20-1.半神
「ちょっとどういう事なの!?
何なの、あのアルカの強さは!」
「だから言ったじゃん!
今のアルカに勝てるわけ無いって!」
「そんな泣き言よりニクスも本気出してください!」
「無理に決まってるじゃん!!
言葉すら制限されてるのに本気で戦えるわけないでしょ!」
「これならアルカと一緒にお仕置きに回すんだったわっね!
多少は足手まといになったでしょーにっ!」
『すみません。私足手まといで・・・』
「いえ、流石に私達の戦いに参加させるのは無茶でした!
こちらこそすみませっん!」
「ノア!あなたは喋ってないで!
とっとと近づきなさいっよ!」
「無理に決まってるじゃないですか!くっ!
あんなのどうしろっていうんですか!?」
「もう止めにしない?
実質二人で私に勝つのは無理よ?」
「ノア!」
「ええ!セレネやりましょう!」
「もうあったまきた!」
「二人とも~」
私は果敢に立ち向かってくるセレネとノアちゃんを迎え撃つ。
私が無数に放つ光弾は二人を追尾し、
ノアちゃんの速度でも逃げるので精一杯だ。
セレネは棒立ちで結界の維持に努めている。
私がやっているのは単純な物量攻撃だ。
魔力と神力を融合させた光弾を上空から放ち続けるだけだ。
今の私には無尽蔵とも言える力がある。
魔力と神力が圧縮されていた問題も、
ニクスが中にいる間に、
私の力の領域を拡張してくれたお陰で解決している。
処理能力も以前とは段違いだ。
相変わらず私にノアちゃんを追うことは出来ないけど、
ノアちゃんを追尾できる光弾を無数に放つことなら出来る。
私の使っている術は、
飛行魔術と追尾弾の二つだけだ。
それだけで、二人を完封するには十分だった。
「アルカ!そんな戦いしてたらルネルさんに怒られるわよ!」
「セレネ!それは言いっこなしです!」
「ルネルさんは力に頼り切った戦いを嫌いますが、
対応も出来ないくせにそれを盾にするのはもっとダメです!」
「そんな事わかってるわよ!」
「もう良いでしょ~
怪我する前に止めようよ~」
「「アルカ!!!」」
「余計に燃料投下してるね」
『アルカは相手を煽るのが上手いですね』
「別にわざと煽って無駄な消耗を誘ってるわけじゃないよ?」
『え!?』
「ニクス!何勝手に休んでるの!?
役に立たないなら盾にでもなりなさいよ!」
「ひどい・・・」
『セレネってニクスに辛辣ですよね。
まあ、少しわからないでもないですが』
「レーネ?
どうしてそんな事言うの?」
『・・・日頃の行いでは?』
「私、自分で言うのもなんだけど、
今まで相当頑張ってこの世界を守り続けてきたんだけど・・・」
『そう言われましても・・・
ところで、そちらは宜しいのですか?
ここにいては業務が滞るのでは?』
「業務って・・・
大丈夫。体を取り戻したから全ての力が戻ってるもの。
リモートワークくらい問題ないよ」
『りもーとわーく?』
「なんでもない。ともかく大丈夫だよ」
『一応、気を付けて下さいませ。
ニクスにはうっかり属性があると、
アルカ様が仰っていました』
「皆してどうして虐めるの・・・」
『そんなつもりは無かったのですが・・・
すみません。言葉を間違えた様ですね』
「まあ良いけど」
『ところで、何故アルカ様とニクスが同じ気配を放っているのですか?
ニクスがアルカ様の中から抜けたのに不自然では?』
「ふっふっふ!良い所に気付いたね!
まさか最初にレーネに聞かれるとは思わなかったよ!
そう、今のアルカは言わば半神みたいなものなんだよ!」
「ニクス!どういう事ですか!?」
「ノア聞いてたの?」
「良いから答えなさい!あなたアルカに何したの!?」
「二人ともどうしたの?」
『一番余裕があったアルカ様だけ聞いていなかったのですね』
「アルカのそういう所がダメなんだよ」
「「良いから答えなさい!!」」
「はい・・・
アルカは神のなりかけなんだよ」
「あなたアルカを連れて行く気じゃないでしょうね!!」
「そんな事しないよ。
大丈夫。セレネ達から取り上げたりしない。
ただ、アルカの出来る事が増えるとだけ思ってくれれば良い」
「本当にそんな上手くいくんですか?
ニクスの計画はいまいち信用できません」
「ルスケア領でやらせてた事って・・・」
「アルカ!なんですかその話!?」
「聞いてないわよ!
あなたニクスに何させられてたの!?」
「えっと、ルスケア領でたまに力を披露して信仰を集めてたの・・・私の」
「「アルカ!!!」」
「ごめんなさ~い!!!」
「アルカのお仕置きは中断よ!」
「すぐに状況の確認が必要です!」
「大丈夫だってば~」
「「信用できるわけないでしょ!!」」
『流石にニクスが可哀想になってきました』
「これ私もまた怒られる流れよね・・・」
「「当たり前でしょ!!」」




