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21-14.参戦

 渋々動き出した私は、ノアちゃんをキッチンに送り届けた後、手早く風呂を済ませてニクスを探しに向かう。


 まあ、探しにとは行っても、既にいる場所は知っているのだけど。

ニクスはアリア達の様子を見ててくれたようだ。

ノアちゃんが予め指示しておいたのか、既に訓練は終わる所だった。



「アルカ!何でもうお風呂入ってるの!?

 私達も今から入ろうと思ってたのに!」


「ノア姉となにかしてた?」


「リヴィもおふろはいる!」


『アルカ様、そのお姿でよろしいのですか?

 セレネの罰の途中では?』



 いけない。ついうっかりしていたわ。

レーネの指摘で私は子供の姿に戻る。



「そっか……やっぱりセレネの命令の方が大事なんだ」


 再び子供になった私を見て、ニクスが落ち込んでしまう。

私はニクスを抱き締めて頭を撫でる。

今はニクスの方が背が高いので少し違和感。


 機能不全を起こした女神様をあやしながら、私はレーネと子供達を連れて、再び風呂に向かう。

さっきはお風呂を簡単に済ませてしまったから、これから皆と入り直すことにした。



 髪を洗う頃にはニクスも元気を取り戻した。

私はレーネに背中を預けながら、ニクスを抱きしめる。

なんこれ……最高……



「ズルい!私も!」


 私の右肩に縋りつくアリア。

もう片方にはルカ。

リヴィはニクスの腕の中に収まった。

全方位がぷにぷにやわやわに包まれる。

なにこの天国……



『ハルも』


『もう空きないよ?』


『むう』

『なかからする』


 ハルちゃんがそう言うと、私の体が中からむずむずし始める。



『ハルちゃん!?

 なんかくすぐったいよ!!

 何してるの!?』


『もっとハルのそんざい』

『かんじさせる』


 そのままヒートアップするハルちゃん。

堪えきれずに、思わず身をよじってしまう。


 そこに、突然アリアがキスしてきた。



「アルカなんか変。アルカ見てたら私もなんか変なの……」


 自分の行動に戸惑うアリア。

それを見ていたルカも私にキスをする。



『皆さんだけズルいです!私もします!』


 今度はレーネに。



「アルカ!私も!」


 今度はニクスに。



「みんなちゅーする?リヴィもする!」


 今度はリヴィに。


 そのまま全員に代わる代わるキスされる。

私は私を取り合う皆に流されていく。


 食事の用意が出来て呼びに来たノアちゃんに怒られるまで、そんな事を続けていた。



「今日は一段と浮かれ過ぎでは!」


 全員風呂から上がって、ノアちゃんの前で正座させられてお説教を受けた後、私だけ残されて追加のお叱りを受けていた。



「ごめんなさい……」


「そろそろ交代制にでもするべきでしょうか。

 この調子で毎日好き勝手やられては堕落するのもあっという間です」


「私が週に三日で他を残りの子で分けるのならいいわ」


「セレネの番はしばらくありません。

 明日から教会で働いてきてください。

 何時までも私とアルカだけに働かせて心苦しくはないのですか?」


「うぐ……

 けど!でも!もう私沢山頑張ったじゃん!」


「既にセレネが忙しくしていた時から一年近く経過しています。流石に休み過ぎでは?」


「うっ!……それは……」


「セレネ……せめて毎日の送り迎えは私がするから」


「何で止めてくれないの!?

 アルカはもっと私の味方でいて!」


「ノアちゃん。週一でセレネにお休みくれる?」


「違うでしょ!そうじゃないの!」


「仕方ありませんね。それでいきましょう」


「いかないってば!」


「これ以上ゴネると週に一度しか迎えに行かせませんよ」


「……ごめんなさい……ノアに従います」


「という事でグリアさんもセレネの事よろしくお願いします。

 引き継ぎが落ち着いたらグリアさんは是非我が家に滞在してください」


「その提案に乗らせて貰うとしよう。

 ハル君ともゆっくり話しをしたいのでね」


「ニクスは良いの?」


「必要ならば君達が既に伝えているはずだろう?

 ならば、神本人が無闇に干渉するものでもあるまい。

 奇跡パフォーマンスならばセレネ君でも十分に見せられるのだからね」


「まあそれもそうね。過ぎた力は毒だもの」


「アルカがそれを言うの?」


「私達は既にその毒が回っているのかもしれません」


『純粋な力に釣られて想いを寄せているわけではありませんが、アルカ様の魅力もまた力かと。それも過ぎた力なのです』


「ところで、アリアはどうしちゃったの?

 なんかさっきからアルカの顔眺めては真っ赤になって目を逸らしてるんだけど」


「本気でわからないのですか?」


「わかってるからこのタイミングで言ってるんじゃない」


『遂にアリアも本格参戦なのですね。

 日々ライバルが増えていきます』


「ルカも参加する」


「リヴィも!」


「リヴィはともかく、ルカはもう……」


「まだ幼すぎるでしょ!?」


「セレネがそれ言うの?だって六歳の時から」

「ニクス!黙りなさい!」


『セレネ、ニクス』

『なかいい?』


「そんなわけ無いでしょ!」


「そうだよね……私なんか……」


「めんどくさ!この女神なんなのもう!」


 セレネはまた落ち込み始めたニクスを抱き寄せる。

少しだけ、その動きはぎこちなかったけど。



「アルカ!見てないであなたがなんとかしなさい!

 ニクスはあなたのでしょ!」


私、ツンデレってあんまり好きじゃなかったけど、セレネのお陰で良さが少しわかったかもしれない。

セレネは可愛いなもう。

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