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17-10.選択

『つまり番なのですか?』


私達はレーネに私達の関係を説明した。


レーネはピンときていないようだ。



『まあ、ニュアンスは近いんじゃないかしら』


『人間さんは女の子同士でも子供が出来るのです?』


『いえ、そういうわけではないんです。

人間も男女の間でしか子供は産めません』


『???

それでは困ってしまうのではないのです?』


『そうですね。

いつかアルカの子供も産んでみたいですが・・・

それは諦めてでもアルカと共にいることを選んだのです。

まあ、アルカなら何とか出来てしまいそうですけど』


『出来てもやらないけどね。

私達はそれ以外にも永遠に生き続ける魔法も使っているの。

だから、そんな地獄みたいな人生に子供達を巻き込んだり出来ないわ。

私は絶対、自分の子供にも同じ魔法を使ってしまうもの』


『そうですね。

それにリヴィもいてくれますから。

もう十分です』


『・・・それは困ってしまうのです。

私はいつか国に戻って子を成せばなりません。

私はこの国の王の唯一の娘なのです。

国を守る為には必要なことなのです』


そうだった。

この子お姫様なのよね。

私達一体何を吹き込んでいるのかしら・・・



『けれど、ついてくればレーネも必ずアルカの虜となります。

他の男性と結ばれる事が出来なくなるでしょう。

少なくとも私達はそう確信しています』


『番は男女でなるものではないのですか?』



『感情の問題です。

この人のものになりたいとそう思ってしまうのです。

他の誰にも触れられたくないとすら思ってしまうのです。

おそらくレーネもついてくればそうなるのです

だからよく考えて下さい』


『私達は普通の人間とは違います。

寿命もあなた以上です。

それもよく考えて下さい。

あなたが歳を取る間にも私達が成長する事はありません』


『ちゃんと時間はあげます。

ついてこれなくとも、

たまには遊びに来ます。

地上にも連れていきます』


『だからよく考えて下さい。

ちゃんとご両親とも相談して下さい。

まだあなた一人では受け止めきれないかもしれませんから。

また返事を聞きに来ます。

宜しいですか?レーネ』



『・・・わかりました』


レーネはやはりピンときていないようだ。

王様には私からもちゃんと説明すべきだろうか。

流石に言い辛いけれど、

お姫様を預かるのなら必要なことなのだろうか。


私達はすっかり忘れていたのだろう。

同性で愛し合う事に何の違和感も抱いていなかった。

それ自体に何の躊躇いもないけれど、

それが一般的にどう見られるかまでは考えていなかったのだ。


いや、ノアちゃんとセレネはちゃんと考えていたのだろう。

考えてないのは私だけだ。

また怒られてしまう・・・


まあ、これについてはむしろ都合が良いとか考えてそうだけど。

私が余計なことで躊躇しなくて良かったと思っていそうだ。

セレネ辺りはそう考えていたのだろう。


別に今更考えた所で関係も無いのだけど。

そんな理由でノアちゃんとセレネを手放す事などあり得ない。


ただ、親としてはもう少し考えるべきだったと反省しよう。

娘になんてことをしてしまったのかと。

そして周りもそう認識しているのだと。

反省は必要だ。後悔はしないけど。



『業の深さは役満ですから。

一つくらい増えても関係ないのでしょう?』


『あなた本当に打たれ強いわね。

すぐ泣くくせにすぐ復活するなんて理想的な玩具だわ。

あと口調が戻ってる。

次やったら教育するからね』


『やめて!

わかったから!

もう間違えないから!』


『愛してるわ。ニクス』


『何でこのタイミング!?

大丈夫!私も愛してる!

アルカの玩具でいいから!』


『安心して。

今はもう何もしないわ。

ちょっと真面目に考えたいから。

玩具で遊んでいる場合じゃないの』


『本当にどうしてこうなったの・・・

私はただセレネ達が羨ましかっただけなのに。

アルカから同じ感情を向けて欲しかっただけなのに』


『そうね。たまには飴もあげないとだものね。

わかったわ。これで良い?』


『嘘でしょ!?

何でそんなの制御できるの!?

私に向けてるあの感情は何だったの!?』


『大嫌いだけど愛していると言っているじゃない。

ちゃんと純粋な気持ちだって持っているわ。

純粋な大嫌いって気持ちは怖かったでしょう?

純粋な愛しているって気持ちは心地良いでしょう?

どちらが良いかはわかるでしょう?

だからニクスも良く考えてね。

もう二度とあんなおいたをしてはダメよ?』


『うん!もうしない!

ちゃんと手段は選ぶ!

アルカに愛してもらえるよう真正面からぶつかるから!』


『信じてあげる。

愛しのニクス』


『アルカぁ』


私の愛に包まれて恍惚とした声を出すニクスを放置して、

レーネの事に思考を戻す。


それにしても、

世間知らずの純粋無垢なお姫様に

本当に何を吹き込んでいるのだろう・・・


あまりこんな事をしていると、

この国の敵になってしまうのではないかしら。


いくら娘に甘く、寛大な王様でも、

流石に受け入れられないだろう。


やはり私は考えが足りていない。

けれど、ノアちゃんとセレネはそうではないはずだ。


なにか考えがあるのかもしれない。

あとで二人の意見も聞いてみよう。



ともかく、私達は一度地上に戻ることにした。

一旦、レーネには一週間程時間をあげて考えてもらおう。

人生を決めるには短すぎるけれど、

まあ、たぶん気にする必要はないのだろう。


また時間をあげても良いのだし、

なによりレーネはそれでもついてくる気でいるようだったし。


最悪、レーネの気持ちが芽生え始めた時にまた改めて国に戻るか聞くことにしよう。

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