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21-22.寝起きドッキリ

 今日はカノンと会う約束の日だ。

なんだかとっても待ち遠しかった。

カノンはどんな結論を出すのだろうか。


 私は迎えに行く際の流れを相談するために、朝目覚めて直ぐ、カノンに小型転移門を繋ぐ。

そういえば、転移門を特定の人の側に開ける魔法は、対象の相手にある程度の好意を持っている必要があるはずなのだけど、なんか普通に開ける気がして普通に開いていた。



『やっぱりアルカ』

『カノンほしい』

『ふしぎ』

『すこししか』

『はなしてないのに』


『なんでかしらね~』


『せっそうなし』



「カノン今良い?

 今日の予定を聞きたいのだけど」


「アルカ!?

 突然声が聞こえて驚いてしまったわ!

 これが前に言っていた小型転移門というやつなのね!

 これならお互いに念話魔法が使えなくても話ができるのかしら!

 本当にアルカは不思議なことばかりできるのね!

 益々興味が湧いてきたわ!

 良かったらこれからこっちに来ない?

 出来ればアルカ一人で来て欲しいの!

 少しだけ親睦を深めてみるというのはどう?

 きっとお互いの事をもっと知っておいた方が、今日の話し合いも良いものになると思うの!

 突然勝手を言って申し訳ないけれど、考えてみてくれると嬉しいわ!」


 久しぶりの第一声もハイテンションだった。

前回は驚きすぎて冷静じゃなかったとか言っていたけど、元々こういう所はありそうだ。

本当に商人向いてるの?

自分で直接交渉ごとをするのではなく、人を使うタイプなのかしら。



「ええ。もちろん私は構わないけれど、一応家族に相談してみるわ。少し待っていてくれる?」


「ええ!良いわよ!

 そうよね!お嫁さんがいっぱいいるのだもの!

 黙ってデートしていたなんて思われては困ってしまうものね!

 でも出来れば一人で来てね?

 私はアルカと仲良くなりたいのだもの!」



え?

そういう意味なの?

……なんで?


『スケコマシた』

『ノアにいいつける』


『ハルちゃん!?

 まだ私なにもしてないの知ってるよね!?』


『しらない』


『アルカも』

『まんざらじゃない』

『それだけ』


『待ってハルちゃん!お願い!自分で言うから!』


『ならいい』

『アルカしんじる』


 私はカノンに断って転移門を閉じ、ノアちゃん達の元に移動する。


 今日は全員で休みにしていたので、セレネとノアちゃんはノアちゃんの部屋にいたようだ。

もしかして昨日の夜からかな?

何で私は誘ってくれないの?


 私は少しだけショックを受けながらも、気を取り直して、扉をノックする。



「良いですよ。アルカ。入ってください」


 ノアちゃんは誰が来たのか当たり前のように察している。



「どうしました?こんな朝早くから。

 朝食ならこれから準備しますので待っていてください」


 シーツを体にかけてベットに座ったままのノアちゃんが答える。

隣にはセレネが寝ているようだ。



「何で私を呼んでくれないの?」


 違った。


「じゃなかった。今日のカノンとの件なんだけど」


「今日来る日でしたね。

 どういう流れになっているんですか?」


「さっき、それをカノンに確認したんだけどね。

 その時に何故かデートに誘われてしまったのよ。

 これから出てきても良いかしら」


「……アルカ何か機嫌悪いです?」


「ううん。そんな事は無いわ。

 ノアちゃんとセレネが二人だけで仲良くしてて嫉妬して、面白くないと思ってるなんて、そんな事は無いわよ」


「それはすみません。

 ちょっと流されてしまっただけなんです。

 突発的だったのでアルカを呼ぶタイミングがありませんでした。

 そもそも、既に寝ているようでしたし」


「だから何も思ってないわ。

 きっとセレネが強引に迫ったのでしょうし。

 ノアちゃんに怒ったりするわけ無いじゃない」


「仕方ないですね。

 それで?デートでしたっけ?

 行くのは構いませんが、その前にこっちに来てください」


 私はノアちゃんに従い、隣に腰掛ける。

ノアちゃんは私に寄りかかって、体を擦り付ける。



「出かける前に私の匂いをしっかり付けて行ってください。

 今はセレネのも混じってますけど、まあ良いでしょう。

 それがデートに行く条件です」


「早く返事だけでもしてあげなきゃ可哀想だわ」


「ダメです。今他の女の子の事を口にするのは許しません」


「なら早くしなくちゃね。

 このやり方じゃ時間がかかってしまうわ」


 私がノアちゃんを押し倒して覆いかぶさると、隣で寝ていたセレネが目を覚ます。


「おはよう。二人とも。

 休みだからって朝っぱらからお盛んね」


 私とノアちゃんは視線を交わして、セレネにターゲットを移す。

無言の私達に抑え込まれたセレネは慌てて逃げようと体をよじる。



「何故逃げる必要があるのです?

 セレネの大好きなことをしてあげます」


「二人ともなんか怖いわ!」


「たまには仕返しするのも悪くないわね」


「止めて!泣くわよ!」


「なら仕方がありませんね」


「セレネには何もしないであげるわ」


 私達はセレネを押さえつけたまま、眼の前で絡み合う。


「ちょっと!離してよ!

 そんなやり方はあんまりよ!」


「なら混ざりたいと言えばいいじゃないですか」


「二人でいっぱい可愛がってあげるわ」


「ひぐっ……」


「いくら何でも泣くのは早くないですか?」


「セレネの泣き顔も良いかも……」


『ハルもなく?』


『う~ん?ハルちゃんは何か違うかも?』


「残念ですがこの辺で止めておきましょう。

 セレネが機嫌を損ねてはデートの許可が貰えませんよ?」


「仕方ないわね」


「えぐっ……デート?」


「これからカノンと二人で出かけてきたいのだけど、セレネも許してくれる?」


「わかったから!許すからその手は止めて!

 今は嫌!」


「アルカ。脅すのはダメです。

 後で喧嘩になっても知りませんよ」


「そうしたらまたこうしてイジメてあげるわ。

 私が一番大好きなのはセレネだってわからせてあげなきゃ」


「ダメです。するなら私にしてください」


「喜んで!」


『アルカ』

『カノンのこと』

『わすれるダメ』


「残念だけど、今はここまでね。

 セレネが正気に戻って機嫌を損ねる前に出発してしまいましょう」


「セレネの事は私に任せておいてください。

 折角弱っているので今のうちに少し遊んでおきます」


「程々にね」


 私はセレネとノアちゃんにキスをして、部屋の出口に向かう。


「待って!アルカ!

 行く前にノア止めて!待っててば!」


 セレネが何か叫んでいたけど後はノアちゃんに任せておこう。


 私は部屋に戻って、カノンに連絡を取り、出かける準備を始めた。

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