14-24.ブレブレ
私はノアちゃんを連れてセレネの寝室に転移した。
レーネはリヴィと一緒に寝ている。
結界も張っておいたし、
リヴィもそれなりに強い。
レーネ一人なら守りきれるだろう。
とは言え、早めに帰れるよう頑張ろう。
「ノアまで連れてどうしたの?」
「ちょっと相談したい事があってね。
ということで、第、えーと何回だっけ?
第四回、家族会議を始めます!」
「「・・・」」
「どうしたの二人とも?
前みたいに拍手してくれないの?」
「このタイミングって事はレーネを迎え入れたいのね?」
何故バレたし!?
「アルカの事、本当に信じてたのに・・・」
ノアちゃん!?
ガチ泣きしそうになってる!?
「違うの!私は悪くないの!!!」
「言い訳はいらないからちゃんと説明して」
セレネ声が冷たい!?
どうしてこんなに信用が無いのかしら・・・
説明の仕方、気をつけようと思ったのに初っ端からやらかした・・・
私は狼狽えながら人魚の王様に頼まれた話しをする。
「なんでキッパリ断らなかったの?
アリアの時はグダグダだったとはいえ、
受け入れられないと言っていたじゃない」
「えっと・・・なんでだろう?」
「いくらなんでも一貫性が無さ過ぎじゃない?
アルカがそんなんだから疑ってしまうのよ?」
「はい・・・ごめんなさい」
「まあ、アルカの事だから、
断わる口実が見つからなかっただけでしょう?
もしかしてアルカって、
レーネの事をリヴィと同じような枠で見ているの?
普段なら私達に他の誰かが加わるなんて嫌がるじゃない」
「そうよね・・・なんで?」
もしかして私はレーネをペット枠だと思ってるの?
それは流石に不味かろう。
というか、
リヴィの方も人間態を得た事でいろいろ揺らいでるし・・・
今はノアちゃんの娘として見ているから
まだ問題になっていなかったけど。
レーネを頼まれた時の事を思い返してみると、
娘さんを預かる事と、
ノアちゃんとセレネに怒られる事は気にしていたのに、
レーネが家族に加わる事自体に抵抗があったわけじゃなかった。
アリア達の時でさえ、
家族に加わる事に少なからず抵抗があったと言うのにだ。
単に数日間共に行動して、
私もレーネの事を親しく思っているから?
それとも、あの公園での光景のせい?
ダメだ・・・
自分の事なのに全然わからない・・・
「アルカ。信じて良いのですか?
やっぱりレーネにも興味が出てきたのですか?
年下の方が良いのですか?
それともおっぱい大きい方が良いのですか?
私も成長したら大きくなるでしょうか?
アルカが望むなら不老魔法も解いて下さい!
何でもアルカの望むようにしますから!
だから・・・」
あかん。ノアちゃんもぶれっぶれだ。
あまりの不安に怒りすら忘れて、
涙目で縋り付いてきてしまった。
「信じて!少なくともそんな気持ちは無いわ!
私が恋人にしたいのはノアちゃんとセレネだけなの!」
「アルカぁ・・・」
私はノアちゃんを抱きしめて頭を撫でる。
「はあ。
ノアも役に立ちそうに無いわ。
アルカ。ちょっとこの話は落ち着いてからにしましょう。
とりあえず今日の所は状況の把握だけという事で」
「ごめんねセレネ。
私のせいで・・・」
「別にもう怒ってないわ。
私もレーネの事は友達だと思っているし、
今のレーネを放って置けないのもわかるもの。
目を離したらまた行倒れてしまうかもしれないわ。
そんな事になったら後悔してもしきれないもの」
「ありがとう。私達ももう少し考えてみるから」
「その前にノアの事をよろしくね。
何時までも悲しんでいたら私にはわかるんだからね」
「直ぐに落ち着かせるわ。絶対よ」
「大丈夫。信じてる」
私はノアちゃんを抱えて、
自宅に転移した。
レーネとリヴィには悪いけど、
もう少しだけ待ってもらおう。
まずはノアちゃんと二人きりで話して落ち着かせてあげたい。