21-8.罰
「卑怯よアルカ!元の姿に戻りなさい!」
「いーやっ!!」
「なら良いわ!その姿のまま可愛がってあげるわよ!」
「やさしくしてくれる?」
「うぐ・・・」
「セレネお姉ちゃん?」
「もう!もう!もう!
というかその時点でも私より年上のはずじゃない!
なんでこんなに可愛いのよ!
優しくしてあげるわよ!」
危機に瀕した事で私の力は覚醒し、無事に自力での子供化変身に成功した。
何とか苛烈な責めを回避した代わりに、なにか大事なものを失ったかもしれない。
まあ、結局そのまますぐに開放されるなんて事も無かったのだけど。
翌朝、ようやく開放された私は子供Verのまま、セレネに連れられて朝食に向かう。
罰として?セレネが良いと言うまでの間は元の姿に戻るのを禁止される事になった。
仕事どうしよう・・・
「折角ならエイミーさんにも見せたらどうですか?
きっと懐かしくて喜びますよ」
私を横に座らせて世話を焼くノアちゃんがそんな事を言う。
「のあちゃんもいく?」
「セレネ何したんです?なんか喋り方まで幼くなってるんですけど」
「・・・ちょっとお願いしただけよ」
「セレネおねえちゃんがこうしないとおこるの・・・」
「セレネ?」
「少し教育しただけじゃない!」
「っ!?ごめんなさい!もういじめないで!」
「セレネ!!」
「アルカわざとでしょ!?ノアも騙されないで!」
「アルカ。私と二人きりで話をしましょう。
セレネから守ってあげます」
「ノア!あなたから邪な感情がガンガン伝わってるわよ!」
「のあちゃん、こわくしない?」
「はい。大丈夫です。こんな可愛いアルカを虐めたりなんてしません。さあ行きましょう。少しお部屋で話をするだけですから」
「ノア!させないわよ!」
「お姉ちゃん達!食事中に騒がないの!
いつもアリアにそう言っているじゃない!」
「「ごめんなさい・・・」」
「アルカちゃんはこっち来て!」
ちゃん?
「ルカも守る」
「リヴィも!」
『ちっちゃいアルカ様!最高です!最高に可愛いのです!』
レーネはそっち側で良いの?色んな意味で。
「アルカはもう私の事はどうでも良いんだね。
ずっと側を離れるなって言ってくれたのに、結局昨晩は戻ってこなかったもんね・・・」
ニクスはガチ凹み中だ。
ハルちゃんは定位置だ。
なんか、入る直前にパンを一つ掴んでたけど、まさか私の中で食べてるの?パンくず落ちてない?
『さすがにむり』
『おべんとう』
なるほど。
そう言えば、中にいる間は私に溶け込んでいるようなものって言ってた。今のハルちゃんは人の形で心の中にいるわけではないらしい。
きっと、私の中から出てきた時にパンも元の形を取り戻すのだろう。私、収納空間代わりなの?
『アルカかしこい』
『そのてがあった』
『無いよ!ダメだよ!』
私は幼少組に混ざって食事を済ませ、今日の予定を発表する。
「早速~あの計画について話したいのだけど~
でもその前に~今日はギルドに行ってくるね~
そろそろ情報を確認しておきたいし~
夕方は~早めに戻るようにするから~
その時に~皆で話し合おうね~
皆も色々考えておいてね~
内容は~昨日カノンにも説明したとおりだから~」
「話し方、完全には戻ってませんね」
「たぶん、妙に間延びしてるのは元々だと思うわ」
「こっちの世界に来る前は平和な世界に住んでいたし、家族以外とはろくに話しもしなかったみたいなんだよ。
アルカならきっと家族には可愛がられてきただろうしね。
たぶんこの世界で一人きりで頑張っている内に変わちゃったんだよ・・・私のせいで・・・」
「ニクス泣かないで~
ほら~こっちに来て~」
私はニクスを抱きしめる。
「大丈夫だから~
もう気にしてないよ~
むしろ感謝してるよ~
ニクスだ~い好き!」
「アルカぁ!!」
「はいはい。ニクスはここにいてね~」
私はニクスを侍らせたまま話を再開する。
「昨日の話で~改めて気になる事はある?」
「あれはエグい・・・」
「またニクスが落とされたわね」
『アルカ様は小さくてもアルカ様なんですね』
「はい!はい!
アルカちゃんはカノンお姉ちゃんの事どう思ってるの?」
「アリア~その話はまた今度~」
「良いでしょ!もうハッキリさせましょうよ!
アルカがいらないなら私のお嫁さんにしても良い?
アルカだって何人もしてるんだから良いでしょ?」
「それは嫌!!アリアは私のなの!」
「やっぱり、アルカはアルカね。
言ってることが無茶苦茶だわ」
「アリアの教育に悪いですね・・・
今更言ってもですが・・・」
『アルカ様。流石にどうかと思います』
「ルカはアリアも・・・」
「リヴィはママも!」
『ハルは』
『ニクスでいいや』
「何で渋々なの!?
ハルもあんなに愛してくれたじゃん!」
「ニクスあんた相変わらず復活は早いわね。
というか、アルカ以外にもう体まで許したの?
なら今日は私が相手してあげるわ。
アルカもやってたように私の憎しみをぶつけてあげる」
「何で!?
しかもそれ感情の話じゃなくて物理的なやつだよね!?」
「ほら言ったじゃ~ん。
セレネに目を付けられるよ~って」
「助けて!アルカ!守ってくれるって言ったじゃん!
セレネにだって触れさせないって言ってくれたじゃん!」
「・・・セレネお姉ちゃん。
ニクス連れていきたいの。夜にしてくれる?」
「仕方ないわね。それで我慢してあげるわ」
「頼み事する時は間延びしないんですね」
「アルカ!?話が違うよ!なんであっさり売るの!?」
「ニクスとセレネも仲良くしてほしいな~」
「仲良くの意味が違うでしょ!?
ぶつけられるの憎しみだよ!?」
「セレネお姉ちゃん。ニクスには優しくしてあげてね?」
「良いわよ~アルカにもそうしてあげたでしょ~?」
「・・・ニクス!大丈夫!きっと!」
「嫌だよ!お願いだから助けて!本当の本当に嫌なの!」
「セレネお姉ちゃん。やっぱニクスはダメ。
私が行くからそれで良い?」
「アルカ!もちろん良いわ!
そんな震えてまで!なんて可愛いの!」
「怯えさせておいてなぜ喜べるのです?」
「アルカ・・・私のために・・・」
『ニクスはまた落ち込んでしまいましたね』
『しかたない』
『ハルのでばん』
私の中から出て大人モードに変身したハルちゃんがニクスを抱きしめる。
なんか羨ましい。どっちも
でもパン持ったまま抱きしめるのは止めない?
「アルカお仕事良いの?」
「ルカ達も訓練の時間」
「リヴィもせいちょうする?」
毎度毎度、大騒ぎだ。
賑やか大家族だな~




