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21-20.ループ

 私はセレネとグリアを教会に送り届けに来た。



「セレネ!必ず夕方には迎えに来るからね!」


「アルカ!絶対よ!遅れたら再教育よ!」


「セレネ!」


「アルカ!」


「やっぱりセレネを置いていくなんて嫌よ!」


「なら一緒にいましょう!アルカ!」


「セレネ!」


「アルカ!」


「何時までやっているのかね!

 いい加減アルカ君は帰りたまえ!

 君にもやるべきことはあるはずだ!」


 何度も抱き合っては、三文芝居を繰り返す私達にグリアの怒りが爆発し、私は追い出されるようにして、別荘に帰還した。

うん。まあ、途中から悪ノリしてただけな自覚はあるよ。

別にグリアを怒らせたかったわけじゃなくて、なんかセレネと遊んでるつもりだっただけなの……悪気はないの……


 セレネは何度抱き締めても最高だなぁ~

何であんなにふわふわなのかしら。太ってるって意味じゃなくて。

まあ、ノアちゃんよりほんの少しだけ肉付きが良いけど。

きっと成長すればレーネのようにスタイル抜群の美女となったことだろう。

神術で変化使えるようにならないかしら。



『むずかしい』

『でもためす』

『なんでもちょうせん』


『頑張って!ノアちゃんでも使えるやつで宜しくね!』


『うむむ』


 ハルちゃんから考え込む気配がする。

無理難題過ぎただろうか。



『そんなことない』

『ハルすごい』

『アルカにみせる』


『ハルちゃんの凄さはもう何度も見せてもらったよ!

 もうそんな事疑ってないよ!

 私のハルちゃんは最高だよ!』


『ふへ』


 ハルちゃん可愛い。


 私は明るい内に収納空間の棚卸しを始める事にする。

自分の収納空間から取り出して数や品質を記録し、ハルちゃんの収納空間に移していく。


 流石のハルちゃんでも、私の収納空間から勝手に取り出すのは難しいそうだ。

それでも自力で私と同程度には収納空間を使いこなしていたけど。


 一応、私の持ち物限定だが、私からハルちゃんの収納空間を開いて欲しいものを取り出すことはできるようだった。



『ハルのものは』

『アルカのもの』

『わけないでいい』


『その気持は嬉しいけど、流石にそこまでは割り切れないのよ。人としての常識がね……』


『まほうにはじゃま』

『じょうしきわすれる』

『ひつよう』


『けど、にんげん』

『やめないなら』

『すてすぎダメ』


『バランスが難しいわね。

 魔法の事を考える時だけって割り切れれば良いのだけど』


『だいじょうぶ』

『ハルかわり』

『やってあげる』


『ありがとう。ハルちゃん。

 けれど、ハルちゃんがやりたくないことはやらないでね。

 私の為でもそれだけは絶対に守ってね』


『うん』

『やくそく』


『うん!ハルちゃん大好き!』


『ハルもアルカすき!』


『ハルちゃん!』


『アルカ!』


「何時までも手を止めてないで早く進めようよ。

 それにしても、アルカはいくら何でも適当に放り込み過ぎでしょ。

 なんなのこれ。本当に一週間で終わるの?

 収納空間をゴミ箱代わりに使うの止めない?

 素材なのかゴミなのかわからないよ?

 というか、取り出す時に選別できるはずでしょ?

 なんでそこで選り分けないの?

 まさか自分でも区別付いていないの?

 アルカだらしなすぎるよ。

 部屋が綺麗なのは全部放り込んでたからなの?

 必要なものを都度取り出してたの?

 そんな事の為にあげた能力じゃないんだけど」


 隣で手伝うニクスの愚痴が止まらない。

まあ、ニクスの言う通り、私が収納空間から無作為に取り出す物の殆どが無駄な物なのだ。

串焼きの串とか何本入ってるかわからない。

そもそも、私この世界でゴミの処理とかまともにやったことないかもしれない。

最初の頃にエイミーが色々教えてくれた筈なんだけど……



「ほら!また手が止まってるよ!

 早く終わらせようよ!

 私には他にもやりたいことがあるんだから!」


「やりたいこと?何をするの?

 ニクスのやりたいことなら優先しましょう!

 私も手伝うわ!」


「必要ないよ。というか出来ないよ。

 一度帰りたいだけだから」


「え!?嫌よ!帰るなんて言わないで!

 ずっとここにいてよ!」


「一度って言ってるでしょ!

 アルカのお姉さんの事を調べたいの!

 それが済んだらすぐに戻って来るから!」


「……今更調べて何になるの?」


「アルカ?」


「ごめんなさい!なんでもないわ!」


「……アルカ。ごめんね」


 ニクスが私を抱きしめる。


「ニクスのせいじゃないでしょ」


「ううん。アルカの事、気付いてなかったから。

 やっぱり気になってるんだよね。

 けど、もうどうしようもないからって諦めようとしてたんだよね。

 ごめんね。何も考えずに穿り回したりして。

 でも、きっとアルカの為に必要なことだと思うんだ。

 だから私が全部解き明かすから。

 アルカに辛い思いをさせるようなら私の胸にしまっておくから。

 だから安心して?アルカ」


「ダメよ。それはダメ。

 ニクスはまたそうやって抱え込むの?

 そんなの認めないわ。

 どんな真実だって受け入れるから必ず私に話して。

 そうでなければ調べるのは認めないわ」


「……うん。わかった。約束するよ」


「そう。ありがとう。

 ところで、神の座とやらに帰ってしまっても、そんなホイホイこの世界に戻ってこれるの?

 そんな気軽に降臨できるわけじゃないんでしょ?」


「そこは前回と同じだよ。

 私が合図したら、ハルに道を作ってもらって、アルカが抱き寄せるの。

 そうやって無理やり私を引きずり出してもらえば問題ないから」


「まあ、ニクスがそういうなら信じるけど……

 でももし万が一、戻ってこれなかったら承知しないからね!

 その時は乗り込んで攫いに行ってやるんだから!」


「うん。お願いね。

 頼りにしてるよ。私の使徒アルカ


「当然よ。絶対に手放したりしないんだから。

 女神ニクスは私のものよ!」


「とにかく、先に棚卸しを進めてしまおうよ。

 調べに帰ったら、また戻って来るまでにどれくらい時間がかかるかわからないのだし」


「やっぱり行かないでよ……

 そんなに長い時間、ニクスと離れ離れなんて嫌よ」


「会話が最初に戻ってるよ!この話はもうお終いだよ!

 さあ、手を動かして!」

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