1-4.こたつ
ようやく依頼が落ち着いた!
ドワーフ爺さんにお願いしていたこたつも出来上がったそうだ。
今はノアちゃんと並んで歩いている。
こたつを受け取りに行く最中だ。
ドワーフ爺さんの店に辿り着くと、
早速出来上がったこたつを見せてもらった。
とても可愛らしいこたつが出来上がっていた。
こたつ布団まで爺さんの手作りだ。
私の好みをバッチリ抑えている。
「猫ですか?」
猫の刺繍が施されたこたつ布団にノアちゃんが戸惑っている。
「こいつが好きなんじゃ」
私を刺して爺さんが言う。
ノアちゃんからなんとも言えない表情で見上げられてしまう。
「可愛い」
どうしようちゃんと答えられてない・・・
ノアちゃんは何も言わずに流してくれた。
早速、こたつを受け取って家に帰る。
これでゴロゴロするのが楽しみだ!
みかんみたいな果物も用意してあるし、準備は万端だ!
こたつで丸くなるノアちゃんを想像して変な笑いが出そうになる。
「アルカ変な顔してますよ」
おっと、表情に出てしまったようだ。
ノアちゃんに嫌われたら元も子もない。
表情を引き締めて自宅へ急いだ。
帰ってきて早速こたつを広げる。
この世界に電源など無いので、
こたつに設置された魔石に魔力を込める。
いい感じに暖かくなってるな!バッチリだ!流石爺さん!
「ここに入るのですか?」
こたつに入り込む私にならって、
ノアちゃんも入ってくる。
こたつの中で足が触れ合う。
「あったか~い」
早速ノアちゃんの声が蕩けてる。
目論見通り気に入ってくれたようだ。
そのまま数時間に渡って会話もないままのんびりし続けた。
「これは危険すぎます!撤去しましょう!」
結局、一切の家事もしないまま一日が過ぎた。
我に返ったノアちゃんがそんな事を言いだした。
「ダメ?」
「ダメです!こんなのあったら、皆アルカみたいになっちゃいます!恐ろしいです!」
「!?」
え?ノアちゃん私のこと何だと思ってるの!?
最近は依頼もあったし、私にしては外に出てたよ?
そりゃあ、ノアちゃんが来たばかりの頃はずっと引きこもってゴロゴロしてたけど!
こたつににしがみつく私と私を引きずり出そうとするノアちゃんの争いが始まる。
結局根負けしたノアちゃんが撤去は断念してくれた。
「条件ですアルカ!毎日必ず外に出ること!これ以上は譲りません!」
本気のノアちゃんに渋々了承する。
さらば、私の引き籠もりライフ・・・
その後のノアちゃんはこたつに警戒して、
なかなか入ってくれなくなった。
おかしい・・・
こんなはずでは!
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外出義務はノアちゃんの稽古に参加する事にした。
「そういう意味ではなく、町に出てくださいって意味だったんですが・・・
まあ、仕方がないです。家から出るだけでもアルカにしては上出来です。」
近頃ノアちゃんが酷いことを言う。
せっかく依頼の時は称賛の目で見られてたのに。
かえってまた引き籠もりに戻った私に我慢ならないようだ。
ノアちゃんに嫌われたくは無いし頑張ろう・・・
最近やることが尽く裏目に出てる気がする。
何か変な事が起きないよう気をつけよう。