20-3.同化
また暫く説教を受けた後、
私はハルちゃんと一緒に退室させられた。
これからニクスの尋問と説教が行われるようだ。
「ニクス」
「いいの?」
「まあ、皆もやりすぎることは無いと思う。多分・・・」
「アルカ」
「ふあん」
「ない?」
「ニクスのこと?」
「と」
「アルカ」
「の」
「こと」
「かみ」
「なって」
「ふあん」
「ない?」
「う~ん、半神だとか、使徒だとかは、
確かに不安も無いではないけど、
私はニクスが決めたことなら、
結果がどうであっても受け入れられると思うの。
勿論、皆と引き離されるとかは別だけどね。
けれど、ニクスがそんな事するはず無いとも思っちゃってるの。
ニクスならやりかねないって気持ちもあるんだけどね」
「アルカ」
「ふくざつ?」
「そう。私のニクスへの想いは複雑なの。
ニクスが信用できない気持ちも確かにあるんだけど、
それ以上に無条件で受け入れてしまう気持ちもあるの」
「私はニクスが大好きで愛しているけど、
同時に嫌いで憎いとも思ってる。
まあ、流石に最近は少しバランスが崩れ始めてきたけど」
「そっか」
「ハルちゃんは私が使徒になったら嫌?」
「わかん」
「ない」
「そうよね。私もよくわからないわ」
「けど」
「アルカ」
「すき」
「どんな」
「でも」
「いつま」
「でも」
「ずっと」
「すき」
「ハルちゃん!私もよ!
ハルちゃんの事愛してるわ!」
「だめ」
「きす」
「まだ」
「ぎゅ」
「も」
「すこし」
「だけ」
「ハルちゃん!?どうして!?」
「みんな」
「みとめて」
「くれる」
「まで」
「おあずけ」
「だよ?」
「ハルちゃん!やっぱり良い子ね!!
もう大好き!好きよ!ハルちゃん!」
「ふへ」
「ハル」
「も」
「だよ」
「アルカ」
「すき」
「やっぱキスしたい!いっぱいぎゅってしたい!」
「だめ」
「がまん」
「すこし」
「だけ」
「ぎゅ」
「して?」
「うん!我慢する!
少しだけぎゅってする!」
私はハルちゃんを抱きしめる。
「アルカ」
「なあに?ハルちゃん」
「さっき」
「すこし」
「だけ」
「ひとり」
「さみし」
「だった」
「もっと」
「ずっと」
「いっしょ」
「いい?」
「うん!私ももっとずっと一緒にいたいわ!」
「わかった」
「ハル」
「そうする」
「ハルちゃん?どういう事?」
「やって」
「みる」
ハルちゃんが黒い霧に包まれると、
私に吸い込まれるように消えていく。
「ハルちゃん!?」
『アルカ』
『うまく』
『いった』
私の中にハルちゃんがいるのはわかる。
けれど、体はどうなってしまったのだろうか。
『ハル』
『こころ』
『なか』
『からだ』
『ごと』
ハルちゃんもニクスと同じことをしたの?
『すこし』
『ちがう』
『ニクス』
『つくった』
『ハル』
『つかった』
『からだ』
『も』
『アルカ』
『いっしょ』
「うん。なんだか少しだけわかってきた。
ハルちゃん、もしかして私の体動かせる?」
『やって』
『みる』
ハルちゃんがそう言うと、
私の体に自分の意思とは別に動かそうとする感覚が生まれる。
私は抵抗せずに、
その感覚に身を委ねる。
私の腕が意思と関係なく持ち上がる。
何度か上げ下げしたり、
手のひらを握ったり広げたりする。
とっても不思議な感覚だけど、
私が抵抗すれば跳ね除けられる程度だ。
けれど上手くできれば、
ルネルとの模擬戦とかでも有効かもしれない。
とはいえ、咄嗟に切り替えたりするには相当な練習が必要になりそうだ。
『だいじょぶ』
『ハル』
『ずっと』
『いっしょ』
『いっぱい』
『やって』
『みよ』
『うん!いつでも入って良いからね!』
『うん』
『この感覚すきだなぁ。
ハルちゃんの存在が私の心にも体にも染み込んでるのがわかる。
なんでこんなに心地良いんだろう。とっても不思議』
『ハル』
『も』
『アルカ』
『かこまれ』
『しあわせ』
『ふふ。やっぱり私達が出会ったのは運命なのね!』
『うん』
『しっくり』
『くる』
『もう』
『さみし』
『ない』
『ハ~ルちゃ~ん』
『ふふ』
『アルカ』




