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21-26.計画通り

「カノン様。アルカ殿はアリア様達以外にも、既にお二人ほど婚姻関係を結んでいる相手がいらっしゃるようですが、その件も承知しておりますでしょうか」


「存じております。

 アルカ様は、総勢八名の女性と関係を結んでおります」


 あっさり暴露するカノン。

……何考えてんの?


 ところで、リヴィは女性としてカウントしていいの?

まだあの子三歳よ?

三歳児に求婚した私が言うのもあれだけど。



 あまりの事に口をパクパクさせて二の句を継げない宰相さん。

既に許容量を超過しているお義父様。

流石に頬がピクッと動いたお義母様。

遂に吹き出した王様。



「アルカ様。セレネ様とレーネ様の件を告げても宜しいでしょうか」


 聖女と人魚のお姫様だから?

流石にニクスの件は言えないとわかってるのか。

セレネについては、私達の国の教会とこの国では距離があるため、この国ではまだ知られてはいないけれど、セレネが聖女であること自体は公にされている事だし構わない。


 レーネはどうしようかしら。

そもそも人魚の国の事を言ったからって信じられるの?

まあ、知らせた所でって意味ではどちらも同じようなものか。



「この場に限るのであれば」


「感謝します。

 宰相。アルカ様の伴侶は何れも相応の立場か力をお持ちの方々です。

 アリアとルカは言うに及ばず、

 アルカ様の国の教会にて聖女を務めるセレネ様。

 海底に存在する人魚の国の姫であるレイネス様。

 その様な方々とも関係を結んでいるのです。

 この場では明かせませんが他の方々も同様です。

 先日再会したアリアとルカについても見違えておりました。

 あの二人ですら大きな力を持つのは時間の問題です。

 アルカ様との関係はこの国にとっても有益なものです。

 どうか、それらも考慮に入れて下さいませ」


「なりませぬ!その様な理由ならば、アリア様とルカ様で十分でございます。カノン様が嫁ぐ必要などございません」


「いえ。必要なのです。

 アルカ様の御一行には致命的な問題があるのです。

 元はと言えば、私はその件でアルカ様に助力を依頼されたのです。

 言葉を選ばずに申し上げれば、アルカ様の縁者は誰もが、その立場や力と引き換えに、一般的な教養に欠けております。

 私はその問題を解決するためにお声がけ頂いたのです。

 私はその様な立場だったにも関わらず、アルカ様に想いを寄せました。

 幸運にもアルカ様も応えてくださいました。

 私はアルカ様が求めて下さった想いに応えたいのです。

 アルカ様の力となりたいのです。

 尋常ならざる強大な力を持つアルカ様が、社会の一員で在り続けられるように尽力したいのです。

 妹達が孤独という不幸な道に迷い込む事を阻止したいのです。

 これは私にしか出来ないことだと自負しております。

 アリアとルカでは力不足なのです」


「……それは」


 遂に口を閉ざす宰相さん。

私の常識の無さは宰相さんも良くわかっているものね……



 カノンは、

物理的にも政治的にも大きな力を持ちながら、社会からはぐれかけの集団とかいう、わけのわからない存在である私達に、手綱を付けられるのは自分だけだと主張しているのだろう。


 私一人でもこの国を落とせると脅しておきながら、それと同等の脅威がまだ眠っていると匂わせつつ、その制御を自分に任せてみないかと告げているのだ。


 ここまでが計画通りなのだろうか。

だからあっさりと、人数まで暴露してしまったのだろうか。

私はもうとっくに無理筋だと思っていたけど、カノンは一切そんな事は考えていなかったようだ。



「どうするかね?」


 誰もが口を閉ざしてしまっている中、王様が皇太子様おとうさまに決断を促す。



「カノン。認めよう。

 アルカ殿との関係はカノンの好きにするが良い。

 だが、この国の姫としての立場は放棄してもらおう。

 それで本当に良いのだね?」


「はい。感謝します。

 お父様、いえ失礼致しました。

 皇太子殿下」


「父で構わんよ。

 最早この城では君の母が認められているのだ。

 カノンが姫でなくとも親子でいたとて責める者もいやしまい」


「ご厚意感謝致します。お父様」


「お言葉ですが!」


「よい。好きにさせよ」


「陛下!承知致しました」


「アルカ殿。娘をよろしく頼む」


「はい。必ずや幸せにしてみせます。

 そして、娘さんの力もお借りします。

 彼女は私に不足しているものを良く理解してくれています。

 私達はお互いに良い影響を与え合えると信じております」


「うむ……」


 何か言葉間違えたかしら。

お義父様が微妙な表情で固まってしまった。



「これで話は纏まったな。

 では、少しだけ胸襟を開いて好きに話すが良い」


「ありがとう。お祖父様。

 良くもやってくれたわね!

 また面白がっていたんでしょ!?

 毎度毎度、意地悪は止めてよ!

 お父様の心臓が止まってしまうでしょ!」


「お父様!大丈夫ですか!?

 すみません!ご心労をおかけしました!

 私はこれより城を離れますが、心は離れません。

 いつの日か里帰りの機会を頂けると嬉しいです」


「お母様!認めてくれてありがとう!

 大好きよ!アリア達も連れてまた会いに来るからね!

 お父様の事よろしくね!」


 カノンは王様の許可が出るなり、いつもの口調で捲し立てる。

お義父様にだけ敬語なのは慕ってるからっぽいな。

ファザコンでロリコンなの?

難儀な嗜好ね。



「アルカ様。娘をよろしくお願いします」


 私に頭を下げるお義母様。


「どうか頭を上げて下さい!お義母様!

 カノンの事は絶対に幸せにしてみせます!」


「ふふ。娘を泣かせたら承知しませんよ?」


 笑顔で威圧してくるお義母様。

お義母様呼びはまずかった?

調子に乗りすぎたかしら……



『ノアもおこる』

『アルカかくご』

『ハルもおこられる』


『うぐ・・・』


『なんでけっこん』

『きまってるの?』

『みんなにそうだん』

『してないのに』


『ハルも』

『とめなかったけど』


『そう言えばどうして止めなかったの?』


『……タイミングなかった』

『ながれごういん』


『アルカいつのまにか』

『のせられてた』


『アルカこそ』

『どこでかくご』

『きまった?』


『ハル』

『よくわからない』


『アルカ』

『さいしょ』

『なかよくしよう』

『いっただけ』

『いつのまにか』

『そのきなった』


『……あれ?』


『ノアあきれる』

『セレネおこる』

『レーネなげく』

『ニクスかなしむ』


『アルカかくご』


『はい……叱られます』

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