21-27.顛末
『「ごめんなさい」』
私はカノンを連れて別荘に転移し、全員をリビングに集めるなり土下座した。
何故かハルちゃんも付き合ってくれている。
「もうわかってるけど、先に理由を言いなさい」
「カノンとの結婚を認めて下さい」
「なんでデートに行っただけでそうなるんです?
いえ、冗談です。
正直この展開を予想した上で許可を出したんです」
『とはいえ、今回はハルちゃんの時すら上回る速度です。
次はもう既に落とし終わっている人でも出てくるのではないでしょうか』
「エイミーさんかしら」
「セレネみたいに、過去に助けた子かもしれませんよ?」
「カノンお姉ちゃんもチョロかったの?」
「最近アリアが賢くなった」
「ルカはどうして意地悪ばかり言うの!」
「リヴィ、チョ◯ゴン?」
「リヴィは何を言っているのですか?」
「あれ?誰も怒らないの?」
『そうていがい』
「もちろんお仕置きはするわよ」
「けれど、既にこの状況は想像していたのです」
『今更声を荒げる程ではありませんね』
「皆ゴメンね?何か、期待外れだった?」
「いいえ。ようこそ。カノン。
アルカ被害者の会の仲間入りよ」
「会員番号は九番です」
「アリアは一番!」
「一番は私よ」
「この場合は私ではありませんか?」
『セレネであってるんじゃない?
なんせ六歳の頃から惚れてたんだし』
『ニクス忘れているの?
今は私以外に聴こえないわよ?』
「ニクスが何か不愉快なことを考えているわね」
「そういえば、何故かセレネはアルカ越しでも気配を感じるんでしたね」
「感覚の鋭いノアちゃんでも感じないのに不思議よね」
『せいじょだから』
『それと』
『こゆうくうかん』
『ニクスのへや』
『アルカのせかい』
『きょうめいしてる』
「どういうこと?」
『セレネとノア』
『ひとつのせかい』
『きょうゆうしてる』
『アルカみたいに』
『こころのなかに』
『せかいがある』
「「え!?」」
「その空間にアムルの魂が収められているのね」
『そう』
『セレネのほうが』
『えいきょうつよい』
『ノアとのちがい』
『流石ハルだね。
もう気付いたんだ』
「やろうと思えば、ニクスは二人の心も視れるの?」
『今のままじゃ無理だけど、
アルカと同じように力を与えればできるよ』
「ニクスはなんて?」
「準備すれば出来るって」
「普通に嫌ですけどね」
「アルカじゃあるまいし、あんなのに心の中覗かれたくないわ」
「そういえば、クレアとグリアにはまだ紹介していなかったわね。
この子がカノン。私達の組織運営担当であり、私の新しいお嫁さんよ」
「お前本当に一回切り捨ててやるか?
子供ばっか囲って何やってやがる」
「本当に良い加減にしたまえよ」
「私にケチ付ける前に自己紹介くらいしなさい」
「そうだな。悪かったなカノン。
私はクレアだ。アルカとは腐れ縁だ」
「私はグリアだ。今回の組織作りには私も協力させて貰う。
とはいえ、基本はただの学者だ。
主導するのはカノン君の役目だ」
「クレアさん!グリアさん!よろしくお願いします!
皆!改めまして私はカノン!
今日からアルカの九番目のお嫁さんになるわ!
急にお仕掛けて申し訳ないけれど仲良くしてね!」
「お嫁さんだと三番目じゃない?」
「まだ正式に結婚しているのは私とセレネだけですよ」
『私はまだ未成年なので、婚約者止まりなのです』
「まあ、私達もまだ成人してないんだけど」
『ハルは?』
「ハルちゃんは恋人がなんかしっくり来るのよね。
指輪が出来たらまた考えましょう」
『うん』
「つまり順番は特に決まってないのね?
それは良かったわ!
流石にアリア達の成長を待つ数年間も、結婚の順番待ちするのは嫌だものね!」
「カノンお姉ちゃん!アリアとも結婚しましょう!
私お姉ちゃん大好きよ!」
「え!?」
「ダメよ。アリア。
まだカノンは私のなの。
暫く我慢しなさい」
「まだ?暫く?」
「私達はアルカ以外とも関係を持っている場合もあります。
私はセレネと。ニクスはハルとくらいですが」
「私はレーネとニクスとも関係を持ってもいいわ。
カノンもそのうちね」
「セレネは要注意人物なので気を付けて下さい」
「随分と自由気ままにやっているのね。
まあ、追々慣れていくとしましょう。
ともかく、私はこれからアリアとセレネにも、攻略されるかもしれないというのはわかったわ」
「あまり抵抗がないの?」
「いえ。そんな事はないわ。
人並みに抵抗もあるわよ。
ただ、私のモットーはとにかく楽しむことなの。
だからやる前から拒絶したりはしないわ。
まあ、どうしても無理だったら遠慮なく拒絶させて貰うけど。
あと、私の好みは子供姿のアルカとアリアなの。
最近はルカも悪くないわね。
ハルちゃんとリヴィちゃんはもう少し成長していると良い感じよ!」
「つまり、アルカの同類ですか」
「けど、随分と範囲が狭いみたいね。
アルカが広すぎるだけとも言うけど」
「アリア、カノ姉とあった時七歳。
多分、七~十歳位が好み」
「そう具体的に聞くと閉口してしまうわね。
ちなみに、私の変身時の姿は十五歳位の頃なんだけど」
「十五歳ですって!?詐欺じゃない!」
「早くも夫婦喧嘩かしら」
「短い付き合いでしたね」
「「そんなわけないでしょ!」」
『もう息ぴったりですね』
「カノンお姉ちゃん、アルカとラブラブね!」
「アリアは何で嬉しそうなの?
ようやく恋心を理解し始めたんじゃなかったの?」
「まだ完全には根付いてないのでしょう」
「アリアはアリア」
「リヴィはリヴィ」
「いい加減本題を始めたまえ。
今日は組織作りについて話し合うのが目的のはずだ。
君の嫁の発表会ではないだろう?」
「私はもう行くぞ。
ノア。終わったら来い。いつもの訓練場にいる。
どうせ今日はアルカ、使いもんにならねえだろ?」
「わかりました。私が行きます」
「カノン!
話が終わったら指輪作りに行きましょうね!」
「良いの!?嬉しいわ!」
「そんな余裕あるわけ無いでしょ。
明日にしなさい」
「「は~い」」




