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20-15.会議

「セレネの件は一先ず私に任せてください」


「何か考えがあるの?」


「はい。

セレネは今、不安定です。

あのアルカがニクスとハルの方が好きになってしまったのではないかという言葉は本心です。

正確には、そういう不安を抱えています。

当然、アルカが自分を一番だと思っている事も信じています。

矛盾していますが、その二つをぐるぐると考え続けているのです」


「だから、手っ取り早く安心したいのです。

そこで、アルカの提案に飛びつきました」


「アルカ。あなたが一番やってはいけない事は、

セレネが落ち着く前に、セレネと心を繋ぐ提案を取り消すことです」


「アルカはセレネの味方でいてください。

けれど、嘘を言ってはいけません。

心を繋ぐ件に言及せずに、

セレネが一番だと信じさせてください」


「そのための準備を私がします。

可能なら、そのまま説得します。

途中で私の手に負えなければアルカの番です」


「当然、ハルとニクスに心のなかで力を借りるのも無しです。

二人は見えるように出ていてもらいます」



「ノア、少し良い?」


「はい。何でしょう。ニクス」


「今すぐアルカに夜這いでもさせたほうが手っ取り早くない?」


「手段を選べと・・・

いえ、ニクスに言っても意味がないんですよね」


「じゃあ、逆に聞くけど、

本気でアルカにそんな器用な真似が出来ると思うの?」


「・・・懸念はもっともですね」


「だから、むしろ唯一の手段だと思うんだけど。夜這い」


「しつこいです。そこから離れてください」


「ノアちゃん。良いかしら」


「アルカ。どうぞ」


「そもそも何だけどさ、

何で心を繋ぐのがダメなの?

ノアちゃんの言うように手段自体が問題なのは一応わかる。

セレネが私に影響されて人から外れてしまうのがマズイのもわかる。

けれど、逆も言えるんじゃないの?」


「つまり、私とセレネがアルカと繋がる事で、

アルカの変化を食い止められると?」


「うん。そういう事。

元々二人にはその役目も期待しているのだし、

繋いでしまったほうが効率が良いんじゃないの?

で、そのメリットが、

他二つの危険性を上回れば有効な手段にもなるんじゃないの?」


「ニクス。どうですか?」



「リスクが大きすぎるんだよ。

セレネかノアがアルカに引きずられたら詰みだよ?

アルカの影響力を考えたら決して低い可能性じゃないはずだよ」


「それに例え上手くいっても私の目指すものとは違うの。

あくまでも及ぼし合う影響は人間の範疇に収めてほしいの」


「アルカの案で上手くいっても、

三人で一つの存在にはなれるかもしれないけど、

それはもうアルカじゃないんだよ。

ノア達もそんなアルカは望まないんじゃないの?」



「けれど、ニクスが本当に目指しているのは、

人としての生の終わりまでではないのでしょう?

その先も私と一緒に在り続けるのなら、

結局変わらないんじゃないの?

少なくとも、私はノアちゃんとセレネを手放してまで、

ニクスについていくことはありえないわよ?」


「・・・」



「アルカ。ニクスの考えに疑問があるのは同意しますが、

人としての生が終わった後の事を理由に、

今の生を蔑ろにして良いわけがありません。

やはり、私は心を繋ぐ事には反対です。

アルカが言葉を尽くしてくれなくなったように、

必ず歪みは生じます」


「私達の間だけで完結するのであれば、

それも問題ではないかもしれません。

けれど、きっと私達以外の人との関係は悪化します。

そうなれば、私達は閉じた世界で生きるしか無くなるのです。

それは最早、人の生ではありません。

人は誰かと関わり続けなければ生きていけないのです」



「そうね・・・

ノアちゃんの意見はわかったわ。

蒸し返してごめんなさい」


「いえ。謝る必要などありません。

気になったことは話し合いましょう。

それも伝える努力なのです」


「わかった。ありがとう」


「ニクスはこの件はもう良いですか?

まだ何か言っておきたいことはありますか?」


「・・・アルカ。

一つだけ約束して欲しい」


「なに?」


「何があっても私の側に居続けて。

例え、ノアとセレネと別れる事になっても」


「無理よ」


「お願いします・・・

捨てないでください・・・」


「なら、ノアちゃんとセレネの事もなんとしても繋ぎ止めることね。

それ以外に道はないわ」


「それは無理なんだよ。

何れは別れが訪れるの。

いくら転生に干渉できるとはいえ、

私の力にだって限界はあるの」


「なにもあなた一人でやれなんて言っていないわ。

私と二人で、いいえ。

私達全員で一緒にいる事を目指すの。

あなたはただ、そう努めればいいの。

その努力を放棄しないと約束してほしいだけよ」


「・・・本当に?

それだけで良いの?

一緒に頑張ってくれるの?」


「そう言っているじゃない。

いくらあなたが神だからって、

一人で出来ることには限度がある事くらい、

もうとっくに知っているのよ?

一人で責任持ってなんとかしろなんて、

そんな無茶なこと言うわけ無いじゃない」


「アルカ・・・ぐす」


「もう。そんな事で泣かないでよニクス。

あなたはどうして、

人を利用する前に頼むことが出来ないの?

なにか制約でもあるの?

あなたが出来ないのなら私が代わりにやってあげるから。

私はあなたの使徒なのでしょう?

あなたが私を代理人だと言ったのよ?」


「・・・アルカぁ」


「一度中断しましょう。

明日の朝また話し合いをしましょう。

あと、必要なのはセレネの迷いを断ち切る事です。

その方法を各自考えておきましょう。

良いですね。アルカ、ニクス」


「うん。ありがとうノアちゃん」


「・・・うん」


「随分と遅くなってしまいました。

アルカとニクスはご飯まだですよね?

温め直しておきます」


「ハルちゃんの分は・・・

まだ寝かせてあげた方が良さそうね」


「パスですか?

正直羨ましいです。

パスを繋ぐ事には反対ですが、

それはそれです。

アルカと繋がっているなんてズルいです」


「ノアちゃん。私の部屋に来ない?」


「行きません!

こんな時に何考えてるんですか!

ちゃんと全部片付けて、

明日セレネと一緒に可愛がってください!」


「うん。約束する」

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