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20-22.姫と騎士

「デートは延期します」


 ようやく本当に開放された私は、子供達含む全員を集めてそう宣言した。

当然、その場はブーイングの嵐に包まれる。主にアリアの。



「アルカ!流石にそれはひどいわ!

 ただでさえ、毎日帰ってくるって約束まで破って、何日も姿を消していたのに!」


「ごめんなさい。けれど、少し予定外の事態が起きてしまったの。

 一応、その件は解決したのだけど、少し時間を取られすぎてしまったわ。

 だから、そろそろ働き始めないといけないの。

 またすぐに休暇も取れるようにするから、もう少しだけ待っていてくれないかしら・・・」


「アルカのバカ!」


 そう言って、アリアは飛び出して行った。



『セレネ。あのアリアの姿を見てどう思っていますか?』


『・・・やり過ぎたわよ』


『もう言うまでも無いでしょうけど、アルカの一番だからって、二番目以降の子の事を完全に無視してはいけませんよ。皆の事も少しは考えてあげて下さいね』


『悪かったってば!調子に乗りすぎました!

 アルカ!とっとと追いかけなさい!』


『ありがとう。セレネ。ノアちゃん』



「ルカ、リヴィ、レーネ、皆もごめんね。

少しアリアと話をしてくるけど、その後は皆との時間も作るから。

 デートは延期になってしまったけど、あと数日は皆とも一緒にいるからね。だからもう少しだけ待っていてくれる?」


「アリアお願い」


「リヴィまってる」


『どうか私の事はお気になさらず。

 セレネの件は承知しております。

 私はいつでもアルカ様のお心に従います』


「皆ありがとう!行ってくるわ!」



 私は自室に転移して、魔法でアリアを抱き寄せる。

やっぱりもう使えるのね・・・

私はアリアの事ももう・・・



「?・・・!?」


 私の腕の中で、アリアが状況を飲み込めずに戸惑っている。



「アリア。こんな事してごめんね?

 少しだけ話をさせて欲しいの」


「アルカ?何が起きたの?

 何で私はアルカに抱っこされてるの?」


 アリアは戸惑いすぎて、先程の憤りが吹き飛んでしまったようだ。きっと一時的なものだろうけど。



「これは私の魔法なの。

 私が本当に大好きな人を自分の腕の中に呼び込む魔法よ。

 無理やりで申し訳ないのだけど使わせてもらったわ」


「大好きな・・・

 アルカ、本当にそう思ってくれているの?

 アリアの事なんてもうどうでもいいんじゃないの?」


「そんなわけないでしょ?

 私はアリアの事が大好きよ。

 そうでなければこの魔法は発動しないもの。

 いえ、それだけじゃなくて、大好きだからちゃんとお話がしたいの」


「そっか・・・」



「アリア。約束を破ってごめんなさい。

 何日もアリアの元に帰らなくてごめんなさい。

 これはここ数日の事だけではないわ。

 この一ヶ月近くの間、アリアが寝てしまってから帰ってきていた事だってそうよ。そんなの約束を果たしていたなんて言えないものね。

 アリア。ごめんね。気付くのが遅かったよね」


「次からはもっと早く帰ってくるからね。

 毎晩一緒にご飯を食べて、お風呂に入りましょう。

 そう出来るように、必ず早く帰って来るから」


「デートの約束も破ってごめんね。

 少し遅くなってしまうけど、必ず連れて行くからね。

 だから、もう少しだけ待っていてくれる?

 私を許してくれる?

 何時までも一緒に居てくれる?」



「アルカ・・・あるかぁ!」


 私は泣き出したアリアを抱きしめる。

アリアは小さな体で必死に抱きついてくる。

もう二度と、私を離さないとでも言うかのように、非力な腕にあらん限りの力を込め続ける。


 私もアリアの体が耐えられるギリギリまで力を込めて抱きしめ返す。もう絶対に離したくないという気持ちを込める。


 暫くそうして抱き合っていた。



 私はようやく落ち着いたアリアをベットに座らせて、その前で片膝をつく。


「アリア。これを受け取ってくれる?

 私と一緒に居続ける為の証として着けていてくれる?」


 私はアリアの小さな手を取って、アリアの婚約指輪を取り出す。



「アルカ!」


 アリアは私の頭を抱えるように抱きついてくる。

また暫くの間、アリアの気が済むまでそうしていた。



 片膝をついた姿勢に戻った私は、再びアリアの左手を握り、薬指に指輪を添える。

 アリアが息を呑む気配を感じながら、指輪をつけた。

そうして、アリアの手の甲にキスをする。


 その後はまたも感極まったアリアに頭を抱きしめられた。



「アルカ。全部許してあげる。

 だから今度こそ約束を守ってね。

 それをこの指輪に誓ってね。

 そうしたら、アルカの事を信じてあげる」


「ありがとう。アリア。

 私は誓うわ。アリアとの約束を守ると。

 お姫様を守る騎士として、アリアの事も守り続けるわ」


「ふふ。アルカは私の好きなものを良く知ってくれているのね!最高よ!アルカ!」


「アリアが喜んでくれて良かったわ!」


 それから少しだけ、アリアと話を続けた。


「アルカ。次はルカの事をお願いね?

 ルカも寂しがっていたの。私が何時までもアルカを独り占めにしているわけにはいかないわ」


「わかった。ありがとうアリア。優しいアリアが大好きよ」


「ふふ。アリアもアルカだ~いすき!」

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