18-21.野望
夕食も終えて、私の部屋でレーネと一緒にベットに潜り込む。
『なんだかドキドキしてしまいます』
『眠れそう?』
『いっぱいキスしてもらったら眠れるかもしれません』
それ気絶じゃない?
『そんな事言ったら本当に眠るまで続けちゃうわよ~』
『やっぱり怖いので止めておきましょう!』
『冗談よ。今日はもうやりすぎないって決めたの』
『アルカ様ぁ』
『こうして手を握ってお話していれば眠れるわ』
『はい!』
私はレーネが眠れるまで話を続けた。
『ニクス約束は?』
『レイネスへの気持ちが残ってるからダメ』
『それは関係無いわ。
ニクスにキスする時はニクスだけを見るもの』
『いきなり開き直り過ぎだよ!
覚悟決めろとは言ったけど、そこまでしたら最低だよ!
今の今までレイネスとイチャイチャしてたのに!』
『ニクス。私は全員を愛すると決めたの。
そのためには決して手を抜いたりはしないのよ。
ニクスは私の決意を信じてくれないの?』
『余韻を大切にしてって言ってるの!』
『前にノアちゃん達にも言われたわね』
『アルカって素で最低なところあるよね』
『そうでなければ何人も手を出したりしないわ』
『とにかくダメ!
私は心のつながりの方が好きなの!
体の繋がりはノアとセレネに満たしてもらって!』
『ニクスも中々酷いことを言うわね』
『ちゃんと時と場合を選んで、
ガッツカないなら喜んで相手するから』
『自分は強引な手段を選ぶくせにそんな事言う資格あると思ってるの?』
『うぐ・・・』
『この気持ちはあなたが無理やり私に植え付けたのよ?
責任を取ろうとは思わないの?』
『そうだけど・・・』
『ニクスには何時でも私の欲望を受け入れる義務があると思うの。
あなたはそれだけの事をしたのだと自覚を持つべきね』
『そんな義務感じゃ何時までも続かないよ!
したいならちゃんと雰囲気作ってよ!』
『そうね。私も強引すぎたわね。
仲直りのキスをしましょう。私を心の中に入れてくれる?』
『下手に出たってダメだってば!
今日はもう無し!おやすみ!』
そう言って、ニクスは返事を返してくれなくなった。
流石にイジメすぎたかしら。
オヤジ臭い事ばかり言うくせに、どうしてこう初心なの?
耳年増ってやつ?
実年齢は高いけど、
精神年齢は低いから当てはまるのかしら?
『失礼な事ばかり考えてないで眠りなさい!』
『わかったわよ。
おやすみニクス。愛してるわ』
『私もだよ。アルカ』
翌朝目覚めて、
最初に視界を埋め尽くしたレーネの寝顔に
なんとも言えない幸福感が湧き上がる。
寝顔も可愛い。
キスしたい。
『そればっかり。
ノアとセレネとも散々してきたでしょ。
少しは落ち着いて』
『ニクスもおはよう』
『うん。おはよう』
『無理に起こすのも悪いものね。
折角だからこの寝顔を満喫するわ』
『それを私に言ってどうするのさ。
流石にあけすけすぎるよ!』
『どうせ私の気持ちは勝手に覗いているのでしょう?
ならこの嬉しさを共有しようじゃない』
『映画見た後感想を語りたくなる感じなの?』
『そうね。多分そんな感じ』
『じゃあ、私もアルカの好きなものを好きになるよ。
レイネスの、レーネの事もアルカと同じくらい好きになってあげる』
『ノアちゃんもセレネもアリアもルカもリヴィもね。
私は全員で好き合いたいの』
『中々傲慢な野望だね』
『良いでしょ?
この家族は私が中心になって集まっているのだもの。
私のやりたいようにやらせて貰うわ』
『私の時といい、アルカって開き直ると極端だよね。
もう少し中間辺りで落ち着けないの?』
『それじゃ足りないのだもの。
あなたも似たような事言ってたじゃない』
『う~ん。少し意味が違うと思うんだけど。
まあ、アルカが吹っ切れるには必要なことなんだね。
とりあえずそう思っておく事にするよ。
それに、やりすぎたら私が止めてあげるし』
『頼りにしてる。ニクス』
『私はアルカとその周囲を守る守護神だからね』
『アルカ様?』
『おはよう。レーネ』
『はい。おはようございます』
ふにゃっと笑うレーネ。
レーネ可愛い。
私は堪らずレーネにキスをする。
『ふふふ。なんだか幸せです。
アルカ様がとっても優しい口づけをして下さいました』
『昨日はやりすぎたものね』
『そうですよ~
少しだけ怖かったんですからね?』
『レーネが可愛すぎてつい』
『もう・・・』
レーネからもキスを返してくれる。
『さあ、起きましょう。
きっとノアちゃんが美味しい朝ご飯を準備してくれているわ。
少しでもお手伝いしましょう』
『はい!』




