22-3.二人きり
私はカノンと二人で自室に戻る。
折角なら、今日の所は二人きりでゆっくり話をするとしよう。
後で二人でお風呂に入るのも良いだろう。
私はカノンをベットに座らせて、子供モードに変身してカノンの膝に横向きに腰掛ける。
「カノンお姉ちゃん」
カノンに体を預けて顔を見上げながら、目一杯可愛くなるように呼びかけてみる。
「……」
あれ?
何故か何も言わないカノン。
意識は有るようだけど、どうしたの?
「カノン?どうしたの?
大丈夫?なにかダメだった?」
「アルカちゃん!」
「はい!」
突然大声を放つカノン。
思わずびっくりしてしまった。
ちゃん?
「アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!アルカちゃん!」
私を力一杯抱き締めて頬ずりしながら呼び続けるカノン。
あかん……
何かバグった。
私は若干怖くなって、元の姿に戻る。
「どうして戻っちゃうの!?
私のアルカちゃんを返して!!
私の理想の女の子なの!
今直ぐ戻ってよ!」
なおも錯乱を続けるカノン。
私の肩を掴んでガタガタしながら捲し立てる。
私はカノンを力ずくで抱き締め返して、落ち着かせる。
「ぐふぐへへ」
私の胸元から何だか汚い笑い声が聴こえた気がするけど、きっと気のせいだ。きっと息苦しかったんだ。
静かになったカノンを今度は逆に膝に抱えて話しかける。
「落ち着いた?」
「うん。もう大丈夫。
少し取り乱したわ」
少し?
「それは良かったわ。
何れにせよ、カノンに私の事を気に入ってもらえたのは嬉しいわ。
例えどんな形でもね」
「やめて!思い出さないで!
そもそもアルカが悪いんじゃない!
想いが通じ合った途端にあんな事するんだもの!
もう少し手加減してよ!
私はアルカみたいに軽薄じゃないの!
まだ誰ともこんな距離感で接したことなんて無いの!
でも嬉しかったからまたやって!
お姉ちゃんって呼んで!」
「わかったわ。
カノンお姉ちゃん」
「今じゃないに決まってるでしょ!」
「冗談よ。
それより、カノンは私の胸も好きなの?
その手は何?
あなたロリコンじゃなかったの?」
「アルカの事なら何でも好きよ!」
「まあ、気に入ったのなら良いのだけど。
良いわ。好きにして。
それはもうカノンのものでもあるのだから」
「ぐへへ」
「……」
「ごほん!そうじゃなくって!
違うのよ!イチャイチャしたかったのは事実だけど!
そうじゃないのよ。
ちゃんと真面目に話をしておきたかったの」
そう言いながらも私の胸から手を離さないカノン。
カノンにも同じの付いてるじゃない……あっ……ごめん。
「良いわよ。何でも話して。
カノンの話を私に聞かせて?」
「今私の胸を見て何を思ったのかしら?」
「私は好きよ。
小さいはステータスなのよ」
「小さいって言うな!
まだ成長するかもしれないでしょ!」
「でも下手すると、アリア以下……」
「人の胸揉んで失礼なこと言うな!!!」
「後で顔から行って良い?」
「やめて!」
「冗談はこの辺にして、ちゃんと話をしましょう。
私達は少し急激に関係が進みすぎたわ。
カノンの事は今日一日でも沢山知れたとは思うけど、そんなのほんの一部だものね。
だからいっぱいお話して、もっといっぱいカノンの事を知りたいわ」
「そうね。私もそうしたいの。
それなのにアルカったら」
「ごめんって。
少しだけ緊張している様だったから場を和ませようとしただけなのよ」
「だってしょうがないじゃない!
いきなり部屋に連れ込まれるのだもの!」
「あら?期待していたの?
ごめんなさい。もう少し仲良くなってからと思っていたけど、失敗だったかしら。
カノンが望むのならそこから仲良くなっても良いのよ?
その方が手っ取り早いかも知れないし」
「嫌よ!ちゃんと段階を踏みましょう!
アルカみたいに経験豊富じゃないの。
初めてはちゃんと準備してから迎えたいわ」
「今はどこまでなら良い?
キスして良い?」
「ほっぺなら」
私はカノンの頬にキスをする。
「わかってはいたけど、躊躇も何もなかったわね」
「情緒がないとは良く言われるわ」
「直しなさいよ!」
「そうは言ってもね。
眼の前に大好きな相手がいたら我慢なんて出来ないもの」
「そうやって八人も毒牙にかけたのね」
「流石にリヴィにはまだ頬くらいにしか自分からはしてないわ」
「ルカにはしたのね!
しかもその言い方はリヴィちゃんからのキスは受け入れたって事なんでしょ!?」
「流れでつい」
「ついじゃないわ!」
「もう。そんなに怒らないでよ。
カノンにもこれからいっぱいしてあげるから」
「そうじゃないでしょ!?」
「じゃあしなくて良いの?」
「ダメよ!いっぱいして!」
私はカノンの頬にキスをした。




