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16-1.旅の続き

私達は一ヶ月以上の時間をかけて未だに旅を続けている。



私の魔法が使えない事は想像以上に旅に影響したのだった。


転移や飛行魔法が使えないのは勿論のこと、

収納魔法が使えないことも問題だった。


以前なら、何も考えずに真っ直ぐ目的地に向かうことが出来た。


私はそんな旅に慣れきってしまっていたのだが、

収納魔法が使えないと、

水や食料を定期的に補充する必要がある。


持ち歩ける量にも限界はあるし、

日持ちの問題もあった。


これまでのように、

どんな食材でも良いというわけにもいかない。

ちゃんと日持ちするものを確保しなければならないのだ。


しかももうすぐ秋とはいえ、未だ気温も高い。

十分な水分も必須だ。


セレネが浄化できるとはいえ、

川等がある場所も限られる。


そうして、

補給や路銀稼ぎのために町を経由せねばならず、

旅のルートも制限されるのだった。






一応セレネも収納魔法は使えるのだが、

以前グリアが懸念していたように、

魔法陣の収納魔法には限界があった。


セレネの手のひらサイズに描く必要もあったため、

効果はかなり制限されている。


杖一本を出し入れするので精一杯のようだ。



ちなみに、

もう一つの手袋は完全に戦闘特化の機能のようだ。

こっちは未だ本当の機能を教えてくれてはいないが、

どうやらたまにセレネが異常な速度で反応する時の補助の役割があるっぽい。


昔教会でセレネと模擬戦をした時に

ズルをしていると言っていたのはこれの事のようだ。


しかも、手の平には殆ど常に覚視対策をして

発動すら気付かれないようにしている。


ノアちゃんとの模擬戦で

追い詰められたセレネが稀に隙を晒したことで、

ようやくこの機能に気付く事が出来た。




セレネとも何度も模擬戦をしているのに、

全然手の内を探らせてくれない。


セレネは戦術の隠蔽を徹底している。


手の内を見破られるくらいなら、

その戦闘中には全ての手札を切らず、

次回に持ち越す判断すらしている。


ノアちゃんは使える手札を全て使い切ってでも、

一つ一つの戦闘を勝ちにいくタイプだ。


その差のせいか、

未だノアちゃんですらセレネに手球に取られる時も少なくはない。


本来の相性は致命的に悪いのに、流石セレネだ。



まあ、セレネがそこまでしても勝ち越せない

ノアちゃんの成長速度も大概なのだけど。





ノアちゃんってこの世界的には一体どういう存在なのだろう。


特に力も貰っていないのに、

勇者や聖女、そして魔王に迫る力を自力で得たのだ。


まあ、それより遥かに強いルネルって裏ボスもいるのだけど。


ニクスが無理して頑張らなくても

この世界なんとかなるんじゃない?



『そう都合良くはいかないのです・・・』


一瞬ニクスのぼやきが聞こえた気もするけど、

きっと気のせいだ。

そんな無駄な事に力を使うわけがない。



『・・・』


ニクス?

何か言いたいことあるなら聞くよ?

色々溜まってるのだろうし。


早く気軽に愚痴をこぼせるくらいまでは力が回復すると良いのだけど。



『・・・チョロい』


は?

今なんて!?

ニクスってもしかして猫かぶってる?

あの殊勝な態度はわざとなの?



やっぱ心閉じようかしら。



『どうか警戒を。

少し心配になってきました』



そんな事言うために力の無駄遣いしなくて良いわよ!

折角、あれから一月何事も無かったのに!



『お気遣いありがとうございます』


『いつかちゃんと話しをしてね。

困っているのなら力になるから』


『はい。いつか必ず。

感謝します。アルカ』



それっきり、

またニクスの声は聞こえなくなった。


最後は嬉しそうな声音だった。

呼び方が変わったのは距離が近くなったからなのかな。



ニクスも意外と普通の女の子なのかもしれない。

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