18-16.挨拶
朝食を済ませた後、
私はレーネと二人で人魚の国のレーネの部屋に転移した。
レーネを人魚に戻し、
王様に話をしに行ったレーネを部屋で待つ。
レーネはすぐに戻ってきた。
どうやら王様は私とも今から会ってくれるようだ。
レーネに連れられて行くと、
何時ものように、王様と王妃様が待ち構えていた。
『レイネスから話は聞いた。
良くぞ決心してくれた。
どうか娘を頼む』
『こちらこそ。
レイネス姫との婚約を認めて頂き感謝します』
『うむ。
近い内に婚約発表の式典を執り行おう。
結婚はレイネスの成人後とさせてもらう。
問題はないか?』
『それでかまいません』
『言葉遣いは改めんでもよい。
お主はこの国と対等な存在だ。
少なくとも我はそう考えている』
『わかったわ。
ところで人魚の成人っていくつなの?』
『十五です』
『そこは人間と同じなのね』
『そもそも言葉も同じであろう?
陸と海の差こそあれど、多くの文化は共通しておる』
『言われてみればそうね。
何でか少し気になるけど』
『言えないからね』
『そんな気はしたわ』
『また準備が出来次第声をかけよう』
『どうやって連絡を取るの?』
『お主は遠方への念話は出来ぬのか?』
『ええ』
『ならば教えよう』
『助かるわ』
まさかここで手に入るとは。
これで別荘組とも連絡取りやすくなるわ。
それから王様に色々教わって念願の遠距離念話を習得した。
『よかったぁ~』
『ニクス、一応気にしてたのね』
『当たり前だよ!
私がアルカの邪魔するなんて嫌に決まってるじゃん!』
『気にしないで。
ニクスはいてくれるだけで良いんだから』
『今はそんな事言わなくて良いよ!
婚約者の父親の前で何やってるの!』
『それもそうね』
『それじゃあ、そろそろお暇しようと思うのだけど、
レーネはこのまま連れ帰っても構わない?
それとも嫁入り前だし遠慮した方が良いかしら』
『アルカ様。どうかお連れ下さい。
私はもうアルカ様のものです』
『だそうだ。
改めて頼む。
レイネスも達者でな。
まあ、何時でも戻って来るが良い。
部屋はそのままにしておこう』
『感謝します。お父様。お母様。
それでは行ってまいります』
『うむ』
その後、一度レーネの部屋に寄って必要なものを回収し、
私達は自宅に転移した。
ノアちゃん達はまだ帰っていないようだ。
私はリビングのソファにレーネと並んで腰掛ける。
「レーネ。改めてよろしくね。
結婚はまだだけど、
これからは私の伴侶として扱うからね」
『はい!こちらこそ!』
「早速だけど、やって欲しい事はない?
レーネは私のものだけど、私もレーネのものよ!
これからは何でも遠慮なく言ってね!」
『それでは失礼します!』
そう言って抱きついてくるレーネ。
私も抱きしめて感触を楽しむ。
レーネ柔らかい。
「そういえば婚約発表の式典って何するの?」
『実際に見たことはありませんが、
たしか・・・』
まあ、当然だけど国を挙げての一大イベントだ。
少しだけ憂鬱だけど、
レーネを手に入れる為に必要ならやむを得まい。
『それは女の子の発想じゃなくない?』
『仕方ないでしょ。人前に出るの苦手なんだから』
『まあ、気持ちはわかるけど』
『あなたも神様のくせに何で人見知りなの?』
『知らないよ!生まれつきだよ!』
『お互い苦労するわね』
『アルカとの共通点なら悪くないね』
『・・・そうね』
『気を使わなくていいよ!
というか何時まで私と話してるの!?
今はレーネと抱き合ってる最中じゃない!
そのまま押し倒しちゃいなよ!』
『やらないわよ!レーネは未成年よ!』
『今更!』
『笑うことないでしょ!』
『アルカ様』
「なぁにレーネ?」
『大好きです』
「私もよレーネ」
『ふふ』
『初々しいなぁ』
『口挟まないでよ!外野!』
『ひどい・・・』
「レーネ。キスして良い?」
『どうぞお好きになさって下さいませ。
私は既にあなた様のものです』
「じゃあ、レーネもね。
好きな時にしてね」
『はい!』
暫くそうして、キスしながら抱き合っていると、
ノアちゃん達が帰ってきた。
「随分お楽しみの様でしたね」




