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16-3.聖女の機嫌

セレネはギルドに辿り着く頃には機嫌を直してくれた。



まあ、私の正体バレが怖いから、

宿とギルドはかなり離れているのだけど。

なんたって町の反対側だ。


殆ど町を横断するまでの間、

セレネの機嫌は悪かったとも言える。


ごめんて・・・



セレネがギルドで依頼を受けている間、

私は少し離れたところで気配を消して隠れていた。


アリア達と出会ったのもこんな路地裏だったかしら。


アリアとルカは元気かな。

突然、連絡も無く一月以上も行けなくなってしまった。


まだ当面は会いに行けないだろう。

手紙でも出しておくべきかしら。


流石に厳しいか。

私との接点がバレる可能性も出てきてしまうだろうし。



王様の計らいで、

アリアの部屋なら無許可で城に入って良いと言われている。

なので、普段アリアのところに行くときは、

直接部屋に転移しているのだ。


まあ、流石に先に小型転移門でアリアへの確認はしているけど。



ルカと人間態になったリヴィも合わせてみたい。

きっと素晴らしい光景を見れる事だろう。



「アルカ・・・

まだ怒らせたいの?」


いつの間にか戻ってきていたセレネがまたキレている。

折角持ち直したのに・・・



「依頼受けてきてくれたのね!

ありがとうセレネ!早速行きましょう!」


「ダメよ。

その前に、今のだらしない顔の理由を教えなさい?

あれはリヴィに向ける顔だったわ。

私やノアではなく」


「はい・・・」


素直に吐く私。



「アルカは本当に私達の事を安心させる気があるの?

そういう妄想をするなとまでは言えないけど、

せめて見つからないようにする配慮は出来ないの?」


「・・・すみません。

気をつけます・・・」


「本当にどうしたら良いのかしら。

せめて私と二人きりの時くらい、

私の事だけを考えてほしいのに」


「はい・・・」


「私達が一番になりたいって言っているのは、

アルカのそういう所が嫌だからでもあるのよ?

少なくとも、それが改善されなければ、

二人ともが一番なんて世迷い言、絶対に認めないわ」


「ごめんなさい・・・」


「別に謝ってほしいわけじゃないのだけど。

まあ、良いわ行きましょう。

あまり遅くなって、ノアを待たせたら本末転倒だわ」


私はセレネの手を取って指を絡める。



「もっと早くても良いのよ?

戻ってきたのに先に気付いて

自分から近づいて来た上で

そうやって手を取ってくれれば完璧ね」


セレネ細かい・・・



ちょっと今日は蔑ろにしすぎた。

セレネは普段絶対にここまで言ったりしないのに。


ごめんね。セレネ。



「どんな依頼を受けてきたの?」


私はセレネに積極的に話しかけてなんとか失態を挽回しようとする。


セレネも少しずつ機嫌が良くなっていく。



そうして、

何とか仲良く依頼を達成する事に成功した。

低ランク依頼のハズなのに、

いつもの依頼の何倍も難しく感じたわ・・・



依頼を終わらせて宿に戻ると、

既にノアちゃんとリヴィも宿に戻っていた。


明日には出発しようとしていたノアちゃんに、

もう一日この町に滞在したいと相談する。


本当の誕生日はあと数日先だが、

旅の途中で都合良く大きな町に寄れるわけではない。

明日お祝いをする事にしよう。




次の日、

私達はノアちゃんが喜びそうな物を探して町を歩く。



「なんだか久しぶりにデートしている気分だわ。

まあ、他の女の子へのプレゼントを買いに来ているのだけどね」


「今度改めて誘わせて?

余裕が出来たら連れていきたいと思っていたところもあるの」


「楽しみにしてる」


本当に嬉しそうに答えてくれた。

セレネ可愛い。



ノアちゃんの誕生日は結構難しい。

セレネと違って服飾品に興味はない。

何度か髪飾りとかもプレゼントしているのだが、

普段、身につけてはくれない。


まあ、たまに取り出してニコニコしながら眺めているから喜んでくれてはいるのだけど。



装備品の類はへパス爺さん謹製のハイスペック品を使っているので、

そこらの店で買っても見劣りしてしまう。

というか、もはや子供の玩具にしか見えないだろう。


そもそもそこまでの予算も無いし。



かといって、

形の残らないものにはしたくない。

それに、プレゼントとは別に今晩は豪華にご馳走するつもりだし。



二人で悩みながら町を巡る。



「アルカ。ノアが付けてるわ」


突然セレネがそう囁く。



「私全然気付かなかった」


「私もパスがあるから距離の近さに気付いただけよ。

こんな町中でノアの気配なんて読み取れないわ」


「あれ?じゃあリヴィは?」


「さあ?宿に残してきたのかしら」


「ノアちゃんがそんな事するかなぁ?」


「お昼寝中だったとか?」


「少しだけって出てきたのかな?

そんなに気になったのかしら」


「多分、私がアルカと出かけたのに、

ノアの事ばかり考えたから気になってしまったのでしょう。

けど、まだ誕生日の事は気付いていないはずよ。

その辺は鈍いから」


「まだ昔の境遇が抜けきれていないのかしら。

もっと頑張らないと」


「いえ、多分別にそういう事じゃないわ」


「え?」


「ともかく、どうやって撒くか考えないと。

もしくはリヴィの事が気になって戻るまで時間を稼ぎましょう」


「じゃあ、それまでは普通のデートにしちゃう?

私達が別れてそれぞれにプレゼント探しを続けてもいいけど、

私だけじゃノアちゃんに付けられてもわからないわ。

細かく連絡を取る手段も無いのだし、一緒にいましょう」


「そうね。それは良い案だわ。

私達がイチャイチャしている姿を見せつければ

ノアなら気を使って引き下がるでしょうし。

その代わりに今度ノアもデートに誘ってあげてね?」


「もちろん!」


私達はノアちゃんが離れていくまで、デートを満喫した。


ノアちゃんが引き下がったという事は、

きっとセレネも心からデートを楽しんでくれたのだろう。

そう考えると私もとっても嬉しくなった。


今度はノアちゃんとも楽しもう。

三人で行くのも良いなぁ。

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