表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

265/1363

15-11.行先

セレネは冒険者の三人について町に戻る。


私達はこっそり後を付ける事にした。


セレネの受注した依頼の分も済ませてあったので、

報酬だけ受け取ったら早めに町を離れる事にしよう。


あまり一処に留まり続けるわけにはいかない。

私の正体がバレれば面倒な事になる。


私、何も出来ないどころか、

足まで引っ張っているのね・・・



やばい・・・魔王化しそう・・・

今はセレネも近くにいないのだから、

変なこと考えて勝手に落ち込んでいてはダメだ。


ノアちゃんの尻尾でも見て落ち着こう。



「何かありましたか?」


私がノアちゃんをじっと見ていたのに気付いたらしい。



「尻尾とお尻が可愛いなと思って」


「・・・程々にしてください」


何故かお許し頂けたので遠慮なく程々に?眺める事にしよう。



「リヴィもあるよ!しっぽ!」


リヴィが私の前でお尻を振り始めた。

なにこれ可愛い。鼻血出そう。



「アルカ?」


ノアちゃんの冷たい声が届く。



「リヴィは純粋な可愛さなの!

ノアちゃんのぴっちりしたショートパンツに包まれたお尻にはそれとはまた違う魅力が!」


「黙って下さい」


「ごめんなさい・・・」


私が項垂れるとリヴィが手を握ってくる。



「ふたりともけんか、めっ!」


リヴィに手を引かれて、

ノアちゃんの手も取ったリヴィに導かれて握手する。


右手と左手だから不自然な握手になってるけど。

可愛いリヴィの気遣いに余計な茶々は入れるまい。


一瞬そう思ったけど、

手を繋いだ私達を見て嬉しそうに笑うリヴィに、

ノアちゃんと二人で吹き出してしまう。



「リヴィ。握手はこうです。

リヴィもしましょう」


ノアちゃんはリヴィの手を取ってお手本を見せる。



なにこれ可愛い。

二人でニコニコ手を取り合っている姿にグッと来る。

もう暴走はしないけど。



そうして、リヴィを中心に三人で手を繋ぎ直して歩き出す。

後でセレネとも手を繋ごう。

ノアちゃんとももっと繋ごう。

リヴィとだっていっぱい繋ごう。







私達が町に辿り着く頃には、

セレネもギルドでの報告を済ませて町の外で待っていた。


魔物の討伐報酬も既に受け取ったようだ。

彼らはちゃんと約束を守ってくれたのだろう。


少しのんびりしすぎたかもしれない。



「三人ともズルいわ!私も混ざる!」


セレネはそう言って私の手を握る。


そうして四人で広がって、次の町へと歩いていく。



吹きさらしの街道には、

見渡す限り他の人も馬車もいない。

こんな田舎でそうそう旅人もいないだろう。


たまにはこんな事するのも悪くはない。



最初はどうなる事かと思ったが、

こんな旅も中々良いものだ。



「それで、当面の資金も確保出来たことですし、

次の町で準備を整えたら目的地を定めましょう。

アルカはどう考えていますか?」


「ここからなら自宅のあるピレウスの町が一番近いのよね。

けど、どの道魔法が使えない事にはどうしようもないから、

真っ直ぐにセレネの教会があるクリオンの町に行きましょうか」


「グリアさんを頼るのね。

神力で魔法を使えるようにしないと、

ルネルさんを探すのも難しいものね」


「今はまだエルフの国には戻っていないのでしょうか」


「ええ。少なくとも数日前に話した時はそうだった」


「収納以外の魔法も以前のように使えるようになるのでしょうか。

会いたい相手のところに転移先を指定できるって、

アルカのイメージした魔法を使える能力の賜物なんですよね?

本当に神力でも同じことが出来るのでしょうか」


「・・・なんとも言えないわ。

ただ、収納空間さえ開ければ杖が取り出せるかもしれない。

そうすれば杖の力で周囲の魔力でも魔法が使えるかもしれないのよ。

杖自体にも魔力が溜め込まれているしね」



「そっちも確実とは言えないよね?

収納空間の座標も能力頼りで意図的に定めていたわけではないのでしょう?」


「収納魔法が使えるようになっても、

杖の座標がわからなければ取り出せないわ。

いっその事、ヘパスお爺ちゃんに頼んで新しい杖を作って貰った方が確実じゃない?」



「そうなんだけどね・・・

杖さえあれば魔法が使えるようになるとも確実には言えないから、

グリアにその辺りの事も調べてもらった方が良いかなって」


「魔法が使えない理由が、素質が失われたのか、魔力が無いからなのかって事ね」


「ええ」


「魔力の有無は私でも上手く視えないんですよね。

完全に無くなってしまったのか、

神力が強すぎて下に隠れているのか。

少なくとも今のアルカの力は、

私では底が見通せない程に強大です」


「ノアが無理なら私達にも無理ね。

それが出来てしまうグリアさんってよく考えたら凄まじいわね」


「装置ありきとはいえね。

本当にお世話になりっぱなしだわ」


「そうですね。

それに、ルネルさんにも会えれば、

全て解決しそうな気はします。

会うために魔法が必要なので言っても仕方ないですが」


「いっそギルドにルネルさんの捜索依頼を出せば良いんじゃない?」


「その為には私の正体を明かさないと難しいでしょうね。

人探しなんて依頼の為にギルドの通信網を利用するにはSランク冒険者の立場を利用するしか無いわ」


「リスクが大きいのですね。

アルカの事だけでなく、ルネルさんにも目を付けられかねないですし。

それに、それで見つけられるとも限りません」


「まあ、ともかくグリアさんに会いに行きましょう。

きっと何とかしてくれるわ。

もしかしたら、ルネルさんも教会に来て、待っていてくれるかもしれないし」


「そうね。ルネルならそう判断するかもしれないわ。

とりあえずの行先は決まりね」


「ですね!」







「15-6」の誤字報告を下さった方、ありがとうございます!

皆様、いつも読んで下さりありがとうございます!

とても励みになっております!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ