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15-3.マッチポンプ

「何があったの?」



数時間後に目覚めたセレネは、

変わり果てた私達の様子を見て問う。



「ノアちゃんが虐める」


私は顔を手で覆っていた。



「アルカに神力の使い方を教えていたんです」


ノアちゃんはツヤツヤしている。



「ノア。あなたのその満足感は何?

あなた一体アルカに何をしたの?

女神は言っていたはずよ。

アルカの心の余裕が無くなれば干渉を受けると。

ちゃんとわかっているの?」


セレネにガチ説教されて落ち込むノアちゃん。



「・・・すみません。

調子に乗りすぎました」


「セレネありがとう。

ちょっと悪ふざけしていただけなの。

大丈夫だから。安心して?」


「本当?

なら良いけど」


「今度は私が休みます。

セレネ、アルカをお願いします。

アルカはまだ頑張るつもりなので、

セレネも手伝ってあげて下さい」


「もちろん。

ノアもありがとう。

しっかり休んでね」


「はい」


起き上がったセレネに代わって、

今度はノアちゃんが私の膝に頭を乗せる。


ついさっきまであんな事をしておいて、

何の躊躇いも無く近づいてきたわねこの子。


私はまだ少し落ち着かないのに。


ノアちゃんはそんな私の内心に構わず、

私のお腹に顔を埋めてすぐに眠ってしまった。

それ息苦しくないの?

私はくすぐったいのだけど。

なんだかいつもより過敏な気がする・・・



「ノアにはキスしなくて良いの?」


「さっきいっぱいされたから大丈夫」


「本当に何をやっているのよ・・・」


「私もそう思うわ・・・」


「ともかく、神力の使い方よね。

本当は女神の言っていた事も先に整理しておきたいけど」


「いえ、そうしましょう。

少し私も休憩したいわ」


「ノアはよっぽどスパルタだったの?」


「そんなとこ」


「・・・まあ良いけど。

女神の言っていた事をまとめてみましょう」






----------------------




女神は私に謝意と感謝を示した。


私が勇者と聖女を女神の元に導いた。

私はそれ以外にも世界を救っている。


邪神は外の世界の神である。

邪神の干渉に抗う力を早急に身につける必要がある。


そのために、女神は私に加護を与えた。

加護は神力以外にもう一つ力がある。


その力は魔王には与えられなかった。

私はセレネと接触した事で条件を満たした。

力の使い方はセレネが導く事ができる。


干渉は心を強く持ち、認識する事で妨害できる。

そもそも、余裕をなくさなければ干渉自体されない。


私に干渉してくるのは、

邪神だけではなく、世界そのものでもある。

私は世界に異物と認識されている。


女神の力を取り戻せば助けてくれる。


初代聖女アムルを許し、助けて欲しい。





----------------------






「まずは、私を召喚した事を謝っていたわね。

私はもう世界を救っているとも」


「そうね。

少なくとも女神は悪意を持って

アルカを利用しているわけではないようね。

それに、言葉通りならアルカの役目は

もう終わっているのかもしれない」


「まあ、魔王やルネルの話しを聞いて、

なんとなく女神は悪い存在では無いんじゃないかとは思っていたけど」


「私への試練といい、

今回のアルカへの加護といい、

もう少しどうにかならないのとは思うけどね」


「魔王も女神の取る手段については言葉を濁していたものね。

昔からああなのでしょう」




「次はアルカが私達を女神の元に導いたから、

力を与える事が出来たって言っていたわね」


「ルネルの言っていた事も合わせて考えると、

私が導いたから二人は勇者と聖女に選ばれてしまったのよね・・・」


「例えそうでも、

アルカが気に病む必要なんてないわ。

そのお陰で私はアルカを守れるのだから。

それだけは、女神にも素直に感謝してあげても良いわ」




「ありがとう。

その次は邪神は外なる神だと言っていたわね。

つまりこの世界の外に存在する神であり、

外敵なのよね」


「邪神自体は滅びていないのだから、

本来、外敵に対する存在である、

勇者と聖女にもまだ役目があるのかしら」



「どうかしら。

流石に世界の外の存在をどうにかできるとは思えないのだけど」


「もしかしたら女神が力を取り戻せば防げるのかしら」


「魔王が邪神に取り込まれたのは女神の全盛期よ。

そんなはずはないわ」


「そうよね・・・」


「女神は言っていなかったけど、

私と魔王は共に外の世界から来た存在よ。

邪神は私達だからこそ干渉できるのではないかしら」


「可能性はありそう。

けど、ならなんでわざわざ異世界から呼び出すのかがわからない。

自ら爆弾を抱え込むようなものなのに」


「私は何かの役目を果たしたようだけど、

魔王の役目ってなんだったのかしら。

もしかしたらそこにもヒントがあるのかもしれない」


「アルカの役目はいくつもあったような言い方だったよね。

魔王もそうだったのかも」



「その中でも勇者と聖女を連れてきた事を言及していたわね。

ある意味、私と魔王の共通点とも言えるわ」


「極端に言えば、魔王も勇者と聖女を導いたとも言える。

勇者と聖女は異世界から来た者が選んだ者なのかも」



「自分が倒されるために選ぶなんて酷い皮肉だわ。

異世界から来たことで邪神から目を付けられているのに、

その時に備えて自ら準備させるなんて・・・

けど、なんかあの女神ならやりそうね・・・」


「世界の仕組みとして必要ならたぶんね」




「「やっぱあの女神・・・」」

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