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21-21.業務

 私が引き続き収納空間の棚卸しと整理整頓をしていると、クレアが近づいてきた。


「お前何やってるんだ?

 そんなにゴミばかり抱えて」


「ちょっと収納空間の整理をね。

 クレアこそどうしたの?

 ノアちゃんと訓練していたのでしょう?

 今日一日は掛り切りだと思ってたのに」


「ノアは子供達の相手してるんだ。

 その間お前が私の相手してくれよ」


「悪いけど暫く明るい内は忙しいのよ。

 この作業、後三日以内には済ませたいのだけど、それまでに終わるかも怪しいわ。

 でも暗くなったら切り上げるから、それ以降なら相手してあげる」


「なら手伝ってやる。とっとと終わらせちまえ」


「本当に?それは助かるけどどういう風の吹き回し?」


「別に何でもいいだろ。

 暫く飯と寝床は世話になんだし、その代わりだとでも思っておけ」


「わかったわ。じゃあ遠慮なく手伝ってもらうわね。

 私が収納空間から取り出した物を仕分けしてもらえる?

 ニクスが記録して、ハルちゃんが仕舞っていくから」


「おう」


 私は手に抱えていたゴミの山を収納空間の中に決めたゴミ捨て場の区画に放り込む。


「ってなにしてやがる!

 そんなもん残しておいてどうする気だ!?」


「いえ。捨ててるだけだけど」


「横着しないで焼いちまえ!

 そうやっていい加減な事してるから面倒な事になってるんだろうが!」


 クレアに言われるがまま、私は地形操作魔法で地面に大きな穴を空けてゴミを放り込んでいき、そこに魔法の火を放つ。


 その後は私に指示を出しながらテキパキと動き回るクレアのお陰で、それまで以上の速さで棚卸し作業が進んでいく。

そんな調子で夕方まで作業を続けた。



「残りはどんなもんだ?」


「それが全然わからないのよね。

 中身を知る方法ってないかしら」


「それでお前はどうやって物を取り出しているんだ?」


「具体的な目標を指定していなければ、何でも良いから何かあるかなって思いながら収納空間を開くと届く所に来るの」


「お前なぁ……」


『ハルもなにか』

『かんがえてみる』


「お願いね。ハル。

 ともかく今日はここまでだね。

 セレネ達を早く迎えに行かないときっと怒るよ」


「そうね!すぐに行ってくるわ!

 クレアもありがとう!

 約束通り、戻ってきたら相手になるわ!」


「おう」


 私は転移でセレネとグリアを迎えに行き、戻ってきたところで、またクレアと向かい合う。

クレアが満足するまで模擬戦を行い、皆で夕飯を食べてお風呂に入って、また家族全員でベットに潜り込む。


 そんな日々が三日程続き、ようやく収納空間の整理が終わった。



「アルカ。じゃあ私は行ってくるから。

 一応、以前のようにアルカの事も見ているつもりだし、会話もできるけど、早く帰って来るために調べ物に集中するから、反応は鈍くなるかもしれないからね。

 絶対に無茶しちゃダメだよ!

 何かあったらすぐに私を呼ぶんだよ!

 作業中だと気付けないかもしれないから、その時はハルと一緒に無理やり降臨させて良いからね。わかった?」


「うん。ちゃんと大人しくしているわ。

 だから早く帰ってきてね」


「うん。行ってくるよ」


 私はニクスの肩を掴んでキスをする。

それから私がニクスを離すと、ニクスの体は消えていった。



『ニクス聞こえているの?』


『うん。こっちの接続も問題ないみたいだね』


『しせんかんじる』

『アルカのこころ』

『けいゆしてる』


『流石ハル!よくわかったね!

 そう。その世界は私の住処に繋がっているんだよ!』


『邪神騒ぎの時に私に与えた力って私の心の世界の事だったのね』


『ううん。その一部って所だよ』


『つながりとか』

『ぜんぶふくめて』


『ハルはあまり解析しすぎないでね?

 それ以上の知識を持てば、いつまでも無事とは言い切れないよ?』


『うん』

『きをつける』


『何だかこれはこれで良いわね。

 ニクスとも常に繋がっている感覚があるもの。

 もちろん、生身の触れ合いも大事だけどね』


『私もこっちの方がアルカの心の中まで見れて嬉しいのはあるけどね。

 それに、もう何度も言ったけど、これから暫くは作業に集中するから、常に見ているわけじゃないからね。

 繋がり自体は切らないけど、そこは勘違いしないでね』


 ニクスは何度も念押ししてから、少しだけ気配が遠ざかった。


 今は、テレビをつけっぱなしにして、テレビの前から離れているような状況らしい。

 更に言うなら、調査とは同じ部屋でパソコンを使ってネット検索したり、撮り溜めた監視映像を見直したりしているようなものだと言う。

 テレビ越しに呼びかける声が意識に届けば反応を返してくれるらしい。


 何だかそれを聞くと、一気に生活感が感じられて少し微妙な気分になる。

神様ってもっとこう、泉に映った外界を見たりとか、雲に開けた穴から地上を眺めたりとか、なにかそういう神秘的なものだと思っていた。


 そういえば、ニクスはゲームをしたり、アニメを観たりもしているらしいし、本当に現代日本と変わらない様な生活をしているのかもしれない。

まあ、その辺りの実際の所は教えてくれないのだけど。

なんかまだそこら辺の言葉は制限に引っかかるようだ。

テレビ云々も例え話だと言っていた。


 ともかく、明日からはクレアとの約束通り、日中はひたすら模擬戦をすることにしよう。

最近サボりすぎていたため、まだルネルには声をかけていない。

以前の動きを取り戻してから声をかけるつもりだ。

一月程度でも随分と鈍ってしまった。


 グリアはもう数日、教会にも通うことにしたようだ。

こっちに日中もいるようになったら、ハルちゃんを貸し出す事もあるだろう。

それまでには、私一人でクレアに勝てるようになっておかねば!


 後は数日後にカノンと会う約束をしている。

こちらも、もう少しだけ計画を詰めておき、カノンともっと具体的な話ができるようにしておこう。


 そんな感じで、また数日が過ぎていった。

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