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19-6.容易い

「ハルちゃん?おはよう」


「アルカ?」


「そう。アルカよ。

よく寝てたわね~」


「きもちい」

「やわらか」

「あったか」


「そっか。良かった。

気に入ってくれたのね」


「うん」

「すき」


「もう落としてますよ?」


「ほんと、手が早いわね」


「!?」


「大丈夫よハルちゃん。

二人は私の仲間で、

ハルちゃんが寝ている間も側で守ってくれていたのよ」


『アルカをね』


「こわくない?」


「うん。怖くないよ。

猫耳の方がノアちゃんで、

もう一人がセレネっていうの」


「セレネいや」


「なんでよ!?」


「!?」


「大丈夫よ~

びっくりしたね~

よしよし。ハルちゃん。」


「セレネの敵意に気付いたのでしょうか」


『聖女の力に反応してるだけだって』


「理不尽じゃない!」


「セレネ。少し落ち着いて。

ハルちゃんが怖がってしまうわ」


「ふんっだ!」


「セレネがイジケてしまいました」


『大人げないなぁ~』


「どうせその子の方が年上なんでしょ!?」


「そう言えば、むかしから生きてるって言っていましたね。

むかしってどれくらいなのでしょう」


「ハルちゃんって今何歳なの?」


「わかんない」


「そっかぁ~

わかんないか~」


「うん」


「なんかむしゃくしゃする!

喋り方がまどろっこしいのよ!

もう少しどうにかならないの!?」


「セレネ。落ち着いてください。

アルカを取られたからってらしくないですよ。

こんな無抵抗な相手にどうしてそこまで攻撃的なんです?」


『たぶん吸血鬼だからじゃない?

根本的な相性が悪いんだと思う』


「それは問題ですね。

セレネがどうしても受け入れられないのなら、

私もハルを連れて行くのは反対です」


『そこまでの話じゃ無いと思うよ。

たぶん、慣れれば気にならないと思う』


「まあ、あれだけ嫌っていたニクスの事も受け入れられたのですものね」


『それで納得されるのもあれだけど。

というか、私と聖女の相性はもっと良いはずなのに』


「ニクスが悪いんでしょ!

あなた私達の事どれだけ弄んだと思ってるの!?」


『げ!こっちに矛先が向いた!?』


「どのみち、

アルカに向かって喋っているので、

ハルが怯えています。

セレネ、私と少し外に出ましょう」


「そうね。ちょっと冷静になるわ」


「ありがとう。ノアちゃん。

セレネ。ごめんね」


「良いから早く話をつけて帰りましょう。

ハルならあの鏡も何とかなるんでしょ?」


「コアの制御が出来るならそうでしょうね。

という事で、アルカ後はお願いします」


「わかった。任せて」


セレネとノアちゃんがテントを出て少し離れる。


私はまた縮こまっていたハルちゃんを撫でて落ち着かせる。



「ハルちゃんはずっと一人だったの?」


「うん」

「でも」

「むかし」

「いた」


「誰かと暮らしていたの?」


「うん」

「ママ」


「お母さんがいたのね。

お母さんも吸血鬼なの?」


「ちがう」

「にんげん」


昔の誰かが私と同じように保護していたのだろうか。

この雰囲気ならきっともう生きてはいまい。

あの罠を掻い潜れる者など、現代にはいないはずだ。

人間の強さも六百年前から随分と衰退してしまったようだし。


きっと、ハルちゃんはそれくらい昔の事を言っているのだろう。



「ハルちゃん。

良かったら私達と一緒に暮らさない?」


「いいの?」


「うん。

ここで暮らしていたら

いっぱい怖い人が来てしまうわ。

だから私の家族の所に行きましょう。

私の家族もいっぱいだけど、

きっとハルちゃんにも優しくしてくれるわ」


「セレネこわい」


「大丈夫。セレネはとっても優しい子だから。

今は少しだけ、ハルちゃんの事を警戒してしまっているの。

きっとすぐに仲良くなれるわ」


「ほんと?」


「ええ。約束する」


「ならいく」


「ありがとう。ハルちゃん」


「アルカすき」


「嬉しいわ。ハルちゃん!」


「これ」

「すき」


ハルちゃんは自分の背中にかかっているこたつ布団を指す。



「これはこたつって言うの」


「こたつ」


にへらと笑うハルちゃん。



『アルカも落ちたね。

笑顔一つでトドメ刺されるなんて容易いね』


『仕方ないじゃない。

可愛いんだもの』


『疑似ロリは好みじゃないと思ってた』


『ニクスは自分の事を忘れているの?』


『まさかの属性被り!?』


『ところでハルちゃんの食事って私一人で足りるのかしら』


『急に話が変わったね。

もう少し構って欲しいのに。

ともかく、そんな心配はいらないよ。

実際には血を介して力を取り込んでるだけだから。

変な減量とかしない限り、

アルカが干からびるようなものじゃないよ。

それにやろうと思えば身体的な接触でも力を吸い取れるはずだよ。

エナジードレインってやつだね』


『わかった。ありがとう。

ニクスって魔物関連は詳しく話せるのね』


『まあね。眼の前にもいるしね』


『ともかく、色々教えてくれて助かったわ』




「ハルちゃん。お願いがあるんだけど」

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