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17-7.懺悔

私はノアちゃんとセレネにニクスとの数年間の事を伝えた。



とはいえ、正確な日数などわからない。

陽の光もない真っ暗闇で過ごしていたのだ。


常に光を放つニクスだけが私にとっての拠り所だった。


どれだけ嫌いになっても側を離れる事はできなかったし、

ニクスも離れてはくれなかった。



最初はまだ仲良く過ごせていたと思う。

何度か泣いてしまったけど、

それでもまだ仲直り出来ていた気がする。


それから少しずつ心理的な距離ができていった。

段々ニクスの事が嫌いになっていった。


その後はニクスを心底憎んだりもしたし、

逆に依存してしまう事もあった。


そんな事を何度も何度も繰り返したけれど、

結局ニクスは最後まで私を嫌うことはなかった。


普段そうは見えないのに、

神様としての包容力でも発揮したのだろうか。

そんな風にすら考えてしまった。






つまるところ、

神様と根比べなどして勝てるわけが無かったのだ。


例えポンコツ女神でメンタル弱々だとしても、

経験値が違いすぎたのだ。


私はニクスの事を甘く見すぎていたのだろう。

可哀想な子なのだと見下してすらいたのかもしれない。


そんなはずがなかったのに。

この世界をずっと見守り続けた神様なのに。


ニクスが目的の為には悪辣な手口を使うことも辞さないのはわかっていたのに。

そんな事をすっかり忘れて、

ニクスの口車に乗せられてしまったのだ。





その結果、私はニクスの計画通り、

陥落されてしまったのだろう。


それでも、ニクスは何度も寿命を戻す事を提案した。

きっと、その気持も本当にあったのだろう。

本当に私達の為に、自分の気持ちを諦める意思があったのだろう。

それだけ私の事を好きでいてくれたのだろう。





そんな事に気付いたら、

結局ニクスの愛を受け入れてしまった。


ニクスを受け入れる事を決断してしまった。


たった数年辛い生活を送った程度で、

私の誓いは破られてしまった。


散々に虐められた上で与えられた飴は魅力的に過ぎた。

それだけニクスの愛は大きかった。

口ではああ言っても私のことを手放す覚悟すら持っているほどに。


ここまで自分の事を好きでいてくれる人に背を向け続ける事が出来なかった。





私はノアちゃんとセレネの為だけに

何千年でも生き続けると誓ったのに。


二人からしたら二ヶ月程度でこの誓いは破られる事となった。

まあ、数年程度で破ってる時点で大差は無いのだけど。






私の懺悔を静かに聞き届けたノアちゃんとセレネは口を開いた。



「「アルカが悪い」」


「はい、仰るとおりです」


「アルカが誰を好きになったって文句は言わないと言ったし、

それで私達は傷つかないようになる努力をするとは言ったけど、

少しだけお説教が必要だと思うの」


「はい・・・」


「流石に油断が過ぎたのではないですか?

ニクスの気持ちもやり口も知っていたでしょう?

なぜまんまと罠にかかったのですか?」


「よく考えていなかったからです・・・」


「そうですね。

まあ、話しを聞く限りアルカの意思に関わらず実行できたのでしょうけど。

けれど、アルカが油断して提案を受け入れたのは間違いありません」


「はい・・・」


「その結果こんなに早くニクスに陥落されるなんてね。

本当にそういう所よ。あなたが一番直さなければいけないのはそういう所なの」


「はい」


「アルカの気持ちをどれだけ信じていても、

絶対に流されてしまうと思うのはその考え無しのせいなの」


「はい」


「本当に私達はアルカの気持ちを信じているのよ?

けれど、ニクスのように搦手で無理やり迫られれたらアルカだってどうしようも無くなってしまうでしょう?」


「はい」


「けれど、ニクスの気持ちだってわかるの。

私だって同じことが出来るのならしたはずよ。

それだけアルカの事が好きなのだから」



「アルカにはそれだけ人を狂わす力があるのです。

そう自覚してください。

私達もそれなりに強引に迫ったはずです。

ニクスも同じになると言ってあったはずです。

どうか警戒してください」


「距離を置けと言っているのではありません。

私達の気持ちを甘く見ないで下さいと言っているのです。

それはアリアもレーネも変わりません。

きっといずれはリヴィもルカも同じことです」


「少なくとも私達はそう確信しています」


「アルカの為に言っているのです。

アルカが不本意な気持ちに流されて後悔する事の無いようにお願いしているのです。

出来ないのなら私達の前でやってくれと頼んだはずです。

そうすれば私達が止めて上げられるのです」


「ニクスの事は受け入れましょう。

その代わり、ニクスに頼みがあります」


『何でも聞きましょう。

出来る事は限られますが』


「アルカを見守っていてください。

あなたのような卑劣な手口で惑わされないようにしてください。

アルカの心を一緒に守って下さい」


『承ります。

アルカへの想いに誓ってその願いを聞き届けると約束しましょう』


「信じますよ」


「仕方ないわ。

私も受け入れて上げる。

まあ、ニクスの事はもう諦めていたしね。

けれど次はもう少し考えてね?」


「はい。ありがとう。二人とも」


「ニクスも私達と仲良くしてください」


「正直、今は嫌悪感しか感じないけどね」


「私もです」


『ありがとうございます。

ノア、セレネ。

そう思っていても受け入れてくれた事感謝します』


「「アルカの為です!」」

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