18-12.指輪選び
「今度はえらいべっぴんさん連れてきおったのう」
「私のよ!スケベな目で見たら承知しないからね!」
『アルカ様!』
「もう独占欲発揮してますよ」
「本当にあのグダグダっぷりは何だったのかしらね」
『アルカってチョロいよね』
「それで今日は何のようじゃ。
こんなゾロゾロ来られたら商売にならんぞ」
「どうせ客なんて来ないんだし良いじゃない」
「アルカ!ごめんなさいお爺さん。
後でキツく言っておきますので」
「良い良い。事実じゃ。
それにお前さんらはお得意様じゃしの」
「相変わらずノアちゃんには甘いわね」
「お前さんと違って礼儀正しいのじゃから当然だろう」
「まあ、良いわ。
とにかく依頼したい事があるのよ。
また指輪を作って欲しいの」
「まったく・・・
今度は誰のだ?このべっぴんさんとのか?」
『レイネスと申します』
「何じゃ念話か?」
『はい。私は人魚の国から参りました。
まだ地上での生活には不慣れなのです。
どうかご容赦下さい』
「いや、問題はないとも。
儂はへパスじゃ。
苦労するだろうがアルカの事を頼んだぞ」
『はい!ヘパスお祖父様』
「そんな畏まらんで爺さんで良い」
「ほら、爺さんも何時までも鼻の下伸ばしてないで依頼を受けて頂戴」
「まったく。そんな警戒せんでもお前さんの嫁に妙な事はせんよ。
それで?今度はどんなのが欲しいんじゃ?」
「えっと・・・
レーネの分は海水に強い素材で作って欲しいの。
前回と同じようにできる限り頑丈にね。
後、海のイメージで青系が良いかしら。
レーネの様に美しさを象徴する物がいいわ。
それに上品さも欲しいわね。
それで次は・・・」
「待て、お前今何と言った?
他のは皆幼子じゃろうが。
まあ、ノア達の時点で今更じゃが。
ともかく衛兵呼んだほうがよいのか?」
「そうね。一回詰めてもらった方が良いかもしれないわね」
「セレネが言えることじゃないでしょ!
一番最初に無理やり迫って来たくせに!」
「私がアルカの初めてだものね」
「もうひとつは私が貰いました」
「二人とも良い加減にしなさい!」
「良い加減にするのはお前さんじゃろうが!
次々に幼子ばかり手にかけおって!」
「色々あったの!私から迫ったわけじゃないの!」
「レーネにはかなり強引に迫ってましたよ?」
「ちなみにお爺さん。レーネは私達の一つ下よ」
「・・・はあ~
もうこれ以上店で騒がんでくれ。
指輪は作ってやる」
「心が折れてしまったようですね」
「流石に悪いことをしたわね」
『お祖父様。申し訳ございません』
「いや、お前さんが謝る事は無かろう。
それで、残りの指輪はいくつだ」
「四種類、レーネとのも合わせて計九個」
「・・・それぞれの要望は?」
『次は私、アルカの守護を務めるニクスと申します。
この世界の神でもあります。
現在はアルカの心の内に住まわせて貰っております』
「・・・神じゃと?
肉体は無いのか?
そんなもんサイズはどうするんじゃ」
「ニクスってまだ表に出てこれるの?」
『無理だよ。
あれは神の座からしか出来ないもの』
「じゃあ、ニクスは体取り戻してからでも良いのよね?」
『ううん。出来ればこの方に作ってほしいの。
体が取り戻せるのは何時になるかわからないから』
「まあ、多少はなんとかなるじゃろう。
大体の体型を言ってくれ」
「この中だとアリアに近いわよね」
「もう少しだけ大きいでしょうか」
「ノアとアリアの間くらいじゃなかった?」
「お前さん本当に衛兵に突き出すべきじゃな」
「まあ、ともかく、
ニクスとの分は等間隔で・・・」
私はエタニティリングっぽいのを作ってもらえないか提案してみる。
「そんなもん脆くなっちまうぞ」
「じゃあ、蛇は?
自分の尻尾加えてるやつ」
『そんな小学生男子じゃあるまいし。
まあ、けど目の付け所は良いね。
私には永遠の愛を誓ってくれるんだね!』
「これもダメなら・・・」
「まあニュアンスはわかった。
こっちでも出来そうなもん考えといてやる。
また出直してこい」
「うん。お願い」
ニクスの指輪は保留になった。
「なんかニクスだけ真剣過ぎませんか?」
「そんな事無いわよ。
単にネタ切れなだけよ」
『ひどい!そんな理由だったの!?』
「一番込めたい思いは私達の時に使ってしまったという事ね。
見直したわアルカ」
「セレネがそれで良いなら良いんだけど」
「ほら、次はアリアとルカです。
どんなのにするんですか?」
「そうね・・・」
結局、そのまま長いこと爺さんの店に居座る事になった。
チョーカーはまた今度買いに行くとしよう。
流石にこのまま全員で行くのは抵抗あるし・・・




