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16-10.講義

私はルネルとの訓練の合間に、

グリアの講義も受けていた。


神力を魔力の代わりに使って、

魔法を発動する技術の習得を目指している。


あと、グリアはこの技術を神術と呼んでいる事が判明した。

思ったよりそのまんまな名前だった。



『なんなのこの人・・・』


ニクスはグリアの技術に衝撃を受けていた。


というか、実は似たような技術は既に存在するそうだ。


グリア自身はそんな事は知らない。


自分では神力を扱う事も出来ないのに、

魔法の知識を参考に新たに生み出したのだ。


グリアの知識チートぶりにニクスがドン引きしていた。




ただ、神術では、

私のイメージした魔法を使える能力は利用出来なかった。


どうやら、魔力にしか対応していないようだ。

色々と勝手に補助してくれる割には、

相変わらず変なところで融通が利かない。



『せっかく頑張って考えたチート能力あげたのに

そんな言い方しなくても・・・』


『ごめんね!!そうよね!これニクスがくれたのよね!

いつもとっても助かってるわ。ありがとう』


『・・・頑張ってアップデートしますから、

それまでに体の問題を解決して下さい。

容量が足りなきゃ更新作業も出来ないんですから』


私はパソコンなのかな?



『ちなみにその能力にはリアライズって名前がですね!』


『・・・』


『不評のようですね。

他の名前を考えます・・・』


いかん。私の気持ちを読み取って勝手に落ち込んでしまった。

メンドくさいなこの子。



『アルカぁ・・・』


『そんな事で一々落ち込まないでよ!

あなた一応神様でしょ?

メンタル弱すぎない?』


『どうせ私なんて・・・』


『ごめんって。大丈夫よ。

名前なんて何でも良いのだから。

ただ名前で言っても他の人には伝わらないから私達だけで使いましょう?

なんだか秘密の合言葉みたいで面白くない?』


『はい!そうしましょう!』


やっぱチョロいな。



『アルカ!』


『はいはい。

ところで、ニクスも本来の神術を教えてくれる?

せっかくならそっちも習得したいのだけど』


『神術なんて名前でも、

そもそも神力なんて名前でも無いんですが・・・

けど、良いです。

皆に伝わる事も大事ですもんね』


『私達だけ本来の名前を使ってもいいけど、

こっちは元々他の人も使ってる言葉だから止めておきましょう。

別の名前で呼びわけたら混乱してしまいそうだわ』


『仕方がないです。

アルカの為に私が合わせてあげます』


ニクスのドヤ顔が脳裏によぎる。



『けれど、その神術を教える事はまだ出来ません。

その為にはもう少し神力を扱えるようになって下さい。

その辺りは魔法と同じです。

魔力操作を習得して初めて魔法が使えるようになるのですから』


『そう言われてみればそうね。

まずはこっちで出来ることをやってみるわ。

ニクスが良いと思ったら教えてね』


『はい!』






「アルカ!」


今日の講義が終わった私に、

リヴィが駆け寄ってきた


「どうしたのリヴィ?」


「むかえにきた!」


「ありがとう。一緒に行きましょう」


私はリヴィを抱き上げて中庭に向かう。

次はルネルの訓練の時間だ。



「ルネおばあちゃ~ん!」


中庭に到着し、

ルネルを見つけたリヴィがルネルに向かって呼びかける。


私はリヴィを地面に降ろす。

今度はルネルに駆け寄っていくリヴィ。


リヴィに抱きつかれて頭を撫でるルネル。

どうやらまだ少し戸惑っているようだ。


リヴィは元々魔物だ。


リヴィが卵の頃、

ルネルは魔物を育てる事に難色を示した。


しかも、今度は人化魔術までかけられている。

ルネルにとっては全てが認め難い存在だ。


けれど、優しいルネルにリヴィはすぐに懐いた。

純粋な笑顔で懐いてくる幼子を無碍に出来るルネルではなかった。


リヴィが近づいてくれば今のように撫でてあげるし、

リヴィが困っていたら自ら手を差し伸べるくらいはする。

それでも、まだ受け入れがたいのだろう。


リヴィに罪はない。

ただ生まれがそうであるだけだ。


ルネルもそれはわかっている。


悪いのは全て私だ。


かといって、この件でルネルが私を責める事はなかった。

もう呆れ果てて言葉も無いのか、

無垢なリヴィを否定するような言葉を口にしたくないのか。



そんな経緯で今のような関係が続いている。


私も意図的にリヴィを遠ざけるような事はしていない。


ルネルを気遣うなら私が行動すべきなのだろうか。


どの道もう、今更だ。


既にリヴィは懐いてしまった。


今更引き離しても説明のしようもない。


ルネルが何も言わないのに、

私が勝手にそんな事をするべきじゃないと思う。


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