表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

295/1361

17-1.我慢

「また妙ちきりんな体になりおって・・・」



念の為、私達の部屋に様子を見に来たルネル。



「今回ばかりは私のせいじゃないと思うのだけど・・・」


「お主に隙があるからそうなったんじゃろうが!

毎度毎度心配ばかりかけおって!

もう少しノア達の事も考えんか!」


「考えてるわよ!

今更ルネルに言われなくたって!

皆に言われなくたって!

ノアちゃんの事もセレネの事も!

ずっと一番に考え続けてるわよ!

何で皆そんな事いうのぉ!

どうして信じてくれないのぉ!

もういやだよぉ!

だれにもきらわれたくないのに!

るねるにだって、

のあちゃんにだって、

せれねにだってきらわれたくないのに!」


『「「アルカ!」」』


「ニクスに優しくしたらいけなかったの?

リヴィにもアリアにもルカにもレーネにも好かれたいと思ったらダメなの?

きらわれないとすきでいてくれないの!?

私だけがわるいの?

だから皆で責めるの?

もういやだぁ!!!

もうお母さんもお父さんもお姉ちゃんも会えないのに!

私の家族はみんなだけなのに!」



「アルカごめんなさい!

アルカ!大丈夫ですから!

ずっと側にいますから!

大好きですから!

嫌いになんてなりませんから!」


「アルカごめんねアルカ!

私達自分の事ばっかりよね!

アルカだってずっと頑張ってたんだよね!

ずっと我慢してたんだよね!

私達にどんなに責められても耐えてくれてたんだよね!

ごめんね!私達もアルカの事ちゃんと考えるから!」



「すまん。二人とも。

アルカの事を頼む」


ルネルは部屋から立ち去った。



『アルカ!アルカ!

気をしっかり持って!

さっき干渉を受けた影響だから!

少し不安定になっていただけだから!

アルカ!大丈夫だから!皆いるから!

誰も嫌いになんてならないから!』



「アルカごめんなさい。

勝手なことばかり言って全部押し付けて」


「アルカ。大丈夫。

大丈夫だから。一緒にいるから」


『アルカ!泣いていいから!

だから負けないで!』




暫くして落ち着いた私は二人に謝罪する。



「ごめんね二人とも。

あんな事思ってないから。

皆が私の事を嫌いになるなんて思ってないから。

私が悪いんだってわかってるから」


「違うんですアルカ。

アルカの言ったことは正しいんです。

アルカが悪いんじゃないんです。

だからもう抱え込まないで下さい。

ちゃんと吐き出させてあげなくてごめんなさい。

アルカに頼り切りで、甘えて押し付けて、

そのくせアルカの事を責めて言い分も聞かなかったんです。

気持ちを聞いてあげなかったんです。

私達が悪いんです。

アルカのせいじゃありません」


「ごめんなさいアルカ。

アルカの気持ちをもっと聞かせて?

今更こんな事言ってごめんね?

三人で力を合わせようなんて言ったくせにアルカに甘えてばかりだよね?

もう責めたりなんてしないから。

アルカがいっぱい考えてくれてるのも信じてるから。

皆の事が好きなアルカのままでいていいんだから。

もう変わってくれなんて言わないから」



「違うの!私が!・・・

私は二人に我慢させたくなんてないの。

私が我慢すればそれでいいの。

ちょっとさっきはおかしかっただけだから。

干渉の影響が残ってただけだから

もう大丈夫よ。

あとでルネルにも謝らなきゃ。

ちょっと恥ずかしいわ」



「やっぱりアルカも我慢してるんじゃないですか。

もう良いんです。

そんな事は必要ないんです。

私達は誰か一人が我慢するんじゃダメなんです。

話し合っても答えなんか見つからないかもしれません。

けれど、もう我慢するのは止めて下さい。

私達にアルカの本心を教えて下さい。

アルカも私達に寄りかかって下さい。

頼って下さい。

頼りないですけど頑張って支えますから。

セレネと二人ならアルカの事くらい支えられますから」



「けど・・・」


『アルカ。無駄な抵抗です。

私がアルカの本心を全てばらしてしまいますよ?

自分の口で話すほうがマシでしょ?』


『・・・イジワル』





「私は二人に我慢させるのは嫌なの。

私がニクスに必要以上に優しくしたからこうなったのはわかるの。

けど、じゃあ必要って何?

どこまでだったら良かったの?」


「私は辛そうにしてるニクスに手を差し伸べるべきじゃなかったの?

ニクスが元気になったらそれ以上は仲良くしないように気をつけるべきだったの?

心の中まで読まれてしまうのにどうやってそんな事するの?」


「ニクスは私の世界の知識も持ってるの。

私も久しぶりにそんな話が出来て楽しかったの。

本当は我慢しなきゃいけなかったの?

私が話したくて話したのは間違いだったの?」


「私がそんな事をしていたから二人は我慢するしかなかったの?

私はどうすればよかったの?」


「二人に我慢させず、悲しませず、

ニクスの辛い気持ちを楽にさせてあげて、

故郷の事を話せる相手と好きなだけ話して、

そんな都合の良い方法は無かったの?

どこかで、どれかは切り捨てなきゃいけなかったの?」



「私にはもうわからないの。

頑張っていっぱい考えた。

考えすぎてまた邪神にも干渉された。

けどやっぱり、都合の良い方法なんて思いつかないの」


「ノアちゃんにもセレネにも

嫌われたく無いし我慢させたくない」


「けれど、他の皆の事だって切り捨てられない。

皆に好きになってもらいたい。

別に恋人になりたいって言ってるんじゃない。

家族として、友達として好きになってもらいたいだけ。

ただそれだけなのに・・・」


「勝手なことばかり言ってごめんね。

ノアちゃん。セレネ。

嫌いにならないで・・・

こわいよ・・・

こんな事を言ったらいなくなっちゃうかもって怖くてたまらないよ・・・」





「大丈夫です。話してくれてありがとう。

絶対にアルカの事を嫌いになったりしません。

アルカに悪いところなんて一つもありません。

私達が悪いんです」


「アルカはただ優しいだけなんです。

皆が頼って取り合ってしまうだけなんです。

私達はそれがわかっていなかったんです」


「どうにかして独り占めしようとしていただけなんです。

アルカの優しさに見合うだけの度量を持つべきだったんです。

皆に好かれるアルカが好きなのに、

他の人に好かれないでくれなんて意味がわかりませんよね」


「そんな矛盾したお願いにもアルカは必死に応えようとしてくれました。

こんなになるまで頑張ってくれました。

だからもう良いんです。

私達のお願いが間違っていたんです。

アルカは良く頑張ってくれました」


「我慢しなきゃいけない私達が悪いんです。

私達の心が狭いからアルカを苦しめたんです。

アルカが苦しむ必要なんて無いんです。

我慢する必要なんてどこにもないんです」



「アルカ。私もノアと同じ気持ちよ。

沢山我儘言ってごめんなさい。

沢山悩んでくれてありがとう。

私達の事をこんなに好きでいてくれてありがとう」


「これからはアルカのしたいようにしてね。

私達はちゃんとついていくから。

我慢なんてしないで受け入れるから。

そう出来るように、今度は私達が頑張るから」


「だからアルカは休憩ね。

また私達が頑張れなくなったらお願いね。

そうやって一緒に生きていきましょう。

もうアルカに頼り切りなのは止めるから。

だからずっと側にいてね」



「ノアちゃん・・・セレネ・・・」


その後は上手く言葉が出てこなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ