17-26.お仕置き部屋
私はノアちゃんとセレネの前で正座していた。
ここは別荘だ。
幼少組が寝静まり、
またも転移してきたのだ。
なんだかお仕置き部屋になってきた気がする。
『ムチとか置いちゃう?』
『ニクスが相手になってくれるなら考えなくもないわ』
「内緒話が必要なのですか?」
ノアちゃんが冷たい声で問う。
「いえ。必要ありません」
「アルカ。ちゃんと説明して。
嘘偽り無く。本当の事を話してね」
「はい・・・」
「それで?どうしてニクスの指輪を用意しようと思ったのですか?」
「それは・・・出来心です」
「出来心?
そんな言葉で誤魔化さず、
ちゃんと説明してください」
「えっと・・・その・・・
指輪を見た時に一目で気に入ったの。
それで、衝動的にニクスにもあげようかなって思ったの。
あの時はニクスの事を神の座にたった一人で居続ける可哀想な子って思ってたの。
それで、指輪を作りに行った時から、
何度も羨ましがってたから欲しいのかなって思ったの。
だからその・・・つい追加で作ってってお願いしちゃったの」
「まったく。
それじゃあ何が言いたいのかわからないわよ!
ちゃんと整理しなさい!」
「アルカが指輪の作成を依頼した時、
それを見ていたニクスが羨ましがって、
それ以降何度もその気持を仄めかした」
「アルカは元々ニクスを可哀想に思ってた。
それはニクスがたった一人で孤独に生きていたから」
「出来上がった指輪を一目見て気に入ったアルカは、
せっかくだからニクスにもあげてしまおうと思った。
少しでも孤独が癒せれば良いと思ったから」
「これで良いの?あってる?」
「はい。その通りです」
「アルカはこの指輪にどんな想いを持っていますか?」
「ノアちゃんとセレネとの大切な繋がりよ!」
「なぜ、それをニクスにも、
ましてや同情なんかであげてしまおうと思ったのですか?」
「・・・それは・・・
そこまで考えてなかったから。
ただ良いものだって思って
それがとても嬉しくて
これならニクスの助けにもなれるかなって思ったの」
「ごめんなさい。
決して二人への気持ちを疎かにするような意図はないの。
本当に心を込めて贈ったものなの。
だからどうか捨てないでください。
この指輪は私にとっても大切なものなんです。
この指輪だったからじゃなくて、
この指輪を贈った時の事も大切な思い出なんです。
二人を沢山泣かせてしまったけど、
それでもそう思ってるの」
「そんな事するわけないじゃない」
「アルカのその思いは私達も同じ気持ちです。
だからこそショックでもあるんです」
「ごめんなさい・・・」
「ニクスにも贈りたいのだと相談してもらえればまだ考えようもありました。
いっその事ニクスとアルカだけの指輪を新しく作っても良かったはずです」
「はい・・・」
「アルカにとって私達への気持ちとニクスへの気持ちはどちらが上なの?」
「・・・比べられないわ」
「つまり同列とも言えるのですね」
「・・・はい。そうです」
その返事を聞いて静かに泣き出す二人。
「いえ、なんとなくわかっていた事ではあるんです」
「やっぱり言葉にされると辛いわね」
「すみません。余計な事を聞きました」
「ううん。聞いたのは私よ」
「アルカそこに寝てください」
「え?」
「拒否は許さないわ」
「わかった」
私はノアちゃんの示したベットに横になる。
二人は私の上に覆いかぶさってきた。
「アルカが私達を一番だと認めるまでは離しません」
「私達が一番だとわからせてあげる」
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気が付くと別荘のベットの上だった。
早く自宅に戻らなきゃ。
皆待っているはずだ。
「ノアちゃん。セレネ起きましょう。
もう帰らなきゃ。ほら服を着て」
「認めましたか?」
「うん」
「本当に?その場しのぎじゃなくて?」
「少なくとも今は二人が一番よ」
「まだ足りないようですね」
「ここにアルカを監禁して私達で順番に休み無くイジメてあげればわかってくれるかしら」
「転移封じを探しましょう」
「あと転移もね。
グリアさんとルネルさんに相談しましょう」
「ほらもう変な事言ってないで支度して。
そのまま転移させちゃうわよ」
「まあ、この顔を見れたので今日の所は良しとしておきます」
「アルカ可愛い」
そう言って、
二人は私の頬にキスをした。




