18-22.方向性の違い
朝食を済ませた私達は今日の予定を話し合う。
「さて、アルカ。
今日はギルドに行きますよ」
「・・・やっぱり?」
「レーネの事も紹介したいですし、
私達もエイミーさんに謝りたいです。
だからまた全員で行きましょう」
「レーネの事ちゃんと伝えて大丈夫かなぁ」
「年齢だけ後で伝えましょう。
レーネから人魚の国との関係も伝えれば、
少しは納得出来るかもしれません」
「関係って言ったって、
あれは王様がレーネの為にこじつけた部分も大きいでしょ?
もちろん、そんな風に約束を軽くみるつもりはないけど」
『アルカ様ぁ』
「今、レーネが感極まる程の事言いました?」
「浮かれポンチなのよ。
温かい目で見守ってあげましょう」
『こほん。私に是非お任せ下さい!
お義姉様にもアルカ様との関係を認めて頂けるよう頑張ります!』
「いきなりハードル高すぎない?
もちろんエイミーの人間性とかの問題じゃなくて、
このタイミングがって話よ?
前回気絶させて帰ってきてしまったっきりなのよ」
「そこはもうアルカだけには任せておけないので、
まずは全員で謝りましょう。
その上で、レーネに任せましょう。
アルカが話すのは最低限に留めて下さい」
『それはそれで印象悪いよ?』
「そうは言っても、
いつかは話をしなければならないでしょ?
アルカだって近い内にギルドに依頼を受けに行かなきゃ行けないのだし、ほとぼりが冷めるまで待つのは難しいわよ?」
「せめて行く前に連絡を取ってみるわ。
エイミーの反応次第で改めて考えましょう」
私はエイミーに小型転移門を繋いでみる。
遠距離念話は相手も使えないと返事ができない。
ノアちゃん達には私が予め魔法をかけて、
一日程度は使えるようにしているけど、
エイミーでは流石に無理だろう。
「エイミーおはよう。
突然ごめんね。今少し話しても良いかしら」
「おはよう。アルカ。
突然どうしたの?」
良かった。声の感じはいつも通りだ。
「また話したい事があるの。
近い内に時間を貰えないかしら」
「この前言ってた新しい家族の事?
それなら別に良いけど、
今日は休みを貰ってるから家に来てくれる?」
「家族全員で行っても良い?
七人もいるんだけど」
「まあ良いけど。
それなら時間を貰える?
夕方頃に来てくれるかしら。
約束通りお祝いしてあげるからそのつもりでね」
「わかった。ありがとう。エイミー。
こっちでもなにか作って持って行くから無理しないでね」
「ありがとう。お言葉に甘えさせて貰うわ。
人数も多いし、少し急すぎるものね。
それにノアちゃんの料理も食べてみたいし」
「わかった。ノアちゃんにも伝えとく」
「よろしく言っておいてね」
私はエイミーとの会話を終わらせて転移門を閉じる。
「という事になったわ。
予定変更よ。ギルドではなくエイミーの家に行くわ。
ノアちゃんも準備お願いね」
「はい!任せて下さい!
前回のお詫びの気持ちも込めて全力を尽くします!」
「一応、エイミーが祝ってくれる立場だから程々にね?」
「まあ、良いじゃない。
お祝いの席でもあり、家族の親睦会でもありって事で」
「セレネは何もしないくせに」
「ノア酷い・・・」
「アリアもお手伝いする!」
「ルカも!」
「リヴィも!」
仲良し三人組が名乗りを上げる。
「じゃあ、セレネは私とまたどら焼き作る?
せっかくなら、レーネもこっちで一緒にやりましょうか」
「その前に昨日行けなかった買い物を済ませてきて下さい。
セレネも行けばそう時間もかからず帰ってこれるでしょう。
お菓子作りはそれから始めて下さい」
「「は~い」」
『今日はセレネも一緒にデートですね!楽しみです!』
「アルカ。レーネにも手を出して良い?」
「セレネ!許しませんよ!」
「私は全員でお互いに好き合いたいけど、
ノアちゃんを説得してからね。
その間はレーネを独り占めさせてもらうわ」
『え!?どういう事ですかアルカ様!?
私はセレネとノアとも伴侶となったのですか?』
「今は私だけのものよ。
レーネが望んでくれるのなら、
いつかは皆でそうなりたいけど」
『不思議です!人間さんはやっぱり不思議です!』
「アルカだけです」
「私達だけよ」
『ノアとセレネでも意見が別れているようですが・・・』
「セレネ!一緒に頑張りましょう!」
「ええ!この夢は必ず叶えてみせるわ!」
「そこの色ボケコンビ!良い加減にしてください!」




