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21-3.姉姫?

 私はハルちゃんに純白のドレスを着せていた。



「ハルちゃん!最高よ!

 いつもの黒も良いけど、やっぱりこっちも似合うと思ったのよ!!」


「・・・」

「おちつかない」

「いつものすき」


 ハルちゃんは言葉通りに戸惑っている。



「まあ、無理強いはしないわ。

 とりあえず購入しておきましょう」


「前後の文脈おかしいよ!

 というか、アルカって本当にダメ人間だよね。

 只でさえ欠点が多いのに、その上、散財しすぎじゃない?

 その調子で使ってたらいずれは底をつくよ?

 いくらアルカが稼げるからって、そんなに割の良い依頼も続かないでしょ?」


「最悪、ダンジョン周回か未開拓地で大物狩りするし・・」


「あまりやりすぎないでよ?

 そんな理由で市場とか生態系を狂わせたら怒るからね」


「はい・・・すみません」



「失礼、あなた冒険者のアルカさん?」


 突然、知らない少女に話しかけられた。

年はノアちゃん達より上に見える。

見た目はノアちゃん達とレーネの間くらいかしら。


 逆ナン?


 冗談はともかく、この場にいるの我が家のコミュ障三人娘だけど大丈夫?切り抜けられる?

人違いって言い張る?



「うん。やっぱり間違いなさそうね。

 アリアから聞いていた通りの人だわ」


「アリア知ってるの?」


「ええ。私はあの子達の姉よ。

 カノ・・・私はカノっていうの」


「私はアルカよ。

 こっちはニクスとハルちゃん」


「少しだけ声音が柔らかくなったわね。

 やっぱり警戒させてしまったのかしら。

 急に話しかけてごめんね。

 盗み聞きするつもりは無かったのだけど、

 あなた達の話し声が聞こえてつい気になってしまったの」


「いえ、こちらこそ騒いでしまってごめんなさい。

 邪魔してしまったわよね」


「ううん。良いのよ!

 だってお陰であなたと会えたのだもの」


「どうして私に?」


「会いたかったのかって?

 それは勿論この国の英雄だからよ。

 アリアとルカからも良く話を聞いていたしね。

 それに可愛い女の子ばかり連れているって噂も聞いていたわ。

 どうやらそれも間違いじゃ無いみたいね。

 けれど、聞いていた話とは相手が違うようね?

 白い髪の子が二人で、片方は獣人の子って聞いていたのだけど。

 それに、以前とっても綺麗な女性も連れていたって噂も聞いたわ。

 あ!念の為言っておくけど、この店の者は特別な事情でもなければ絶対にそんな事漏らさないから安心してね!

 私のように買い物に来ていた親戚が教えてくれたのよ」


「あまりらしくないわね」


「話し方?良く言われるのよ。

 まあ、流石に公の場ではもう少し大人しくしているんだけどね!

 けどまあ、そんな堅苦しくなくても良いかなって。

 アルカさんはアリア達のお母さん?お姉さん?まあ、ともかく親しい人なのだし、私とも仲良くしてくれると嬉しいわ!

 アリアとルカは元気にしてる?

 お祖父様は心配いらないって言うばかりで何も教えてくれないのよ。

 アルカさんが連れて行ってくれたのでしょう?」


「ええ。毎日元気にしているわ」


「それは良かったわ!出来れば一度会わせて欲しいけど、流石にそれは難しいわよね。

 せめて、私が本当に姉だと証明できれば良いのだけど。

 まあ、元気にしていると聞けただけでも良しとしましょう。

 流石にアリア達があれを見せに来た時は驚いたわ。

 しかも慌ててる内に直ぐに駆けていってしまうのだもの。

 きっとルカの仕業ね。アリアなら小一時間は話が止まらないはずだもの。

 ルカはアルカさんと一緒にいたかったからあんな事をしたのでしょう?

 ってごめんなさい!余計な事を喋りすぎたわ。

 それに私ばかり喋ってしまってダメね。

 そろそろ御暇するわ。お邪魔してごめんなさい。

 アリアとルカに宜しく言っておいてね。

 出来ればお手紙だけでも頂けると嬉しいけど、流石に難しいわよね。

 いけない、いけないまた話し始めてしまったわ。

 今度こそ、失礼するわね。また会える時を楽しみにしてるわ」


 そう言ってその場を立ち去ろうとする少女。


 私は気付いたら、何故か引き止めていた。



「待って!」


「なにかしら?」


「少しだけ、アリア達と話をしてみない?」


「嬉しいけど、それは関心しないわ。

 身元もハッキリしていない人間を大事な娘に会わせるなんてダメよ。

 自分で頼んでおいてこんな事を言うのは申し訳ないけど」


「ううん。

 そうじゃなくて、魔法で話だけでもしてみない?」


「え!?

 どういう事?」


「まあ、とりあえず試してみてよ」


 私は念話の魔法を少女に掛ける。


『アリア今良い?

 ルカも側にいる?』


「え!?」


 私がカノと名乗った少女も含めてアリアに念話を飛ばすと、突然頭の中に響いた声に、少女は驚きの声を上げる。



『うん!ちょっと待ってて!

 ノア先生に頼むから!』


どうやら訓練中だったようだ。

ノアちゃんを先生呼びしている。



「え!?アリアの声!?」


『カノ。心のなかで私に向かって語りかけてみて』


『・・私の本当の名前はカノンです』


『カノン。大丈夫よ。それで問題ないわ』


『アルカ!お待たせどうしたの!?』


『アリア。今あなたのお姉さんに会ったの。少し話をしてみないかなって思って』


『お姉ちゃん?』


『アリア!私よ!』


『カノンお姉ちゃん!?』


『そうよ!ルカもいるの!?』


『うん。いるよ。久しぶり。カノ姉』


アリアとルカの声を聞いて笑いながら涙を浮かべるカノン。



『お姉ちゃん!どうしてアルカと一緒にいるの!?

 お姉ちゃんも一緒に暮らせるの!?

 またアルカ浮気したの!?』


興奮しすぎて暴露するアリア。



『アルカさん?また浮気って?

 ところでその指はどういう事?

 ちょっとアリアとの話が終わったら時間もらえるかしら』


早速念話を使いこなして私だけに話しかけてくるカノン。



『・・・はい』



 それから暫くカノン、アリア、ルカの会話が続いた。

カノンはルカにも話しかけて、上手いこと会話に加えながら、本当に小一時間はアリアと話を続けていた。


 私達は途中からカノンを放って服選びに戻る。


 ハルちゃんにはいくつかドレスをメインに購入し、ニクスには冬服以外にも部屋着用のワンピース等も購入していった。



 私達の服選びが終わる頃になって、カノン達も話を終えたようだ。

そのまま、有無を言わせずに私達を連れ出すカノン。

何でこの子お姫様なのに一人で出歩いてるの?

お付きの人とかどっかに控えてるのかと思ったのに、誰もついてきていない。



 辿り着いた先はレストランの一室だった。

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