18-20.帰宅
服屋を出ると、既に日が傾いていた。
いくらなんでもゆっくりしすぎた。
それに結局、店員に紹介された服は全部購入してしまった。
流石に調子に乗りすぎだ。
今日はまだまだ購入しなければいけない物があったのに、
もう家に帰るべきだろう。
レーネの生活雑貨はまた明日だ。
私はそう判断して、自宅の自室に転移する。
レーネにまたキスをしてから部屋を出る。
『アルカ様!』
部屋を出た直後にレーネに引っ張られて、
レーネからもキスしてくれた。
再び火が付きそうになったところで、
レーネは私から体を離してしまう。
『今日はとっても楽しかったです!
アルカ様!大好きです!
ありがとうございます!アルカ様!
さあ!行きましょう!』
子供らしい純粋な笑顔を向けられて、
自分の中で暴走しかけていた欲望が静まっていくのを感じる。
その代わりに純粋な愛しさが湧き上がる。
『私も楽しかったよ。レーネ』
『はい!』
そのまま、レーネに促されてリビングに向かった。
『笑顔一つで浄化されたね。
レーネも中々やりおる』
『残りはほんの少しだけど、
行き場のない欲望はニクスにぶつけていい?』
『嫌だよ!何で他の女の子への情欲をぶつけられなきゃいけないの!?』
『ニクスなら私の全てを受け止めてくれるかなって』
『アルカぁ・・・いや!流石に流されないよ!』
『もう一押しかしら』
『ダメだってば!』
私とレーネはリビングにいた家族に声をかけて、
レーネをソファに座らせる。
「アルカ帰ってきたのですね。
レーネの物を出しておいて下さい」
「え?何を?」
「食器とかも買ってきたのでしょう?
一度洗っておきたいですし、
もうすぐ晩御飯ですよ。
早速使いましょう」
「・・・まだ買ってきてないの」
「じゃあこんな時間まで何を?
レーネは地上に不慣れですし案内でもしていたのですか?」
「いえ・・・」
「何で狼狽えているんですか?
折角レーネとデートしてきたばかりなのに」
「その・・・今日は服屋しか行かなかったの」
「なんでそれくらいで言いづらそうにする必要があるのですか?
別に怒ったりしないので、気になることがあるのならちゃんと話して下さい」
「どうせレーネに夢中になりすぎて
時間を忘れてたからバツが悪いのでしょう?
途中で一度戻ってきた時もイチャイチャしていたみたいだし」
「セレネ!?どうしてそれを!?」
「そりゃ気付くわよ。
この家の中くらいなら私だって知覚できるもの」
「なるほど。そういう事でしたか。
それを知ると今のアルカの態度にイラッときますね」
「私もよ。
アルカ。堂々としなさい。
あなたは愛する人との時間を恥じるつもりなの?
そんな態度はレーネにも失礼よ」
「わかった。もうしない。
レーネもごめんね。
また変なところ見せてしまったわ」
『気にしないで下さい!
今日はアルカ様のそんなところもいっぱい見れて楽しかったです!』
『「「ぷっふふふ」」』
「ノアちゃん!セレネ!ニクス!笑うこと無いでしょ!」
「これからもいっぱい見れます。
それでもどうか見捨てないであげてください。
きっとそんな心配はいらないでしょうけど」
『はい!』
「もう・・・」
「アリアも見捨てないよ!」
「ルカも!」
「リヴィも!」
「あれ?リヴィはもう元の姿に戻ったのね」
いつもの三歳児モードだ。
尻尾も翼も生えている。
「アルカちいさいのすき!」
自分で戻ったの?
「そうだね~
リヴィはやっぱこうでないとね!」
私はリヴィを抱え上げて、
高い高いする。
キャッキャと笑う無邪気なリヴィ。
リヴィも可愛い。
「アリアも!」
「ルカも!」
『その次は私もお願いします!』
「じゃあ私もね」
「私は最後ですか?」
『私もしてもらおうかな。
でも絶対それだけで済まないよね・・・』
またこのパターンなの?
「本当に皆これやって欲しいの?
アリアとルカでもギリギリなのに、
他の子達は無理がない?」
別に持ち上げるのは問題ないけど、
そんな赤ちゃん扱いされて嬉しいの?
「今度また一緒に飛んで下さい。
あの景色もまた見たいです」
突然そんな事を言い出すノアちゃん。
なんか連想したようだ。
最初に飛んだ時は怖がって二度と飛びたくないと言っていたのに、随分と慣れたようだ。
それだけ、夕方の雲海を上から見る景色が気に入ったのもあるのだろう。
今度レーネも連れて行ってあげよう。
アリアとルカとリヴィも喜んでくれるかもしれない。
「もちろん!また行きましょう!」
 




