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19-2.ダンジョン?

私達はルスケアにあるギルドにやってきた。


受付嬢に話を通し、

依頼の詳細と、ダンジョンの最新情報を確認する。


事前に聞いた通り、

既にAランクを含む数組の冒険者パーティーが消息を経っていた。


とはいえ、随分と早く決断したものだ。

ダンジョンの破壊など、

普通は決断するのに時間がかかる。


その間にもっとたくさんの被害者が出るものだ。


この早さという事は、領主の独断だろう。

普通は国にも申請するため、

そこでも時間がかかってしまうのだ。


まあ、事態が事態なので、

どの道冒険者ギルドからも国に話が行ったことだろう。


誰も攻略できない高難度ダンジョンが町の直ぐ側にあるなど、

許容できるはずがない。


万が一魔物が溢れてきたら、

この町もただでは済まないだろう。


なにせ、ダンジョン産の魔物達は平気で人間を襲う。

街から離れた所に隠れ潜む魔物達とは根本的に異なる存在だ。



通常、問題になる魔物の大半は、

そうしてダンジョンから抜け出した魔物達だ。


冒険者達はダンジョンに潜り魔物を狩る事で、

町の平和にも貢献しているのだ。


まあ、それを意識してる冒険者等

そう多くはないのだけど。

大半の目的は富や名声だろう。



ともかく、ダンジョンに急ぐとしよう。

流石にすぐに溢れ出す事は無いが、

時間の問題なのも事実だ。





問題のダンジョンは町の側の森に入ってすぐの所にあった。


本当にただの館って見た目だ。

森の洋館?



「あまりダンジョンらしくありませんね。

確かに強い力は感じますが」


「命が希薄なのよ。

かと言って、邪悪なわけでもない。

魔物達はアンデット系かとも思ったけど、

そうでも無いようね」


「魔物が強いのではなく、

ギミックが厄介なパターンかもしれないわ。

二人とも用心してね」


「私が先行して様子を探ります。

二人とも離れすぎないように付いてきてください」


「わかったわ」


「お願いね。ノアちゃん」




前を歩くノアちゃんが慎重に館の扉を開いた直後、

ノアちゃんの姿が消えてしまう。



「ノアちゃん!?」「ノア!?」


ノアちゃんの気配が感じられず、

慌てて館に飛び込むと、魔力の干渉を受けた感覚があった。

今のは空間魔法だ。私の耐性が干渉を弾いたようだ。



館の入口広間には、巨大な姿見が設置されていた。

先程の魔力の発生源はこの鏡だ。

今は鏡面がひび割れている。

先程弾いた時に割れたのだろう。



やはりノアちゃんの姿はどこにもない。

私はノアちゃんを魔法で抱き寄せる。



「アルカ!」


「良かった!無事ねノアちゃん!」


「はい。おそらく、砂漠に転移させられました」


「酷い初見殺しね」


「館に入った瞬間強制転移で退場って、

まともにダンジョンを攻略させる気ないわね」


「おそらく、行方不明者達もあの転移先でしょう」


「私が弾いちゃったから、仕掛けが壊れてるわね・・・」


「ダンジョンだし放っておけば直るんじゃない?」


「かもしれません。一度転移先の救助は諦めて他を調査しましょう」


「そうね。やむを得ないわ」


「それにしても、他の気配を全然感じないわ」


「私でも一つしか感じません。

行きましょう。案内します」


「ノアちゃん。セレネも。私と手を繋いでいて。

また同じ仕掛けがないとも限らないわ。

地中とか溶岩とかに転移させられたらノアちゃんでも一環の終わりよ」


「わかりました」


「うん」


私はノアちゃんとセレネの手を握る。

空間魔法への耐性はこれで問題ないはずだ。


最近知ったのだけど、

以前、魔王がやってみせた、

足元に開いた転移門の影響を受けないという芸当は、これが原因だったようだ。


つまり、今の私に空間魔法の影響を与えるには、

私以上の空間魔法の使い手でなければならない。


少なくとも、あの仕掛けの力は私には遠く及ばないものだった。

一先ず、他に似たような罠があっても影響は無いはずだ。


とはいえ、そもそも現代に空間魔法の使い手など、殆いない。

精々、私とルネルくらいだ。

グリアも一応使えるけど、戦闘向きではない。



空間魔法の存在自体を知らない、この辺りの冒険者達には、何が起こったのかすら理解できなかっただろう。



おそらく、この館内に生存者はいないはずだ。

全員あの鏡で転移させられてしまったのだろう。

ノアちゃんですらかかる罠に、普通の冒険者が反応できるとは思えない。


けれど、誰か途中で気付いて入るの止めなかったのかしら。

眼の前の人が消えたらもっと慎重にならない?

まあ、真っ先に飛び込んだ私が言うのもあれだけど。


もしかしたら、気付いて入るのを止めて、

見たことを伝えても、誰も信用しなかったのだろうか。





ノアちゃんの案内で私達は奥へと進んでいく。


そうして、

たどり着いた一室には、巨大な棺桶が置かれていた。

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