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16-17.誓い

私は一人、別荘の前で考え込んでいた。



二人は既にベットの中だ。


今日は元々泊まっていくつもりだった。

本当なら今頃、三人で仲良く寄り添っていただろう。



けれど、私のせいで台無しになってしまった。

私はまだ横になる気にはなれず、

一人、夜風に当たることにした。



「アルカ。少し良いですか」


「どうぞ。ノアちゃんも風に当たりに来たの?

ここは涼しくて良い場所ね」


「そうですね。

ですが、それだけじゃありません。

アルカ。本当にごめんなさい。

私のせいで台無しにしてしまいました。

アルカが折角準備してくれたのに、

私がどちらかをこの場で選ぶようになんて言ったせいで、

全て無駄になってしまいました。

本当に本当にごめんなさい」


泣きながら抱きついたノアちゃんは、

そんな事を言い出した。



「違うわ!ノアちゃんのせいなんかじゃない!

全部私のせいよ!

私が悪いの!

私がちゃんと考えてなかったの!

私が酷いことを言ったの!

お願い!ノアちゃん!

お願いだから泣かないで!

自分が悪いなんて思わないで!

ごめんなさい!

そんな風に思わせてしまって!

ノアちゃんが後悔している事にすら気付かなくて!

本当にごめんね!」



また私も涙が溢れてくる。

ノアちゃんを抱きしめながら。


二人で抱き合いながら、泣き続ける。



「ごめんね二人とも。

私が調子に乗ったせいよ。

アルカの気持ちはずっとわかってたのに。

アルカが頑張ってくれた事が嬉しくて堪らなかったのに。

舞い上がって調子に乗ってアルカを追い詰めて。

私のせいでアルカに酷いことを言わせてしまったの。

ノアの事もいっぱい傷つけたの

ごめんなさい!」


いつの間にか来ていたセレネが私達を抱きしめながら泣いていた。




長い事そうして抱き合っていた。





少しだけ落ち着いた私達は抱き合いながら話しを始めた。



「アルカ。やっぱり指輪着けてほしい」


「私もお願いします。

もう一番だとか言いません。

そんな事よりアルカと一緒にいれる事の方がずっと大事なんです。

例えアルカに嫌われたって、一番になれなくたって、

一緒にいられなくなるよりずっと良いんです!

そんな事も忘れて我儘言ってごめんなさい。

だからお願いです。

私にも着けて下さい」



「二人ともぉ!本当にごめんなさい!

私のせいで!私が二人の気持ちを!」


「アルカ!もう良いですから!

もうそれ以上は止めて下さい!

もう謝られたくなんて無いんです!

後悔なんてさせたくないんです!

アルカもきっと同じ気持ちでしょ?

だから、もう止めて下さい。

本当の本当に仲直りしましょう。

一緒に笑いましょう」



「わかった。ありがとうノアちゃん。

それにセレネも。

もう謝らないから。

笑っているから」


「「はい!」」





「アルカ。ノアからお願い。

ノアを最初にしてあげて」


「何言ってるんですかセレネ!

私はもうアルカの一番でなくても良いんです。

アルカとセレネが笑っていてくれるならそれで良いんです!

アルカ!セレネを一番にしてください。

セレネに先につけてあげて下さい!」


「ダメよ!ノアが先!

ノアが一番なの!

私はもうノアを泣かせたくないの!

あんな悲しい気持ち感じて欲しくないの!

私の気持ちなんて塗りつぶされるくらい悲しでるのが伝わってくるの!

なのにどうしてそんな事言うの!?」


「二人とも落ち着いて!

それではまた同じ事になってしまうわ!

笑いましょう!

とにかく一度、ちゃんと落ち着いて、

笑ってからにしましょう」


「「うん・・・」」




それから私達は、

地面に座り込んで、

夜空を見上げながら、

少しずつ、話し始める。


最初はぎこちなかったけど、

少しずつ、いつもの調子を取り戻していく。



「じゃあ、アルカお願いね」


セレネはノアちゃんを拘束して私に自身の指輪を渡してくる。



「セレネ!これはズルいです!

拘束を解いて下さい!

こんなやり方は卑怯です!」


「だってノア納得しないじゃない」


「セレネが一番なんです!

それにその指輪はセレネのでしょ!?」


「私とノアの交換しましょう。

何だかそれも良いとは思わない?

私達の繋がりも強くなる気がするの」


「セレネ!

アルカ!ダメですよ!着けたら怒りますよ!」


「ごめんね。

きっと、どちらが先でも揉めるから。

このまま着けさせてもらうね」


「ダメですってば!

無理やりすることじゃないでしょ!」


「大丈夫よ。

私は二人ともを一番だと思っている事に変わりはないわ。

もうその気持を理由に考えることを止めたりはしないけど、

それでも、どちらが先でも意味は一緒よ」


「そんな話しをしているんじゃありません!

セレネ!わかりましたから!

せめてこの拘束解いて下さい!

ちゃんと着けてもらいたいんです!」


「本当に?

解いた瞬間逃げ出そうとしない?」


「・・・しません!」


「アルカやっちゃって!」


「ノアちゃん受け取って!

一生側にいてね!」


私がノアちゃんの手をとって、

指輪を着ける直前、

ノアちゃんの拘束は解除された。


私はそのまま指輪を着ける。

そうして、ノアちゃんの手の甲にキスをする。



「はい。一生側にいます。

アルカとセレネのためだけに私は生き続けます。

何千年でもそうすると誓います」


「私も誓うわ。

ありがとうノアちゃん。

受け入れてくれて」


「はい。

こちらこそ。

次はセレネの番です。

お願いします。アルカ」



今、ノアちゃんの左手の薬指には、

最初にセレネにあげた指輪がついている。


私はノアちゃんに最初にあげた指輪を受け取る。

今度はこれをセレネに着ける番だ。



「セレネも。

改めて受け取ってくれる?

私と一生を共にすると誓ってくれる?

どれだけ喧嘩しても、

どれだけ私が情けなくても、

諦めずに側にいてくれますか?」


「誓うわ。

絶対に私はアルカから離れない。

どれだけアルカに嫌われてもそれは変わらない。

私の一生もアルカとノアのためだけに捧げるわ。

何万年でもそうすると誓うわ」


「ありがとう。

私も誓うわ。

セレネとノアちゃんを笑顔にするためだけに生きるわ」



私はセレネにも指輪を着けた。


セレネの手の甲にもキスをする。



顔を上げると、

セレネが唇にキスをしてくれた。


ノアちゃんも続く。



段取りも、気持ちも、

何もかもがグダグダ過ぎるけど、

ようやく二人と繋がれた。


結局、最後まで二人の優しさに助けてもらったけど、

私の決意は変わらない。


二人に安心してもらえるように。

寄りかかってもらえるように。


順番は変わったけど、

絶対にやり遂げて見せる。






「次はアルカの番です。

どっちに着けてほしいですか?」


「ノアよ」


「セレネです」


「何だか押し付け合いをしているみたいになってきたわよ」



「「そんなわけないでしょ!」」

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