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22-10.受け入れ

 お姉ちゃんの分の指輪はハルちゃんにも作ることにした。

お姉ちゃんは複雑な顔をしたけど、何も言わなかった。


 指輪の作成依頼が済んで私達は別荘の自室に転移する。

お姉ちゃんもようやく観念したのか無力化を切ってくれた。



「お姉ちゃん。自分で話せる?

 ノアちゃん達にちゃんと紹介したいんだけど」


「……もうわかったわよ。

 私はもう逃げないから手は離して大丈夫よ。

 カノンちゃんごめんね。

 今日はアルカと過ごすはずだったのでしょう?」


「そうですね。今日をずっと楽しみにしていました」


「ごめんなさい……」


「だからお義姉さんもいつまでも落ち込んでいないで元気出してください!

 私の為にも、皆の為にも、アルカの為にも」


「そうね。いい加減切り替えるわ」


「はい!」


「カノン良い子でしょ?

 とっても優しくて明るい子なの。

 これからはお姉ちゃんにとっても家族なんだからね?」


「小春の周りにいる子は皆良い子だものね」


「もちろんお姉ちゃんもね!」


「私は……」


「ほら行こう!

 いつまでもこの部屋にいたらノアちゃん達の方から乗り込んでくるよ?」


「そうね。行きましょう」


 私はノアちゃん達にも一度集まってもらって、皆を連れてダイニングに移動した。

今ここにいないのはセレネだけだ。

まだ仕事中のセレネには帰ってから伝えよう。



「ノアちゃんには念話で少し伝えたけど、エイミーは深雪お姉ちゃんだったの。

 正直私も状況が良くわかっていないのだけど、お姉ちゃんは私達がお姉ちゃんの正体に迫ったせいで逃げようとしていた。

 だから、私は今直ぐ無理やりに話を聞き出そうとは思ってないの。

 けれど、もう側を離れるつもりもない。

 それで無理やりここまで連れてきてしまったけど、皆も受け入れてくれる?」


「受け入れるのは問題ありませんが、ギルドの方は良いのですか?

 黙って出てきてしまったのでしょう?」


「一応ギルド長にはエイミーを捕まえた事だけ伝えてあるけど一度話には行かなくちゃね。

 必要ならセレネとカノンのように、私が送り迎えしても良いわ。ってその必要はないのかしら。

 良く考えたらハルちゃんの魔法の師匠だものね。

 空間転移も普通に使えるわよね」


「ええ。その程度なら」


「今度戦ってくれよ。ハルの師匠なら当然強いんだろ?」


「クレア久しぶりね。

 こんな所にいたなんて。

 けどごめんなさい。

 期待を裏切って申し訳ないけど特別強いわけじゃないの。

 私自身がアルカみたいに強い力を持っているわけではないし、ハルはそもそもが吸血鬼だから」


「久しぶりって言われてもな。

 本当にエイミーなのか?

 全然別人じゃねえか。

 その気配で強くねえは嘘だろ。

 今までどうやって隠してたんだ?」


「そうだよお姉ちゃん!

 無効化のやつ切ってから全然違うじゃない!

 ハルちゃんが隠蔽の効果もあるって言っていたけど、普段はそれで隠してたのね!

 ニクスとハルちゃんの目すら誤魔化すなんてよっぽどじゃない!」


「この力だけは特別よ。貰い物なのよ」


「アルカのイメージした魔法が使える能力の代わりって事だね。同じものにしなかったんだね」


「ニクス!」


「一々反応していたらバレてしまうよ?」


「あなた嫌な人ね」


「神だからね」


「ほら喧嘩しないで二人とも。

 ニクスは意地悪しちゃだめよ。

 何がそんなに気に入らないの?

 話せないことばかりなのはニクスも一緒じゃない」


「ごめんね。そんなつもりじゃないんだよ。

 ただ、深雪のせいで暫くアルカと会えなかったから、つい言葉がきつくなってしまうだけなんだよ」


「ごめんねニクス。

 頑張ってくれてありがとう。

 お陰でお姉ちゃんが直ぐに諦めてくれたわ。

 愛してる。ニクス」


「アルカ~」


「そういえばニクス帰ってたのね!

 びっくりしすぎて気が付かなかったわ!」


「ルカも」


「リヴィはきづいた!」


『リヴィは偉いですね。

 私も気付いていませんでしたのに』


「皆酷いよ!」


「ニクスはお疲れ様でした。

 アルカの為に頑張ってくれて感謝します。

 どうやらアルカに先を越されたようですが」


「どうしてもっと素直に褒めてくれないの!」


『ニクスいじられ』

『キャラ?』


「やだよ!」


「ニクスは後で私が二人きりで労うからね~」


「アルカ~」


『ハルもやってあげる』


「ハル!?いらないよ!アルカと二人きりにしてよ!」


『えんりょしない』

『またいっぱい』

『キスしてあげる』


「いいってば!」


「ハルはニクスともそんな関係なの?

 私の可愛いハルが……」


「六百年も放っておいてよく言うね」


「うぐ……」


「ニクス意地悪はダメよ。

 労いじゃなくて仕返しにしちゃうわよ」


「ひどい……」


「それで?この後はどうするのかね?

 今日はカノン君とのデートだったのではないのかね?

 姉君も同行してもう一度行ってくるかね?」


「そうねそうしましょう!

 少し気持ちを切り替える必要があるわ!」


「カノン……」


「ほら落ち込まないでアルカ。

 大丈夫よ。アルカに元気を出してもらえるならそれ以上に嬉しいことはないわ!

 それに、折角会えたお姉様だもの。

 ここで置き去りになんて出来ないわ!

 だからいっそ二人でお姉様の心を溶かしてあげましょう!

 ついでだからニクスも来てくれる?

 ニクスとお姉様の蟠りも無くしてしまいましょう!」


「ということで行くよ二人とも。

 私とカノンが二人を引っ張ってあげるよ。

 とは言え、何処に行こうか……

 そうだ!ハル。ちょっと頼みがあるんだけど」


『なんでも』


「例の島国に連れて行ってほしいんだ。

 お願いできる?」


『がってん』


「じゃあ、ノア!

 悪いけどまたアルカ借りていくわね!」


「ええ。今日一日はカノンの好きにしてください。

 元気になったアルカを返してくれるとなお嬉しいです」


「期待してて!

 ハルちゃん!お願い!」


私、お姉ちゃん、ニクス、カノン、ハルちゃんの五人はハルちゃんの力で転移した。

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