃない」


「一応制御できるけど、全力で使うと自分の魔法も解けちゃうのよこれ」


『ハルがまもる』

『かんぺき』


「そうね!

 やっぱりお姉ちゃんは一人だとダメなのよ!

 これからは私達が一緒にいてあげるからね!」


「一応今まで一人で生き延びてきたんだけど……」


「だからこそだわ!

 六百年もあったら、アルカなら世界中の人を家族にしちゃうわよ!」


「流石に無茶よカノン。

 カノンはまだ知らないかもしれないけど、そもそも私は人見知りなの。

 それに小さい女の子以外には基本的に興味がないのよ」


「私は大丈夫?アルカの好み?

 早く変身魔法習得するから捨てないでね?」


「捨てるわけ無いじゃない!

 カノンの事大好きよ!

 好みドンピシャよ!」


「ドンピシャって……」


「アルカの言葉信じていいの?

 リヴィちゃんも守備範囲なんでしょ?

 でもお姉様もいけるなら私は丁度中間くらいなのかな?」


「信じて!

 正直に言うならカノンの年齢は範囲外だけど、カノンは別よ!

 年齢以外の全ての要素が私の好みに当てはまっているわ!

 もう五年早く会えてたら見た瞬間に拐っていたわね!

 あとお姉ちゃんは特別よ!」


「嬉しいような嬉しくないような……」


「その話もう止めてくれない?

 年増だって言いたいの?

 これでも二十代で成長止めてるのよ?」


「え!?もっといってるかと思ってた!?」


「小春!」


「それだけ苦労してきたんだよ。

 察してあげなよアルカ」


 お姉ちゃんは私が異世界転移する直前くらいの十代後半の姿に変身する。

それに合わせて、私は子供モードで手を繋ぐ。



「何だか懐かしいね!

 着物着てこうしていると、お祭りに行った時みたい!」


「そうね……」


「流石に憶えてない?」


「いいえ。小春の事だけは殆ど覚えてるわ。

 魔法も使って記憶の維持は続けてきたもの」


「お姉ちゃんも中々愛が重いよね。

 もちろん嬉しいんだけど」


「アルカの周りってそんなのばかりだよね」


「私ってもしかして軽い方?

 もっと積極的にいくべきかしら」


「大丈夫だよ。カノン。

そんな心配しなくても皆狂っていくから」


「それは安心して良いの?」


「小春、あなた……」


「そんなドン引きしないでよ!

 この件だけはお姉ちゃんが言えた立場じゃないでしょ!」


『ハルわすれない』

『どれだけ』

『さみしくても』

『ママすき』

『だいすき』


「そう言えば深雪の被害者が一人いたね。

 しかもこの子アルカの被害者でもあるんだよね。

 なんか可哀想になってきた」


「うぐ……」


「ハルちゃんは本当に良い子だわ。

 今度私と二人きりでデートしてみない?

 もう少しだけ成長してくれると最高よ!」


『しかたない』

『サービス』

『ママのせい』

『デートだいなし』

『そのかわり』


「ぐふっ!」


 私の中から九歳くらいの姿で出現するハルちゃん。

しかも着物まで身につけている。芸が細かい。


 ハルちゃんはカノンの手を握り、カノンを見上げながら話しかける。


「カノンおねえちゃん」

「だっこして」


「ハルちゃん!!!!」


 大興奮のカノンはハルちゃんを抱き上げる前に鼻血を吹き出した。


何か私の時より興奮してない?

もう乗り換えるの?

私が言えたことじゃないけど。

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