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22-5.我慢

 私はカノンと二人で露天風呂にやってきた。

まだまだ話は尽きないけれど、これから生活するのだからと、設備を紹介して回っていたのだ。

その最後にお風呂にやってきた私達は二人だけで入ってしまうことにした。



「囲いはあるけれど、殆ど外じゃない。

 こんな場所で服を脱ぐのは抵抗があるわ」


「じゃあやめておく?

 一応部屋風呂もあるから無理にとは言わないけど」


「いいえ。折角ですもの!

 頑張って挑戦してみるわ!」


「ふふ」


 私は先に脱衣所を抜けて体を洗っていく。

そこに少しだけ遅れてカノンがやってくる。

私はカノンも自分の前に座らせて洗っていく。


 カノンはどこもかしこも本当に綺麗だ。

髪も背中もお尻も後ろから見える何もかもがツヤツヤのすべすべだ。

思わず撫で回したくなるのをぐっと堪えて、磨いていく。


 続けてカノンをくるりと回して、正面で向かい合う。

真っ赤になったカノンが俯いていた。

思わずおでこにキスしてから、体を洗っていく。



「可愛い」


「どこ見ていったの?」


「全部」


「視線が動いていないわ」


「俯いていては、わからないじゃない」


「感じるもの」


「本当に?ちゃんと顔を上げて確かめてみてよ」


「無理だわ」


「カノンは照れ屋さんなのね」


「私は普通よ!アルカが慣れすぎてるだけじゃない!」


「普通は同性同士でそんなに照れたりしないんじゃない?」


「いじわる!」


「良く言われるわ」


「開き直らないでよ!」


「それも良く言われる」


「もっと優しくして」


「わかった」


 私はカノンを抱えあげて湯船に入っていく。

暫くそのまま、カノンを横抱きにしてのんびり過ごす。



「全然優しくないわ」


「そう?今は何もしていないじゃない」


「抱き締めて離してくれないじゃない」


「落ち着くかなって思ったのだけど」


「そんなわけないじゃない!

 ずっとドキドキが止まらないわ!」


「確かめてみても良い?」


「……どうやって?」


 私はカノンを抱き直して、胸に耳を当てる。



「!?」


「本当ね。今も益々早くなってる気がするわ」


「……」


「カノン?」


 カノンの体から力が抜けて、何事かと慌てて様子を確認すると、カノンは気を失っていた。


 私は風呂から出て自室に戻り、カノンをベットに寝かせて看病する。


 暫くして目覚めたカノンは、状況を把握すると私に恨みがましげな目を向けてくる。



「元気が出た様で良かった。

 やりすぎました。ごめんなさい」


「本当よ!

 何度も加減してくれって頼んだじゃない!」


「あれでもかなり我慢していたのだけど」


「我慢って……

 今もなにかしたいと思ってるの?」


「ダメよ。聞かないで。

 そんな事口にしたら我慢できなくなってしまうわ」


「本当に何考えてるの!?」


「ほら。かっかしないで。

 さっき倒れたばかりなのだから今は大人しくしていてね」


「アルカのせいでしょ!」


「嫌いになちゃった?」


「そんなわけ無いじゃない!」


「それは良かったわ」


 私はカノンに少し冷やした果実水を飲ませる。

それからカノンも少しずつ落ち着いていく。



「今日の所は私の部屋で一緒に眠てもらうけど、カノンの部屋も用意しなくちゃね。

 この家もそれなりに広めには作ったのだけど、流石に部屋数は少し余裕がなくなってきたわ」


 カノンだけでなく、グリアとクレア、後一応ニクスとハルちゃんも後から加わったのだ。

ニクスとハルちゃんは基本的には私の部屋で生活しているけれど、一時的に避難したいと思う時もあるようだ。


 また爺さんにお願いして増築してもらおうかしら。

それとも、いっそ自分でもう一棟建ててしまおうかしら。

私の建築魔法は、過去に建てる所を見た建物を丸ごと再現する事はできるけれど、自分の思い通りに改築できるわけではない。

どちらにするかは、家族皆にも相談してみる事にしよう。


 なんだったら、一人一件家を持っても良いのだし。

ここは未開拓地の深部だ。

どこの国の領土でもないし、自由気ままに開拓できる。

いっそ、どこか島でも探して場所を移しても良いけれど。



「どうやってこんな場所に家を建てたの?

 アルカ達が凄いのは良くわかったけど、建築の技術まで持っているわけでは無いのでしょう?」


 私は爺さんの事と、建築魔法について説明する。



「また驚かされてしまったわ。

 アルカは本当に何でも有りね」


「カノンの望みなら何でも叶えてあげるわ。

 遠慮なく言ってみてね」


「思いついたら言ってみるわ。

 今はアルカが私だけを見てくれているから、それで十分」


「カノン!」


 押し倒しそうになるのをぐっと堪える。

そんな展開を繰り返しながら、私はカノンと一晩中話し続けていた。

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