17-27.口約束
私達が自宅に戻ると、アリアが飛びついてきた。
「アルカ!どこに行ってたの!?
何でいつもいなくなっちゃうの!
ずっと一緒にいてくれるんじゃなかったの!」
「アリア!」
私はアリアを抱きしめ返して落ち着かせる。
アリアはまだ来たばかりなのに連日放りだしていたらこうなるのは当然だった。
まだ不安も多いはずだ。
それなのに私は・・・
「ルカもおいで」
「うん」
私は二人を抱きしめて語りかける。
「ごめんね。アリア。ルカ。
今日はちゃんと一緒にいるからね。
けれど、これからも私は二人の側にいられない事が多いの。
だから少しずつで良いから慣れていってくれる?
ノアちゃんとセレネも二人に優しくしてくれるから。
リヴィも側にいるから。
私も毎日二人のところには帰って来るから。
信じて待っていてくれる?」
「・・・じゃあ、アリアもお嫁さんにしてくれる?」
「「「!?」」」
「・・・突然どうしたのアリア?」
「お姉ちゃん達はアルカのお嫁さんなんでしょ?
アリアもなりたいの」
『ノアちゃん!』
『アリアにそういう感情はありません。
多分、昨日ルカに指輪の意味を聞いたからそう言っているだけです』
私の助けを求める声に応じて、
すぐにアリアの感情を読み取ってくれた。
けど出来ればなんて返せば良いのかも教えて欲しかった・・・
『流石に頼り過ぎだよ。
アルカの言葉で納得させてあげて』
あまりの不甲斐なさに、
ニクスにまでダメ出しされてしまう。
「アリア。良く聞いてね。
お嫁さんになるって事は嬉しい事だけじゃなくて、
とっても大変な事でもあるの。
だからアリアのお願いでも簡単には聞けないの。
アリアがお嫁さんになるって言うのがどういう事かちゃんとわかったら、
私も真剣に考えるから。
だから一緒にお勉強しましょう。
アリアはまだ沢山知らなければいけない事があるの」
「・・・うん。お勉強頑張る。
だから、頑張ったらお嫁さんにしてね?」
「アリアが全部ちゃんとわかった上で、
本当の本当にそう思ってたら考えるわ」
「うん!」
『どうしてそういう言い方しか出来ないんですか!?
もっとキッパリ断れないんですか?』
『アルカに出来るわけ無いじゃない・・・
とはいえ、こうして口説いていくのをはたから見ると、
やっぱ全部アルカのせいだって改めて思うわ』
『じゃあどう言えば良いのよ!?
今回はちゃんと助け求めたじゃない!』
『アルカはおかしいのよ!
貴族でもあるまいし!
普通はそんなにポンポン増やさないの!』
『そもそもアルカの世界では一対一が基本なんだけど・・・』
『『アルカ!?』』
『ニクス裏切ったわね!?
というかあなたが一番言えない立場でしょ!?』
『後でゆっくり話すとしましょう』
「ルカも」
「え!?」
「ルカもお嫁さんが良い」
「わかった。ルカの事もちゃんと考えるから」
「そうじゃなくて約束して!
大きくなったらアルカのお嫁さんにして!」
『『『!?』』』
『中々、強かな子だね』
『セレネ!良い案!』
『キッパリ断って』
『無茶言わないでよ!?
さっき自分でも出来るわけ無いっていったじゃん!
そもそも子供との口約束で真剣に断わる方が普通おかしいわよ!?』
『その油断が命取りなんです!
というか子供に手を出しておいて良く言えましたね!?』
『半ば無理やり手を出させた方が言うのも笑えるね』
『何他人事みたいに言ってるのよ!
ニクス!この際あなたでも良いわ!なにか切り抜ける方法考えて!』
『受け入れたら良いじゃない。
私はアルカが何人増やそうが気にしないよ?』
『ノアちゃん!そろそろ限界よ!
何時までも黙ってたら不自然よ!』
『そんな事言われても・・・』
私は何とか言葉をひねり出す。
「ルカ。それは一方的に約束を迫るものじゃないのよ。
お互いにそうしたいって心から思う必要があるの。
賢いルカならわかるでしょう?
今の幼いあなた達がどれだけお願いしてくれても、
私はうんって言えないの。
だから大きくなったらまた言ってくれる?
そうしたら真剣に考えるから」
「・・・わかった。約束。
お姉ちゃん達くらいになったらまた言う」
「・・・本当はもう少し大きくなってからが良いのだけど」
「・・・アルカ子ども好きでしょ?」
「・・・はい」
「じゃあアリアくらいになったら言う」
「そうじゃないでしょ!?」
「大丈夫。ルカはちゃんと知ってる」
「そういう事じゃなくて!」
『・・・本当に?』
『・・・流石にまだですね』
『今の間は何!?』
『いえ、既に何か違うという事は察していますね・・・
時間の問題かもしれません・・・』
『早熟過ぎるでしょ!?』
『少なくともアリアの年の頃には理解しているでしょう』
『後三年かぁ・・・
ノア。これはアルカの教育を急がなくちゃね』
『はい。もう手段は選びません』
『その話なんで私に聞こえるように言ったの!?』




