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17-6.試練

「ノアちゃんに会いたい!

セレネに会いたいの!

もう終わりよ!出してよ!」


「キスしてくれれば出すって言ってるじゃないですか。

それに、諦めて人に戻る決意をしたのなら、

無条件で出してあげます」


「嫌!ニクスなんて嫌い!」


「そんな事言ってる内は出しませんよ?」




----------------------




「ニクス愛しているわ。キスして良い?」


「ダメです。

もうその手には乗りません。

嘘だってもうわかってるんです。

ちゃんと唇に心からしてくれるまで出しません」




----------------------




「もう良いじゃない。

どれだけ一緒にいてもニクスの事を好きにはなれないの!

もう諦めてってば!」


「そんなこと言ってもダメです。

もうアルカの事よく知っているんですから」




----------------------




「・・・」


「もう話す事も思いつきませんか?

ならやっぱり人間に戻してあげましょうか?

それなら私にキスしなくても出してあげます」


「・・・まだ頑張る」


「ノアとセレネの為ですか?

二人と生き続ける為に、

二人を裏切らない為に頑張るのですか?

私の為にはなれないのに、

二人の事はそんなに大事なんですか?」


「そうだけどそうじゃないわ。

ニクスの為でもあるのよ。

ニクスはこんな孤独に耐えてきたのでしょう?

なら一緒に生きる私も耐えられるようにならなきゃ」


「決意してくれたんですか?」


「私だってニクスの事好きなのよ?

愛しているのよ?

何年一緒にいると思ってるの?

その間、どれだけ私が嫌ったってニクスは私を好きでい続けたのよ?」


「最初は本当に出してくれないなんて思ってもみなかった。

きっと、本気で頼めば出られると思ってた。

だから軽い気持ちでニクスの誘いに応じてしまった。

けれど、ニクスは私に嫌われてさえ出してくれなかった」


「やってる事は酷すぎるけど、

やっぱり大嫌いだけど、

けれどやっとわかったの。

ニクスがどうしてこんな事を始めたのか。

あなたがどれだけ苦しんできたのか。

ルネルがどんな孤独を抱いてきたのか。

会いたい人に会えなくなるのがどれだけ辛いのか。

こんなの耐えられるわけがない」


「きっとこの世界に来た時だって

エイミーがいてくれなきゃ私はその時点で終わってた」


「それなのに、

ニクスはただ虐めるだけ。

支えるなんて約束は反故にされた。

ただ側にいてくれただけ」


「きっと本当に私が心折れていたのなら、

人間に戻して身を引くつもりだったのでしょう?

私を諦めてまた引き籠もるつもりだったのでしょう?」


「けれど、それでも本当は私に一緒にいてほしいんでしょう?

その気持は嘘ではないのでしょう?

例え、私が死んでも魂だけになっても転生しても、

一緒に居続けるつもりなのでしょう?

それを伝えたかったのでしょう?

あなたの想いに応えるって事がどういう事か知ってほしかったのでしょう?」


「あなたは私が決して想いに応えないってわかっていたのでしょう?

私は二人に話して認めてもらうまでそんな事するわけがないって信じてくれていたのでしょう?」


「だからクリアできない条件で縛り付けたのでしょう?」



「本当に良いのですか?

私はアルカに酷いことをしました。

私の望みのためにアルカを苦しめました。

それでも本当に私と生きてくれるのですか?」


「ええ。決めたわ。

一緒にノアちゃんとセレネに謝りましょう。

二人が許してくれたのなら、

私はニクスの想いに応えるわ。

そうして皆で一緒に生きていきましょう」


「・・・愛しています。アルカ」


そこで私の意識が途絶えた。







『「今」って何してたんだっけ?』


『レーネを迎えに行くことで話がまとまって、

各自出立の準備を整えているところです』


『じゃあ二人はセレネの部屋ね』



私はノアちゃんとセレネを魔法で抱き寄せる。

久しぶりに使ったけど問題なかった。


二人とも記憶通りの姿だ。

本当にこっちでは一瞬の事だったのだろう。


私の体感だと最後に会ってから数年は経過しているのに。



私が何時までも二人を抱きしめていると、

戸惑っていた二人は私の様子からなにかを感じ取って、

背中を撫でてくれた。



「突然どうしたのですか?」


「それにその力はどうしたの?

ついさっきまでと全然違うじゃない」


長い監禁生活の間、

ニクスに色々教わって力の使い方も格段に成長していた。

神力の質が変わっている事に驚いたのだろう。



「ニクスに虐められてたの」


『・・・流石に否定はできませんね』


「ニクスったら酷いのよ!

私のこと心の中に何年も閉じ込めてたの!

どれだけ泣いてお願いしても出してくれなかったんだから!」


『アルカ!?』


「「ニクス?覚悟は出来ていますか?」」


『待って!必要なことだったんです!

アルカもそう納得してくれたんです!

なんでさっきまでいい感じだったのにいきなり裏切るんですか!』


「だって酷いことしたのは事実だもの。

私がどれだけノアちゃんとセレネに会いたいってお願いしても、

キスするまで出さないって言い張っていたのよ」


「したんですか?」


「してないわ」


「ならアルカは無罪ね。

まあ、好きにして良いとは言ったのだけど。

けれど、私達にとってはついさっきだもの。

いきなりアルカが次の女を連れてきたら流石に傷ついてしまったわね」


「・・・」


『アルカ!ほら!今です!

これはあれです!フリってやつです!

今謝ってしまいましょう!』


「「アルカ?」」


「いえ、あの・・・」


「言いたいことはハッキリ言って下さい。

どんな事を選んでも認めてあげます。

我慢せずに好きにして良いと言ったはずですよ?」


「例えさっきそう言ったばかりで、

アルカもついさっきまで飲み込めていない様子だったのに、

いきなり愛人を連れてきても認めてあげるわ。

だってそう言ってしまったもの。いきなり反故にしたりしないわ。

ええ。私もそう思っているの」



「二人とも怖いわ・・・」


「そんな事はありません。

アルカにやましい気持ちがあるから勝手にそう思ってしまうだけです」


「そうよ。信じて?一度口にした言葉には責任を持つわ。

アルカとは違うもの」


「そうですね。私達はアルカとは違います。信じて下さい」


「なんで私はそうだって信じてるの・・・」


「「アルカだし」」


「大体ね、アルカの言う事を疑ったりなんてしないのだけど、

数年間監禁されていたといきなり言われても実感出来ないのよ。

ついさっきまで私達は一緒にお話していたの。

少なくとも、私達の認識はそうなの。

それがいきなり数年経ったから愛人が出来ましたなんて言われても納得できないのよ」


「本当に数年経ったのならアルカなら仕方が無いとは思いますけどね。

少なくとも私達は許可が出た直後に愛人を連れてきたようにしか見えないのです。

もちろんアルカの言葉は疑っていませんけどね。

ちゃんと目に見える証拠もあることですし」


「そうね。本当にさっきまでとは別人の様な気配ね。

そんなお手軽に強くなれて良いの?」



「手軽なんかじゃないんだってば!

本当に酷かったんだから!

何度も何度も泣いたのよ!

ノアちゃんとセレネに会いたくて堪らなかったの!」


「大丈夫です。信じています」


「そうよ。だから何があったのかちゃんと話してね」


『私から話しましょうか?』


「「ニクスは黙ってなさい!」」


『はい・・・』

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