表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

352/1369

19-4.リラックス

私はノアちゃんとセレネをなんとか落ち着かせて、

ハルちゃんとの会話を再開する。



「ハルちゃんはここで何をしているの?」


「ねてた」


「何でそんなに怯えているの?

ハルちゃんとっても強いのでしょう?」


「アルカばけもの」


酷い・・・



『まあ、アルカの力を見ればそう思うのも不思議じゃないよ』


『ほぼあなたのせいでしょ!』



「ハルちゃんはこれから何をしたいの?」


「ねる」


「ハルちゃんは私達を追い払わなくて良いの?

コアを守るのがお仕事なんでしょ?」


「むり」

「こわい」



「そっか・・・」


「ハルちゃん。抱っこして良い?」



『何言ってるの?』


『つい』


「ころさない?」


「うん!絶対に何もしないわ」


「ならいい」


許可が出たので、

私はハルちゃんを抱き上げる。


背中を撫でながら落ち着かせようと試みる。


少しずつ体の力を抜いて、私に寄りかかってくる。



『本当に見た目は子供ですね』


『見えたの?』


『たぶん、見えなかったのは棺の効果だと思うよ』


『たぶんって・・・

ニクスって神様のくせにハッキリ分からない事ばかりよね』


『うるさいやい!

セレネだって今日何もしてないでしょ!』


『私の役目は救助者を見つけてからだもの。

ダンジョン攻略はアルカとノアに任せるわ』


『それはそうと、なんでアルカは、

ボスを抱こうと思ったのですか?』


『落ち着くかなと思って。

あとこの子の名前はハルちゃんよ』


『もう名前まで付けたの!?』


『アルカ・・・』


『違うの!ハルちゃんがそう名乗ったの!』


『何を言っているんです?

このダンジョンは出来たばかりなのでしょう?』


『私も良くわからないわ。

これから少しずつ聞いていくから。

もう少し待ってて』


『下手に会話して情が移る前に始末したほうがよくない?』


『セレネも無駄な悪足掻きは止めてください。

もう手遅れだとわかっているでしょう?』


『そうね。わかっているわ。

アルカだもの。一目見た時には手遅れだったのでしょう。

やっぱり救助者とか気にしないで棺ごと吹き飛ばしておくべきだったわ』


『それには私も同意します』


『二人ともひどい・・・』



「ハルちゃんのお名前は自分でつけたの?」


「ちがう」


「誰かにつけてもらったの?」


「そう」


「最近誰かに会ったの?」


「アルカだけ」


「いつ名前をつけてもらったの?」


「むかし」


「ハルちゃんは何時から生きてるの?」


「むかし」


「ハルちゃんはこのダンジョンの子じゃないの?」


「ハルの」


「このダンジョンが?」


「そう」


「自分で制御出来るの?」


「そう」


「最近作ったの?」


「ここには」


「前は違う場所にいたの?」


「そう」


「最近ここに引っ越してきたの?」


「そう」


「なんでここに?」


「まち」

「ちかい」


「街の近くだから?」


「そう」


「町でなにするの?」


「たべもの」


「買いに行くの?」


「ちがう」


「盗んでくるの?」


「ちがう」

「にんげん」

「たべもの」


「人間食べちゃうの?」


「ちがう」


「何を食べてるの?」


「ち」


「ち?血液のこと?」


「そう」


「ハルちゃんは吸血鬼なの?」


「うん」


「私の血も吸ってみる?」


『何言ってるの?』


『なんとなく』


「いいの?」


「少しだけね、

はい、どうぞ」


「うん」


ハルちゃんは私の差し出した指先を口に含む。

刺すような痛みの後、不思議な心地よさと共に、

血を吸われていくのがわかる。



『何やってるの?

何で初対面の相手に指を咥えさせてるの?』


『成り行きで・・・』


『意味がわかりません!』


『ハルちゃんは吸血鬼だから、

お腹が一杯になれば落ち着くかなと思って』


『もうとっくにリラックスしてますよ!

アルカに甘えきってますよ!

何でダンジョンボス口説き落としてるんですか!?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ