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14-22.観光

私達はテッサの町に転移した。


どこの町に行くべきかはかなり悩んだ。


観光なら王都かとも思ったが、

万が一、レーネを見た人々が騒ぎになっても面倒だと思い断念した。


白いワンピースで地上から浮いて滑るように移動するとか、

どう見てもお化けだ。



私達の家があるピレウスの町や、

セレネの住む教会のある町等は、

騒ぎになった後の影響が面倒なので止めておいた。


アリアの所も同様だ。



港町は食料問題があるから論外だ。

あそこには大量の魚や貝が売られている。

あんなの見せたらレーネがショックを受けてしまう。




テッサなら魔物の襲撃事件の際に何度も上空を飛んでいる。


仮にレーネの事を気付かれても、

側にいるのが私なら勝手に納得してくれる可能性も高いだろう。


それになにより、あの町なら普段の生活には影響無いし。


最悪ギルド長さんに何とかしてもらおう。



そんな理由でテッサに行くことを決めた。




レーネはリヴィに手を引かれている。

リヴィに任せて本当に大丈夫かしら?


なんだかリヴィが張り切っていた。

もしかして、自分の方が歩けるから

お姉さん気分なのかな?


レーネも満更でも無さそうだったので任せてしまったけど。



端から見るとはしゃぐ子供に手を引かれるお母さんだ。

なんとも微笑ましい。


ノアちゃん。手が痛いわ。

それはどっちの感情なの?

リヴィを取られたから?

私がレーネを見すぎていたから?


というか、そんなに気になるなら、

ノアちゃんもリヴィと一緒に行けばいいのに。


この町ならノアちゃんもよく知っているし、

顔見知りが多いのだから、案内もしやすいだろうし。



「私まで行ってしまったらアルカが可愛そうです」


本当に?

本当にそれが理由?



「良い加減怒りますよ」


「ごめんなさい」


「ほら、二人を見失ってしまいます。急ぎますよ」


案内しようと思っていたのに、

リヴィとレーネは興味の赴くまま自由に動き回っている。


二人ともまだ上手く喋れない。

一応、レーネには知らない人に念話を使わない様に言ってある。


その代わりに、

何か気になる度に私に念話を飛ばしてくれる。


そうやって後ろから付いて歩きながら、

色々紹介していく。


ちょっと想像とは違うけど、

喜んでもらえて何よりだ。




『美味しいです!

美味です!幸せです!』


二人は屋台を見つけるなり飛びついた。

私は全員分購入して皆に行き渡らせる。


レーネだけでなく、

リヴィもノアちゃんも美味しそうに食べている。


レーネ人間になって

一生地上で暮らすとか言い出さないかしら。



またいつもの様に屋台巡りをしながら町を練り歩く。



いつの間にかノアちゃんは私から離れて、

リヴィと手を繋いでいた。


リヴィはノアちゃんとレーネに挟まれて嬉しそうだ。


三人が並ぶとノアちゃんがパパ役に見える。

どう見ても仲良し親子だ。



私はどういう立場なのだろう?


娘夫婦を見守るお婆ちゃん?


彼女を寝取られて、

未練がましくストーカーしてる人?



何か変な事を考えてしまった。


セレネでも呼んでしまおうかしら。


さっきはノアちゃんにああ言われて

からかってしまったけど、

実際に一人放置されると少し寂しい。


けれど、流石に四人で手を繋ぐのは邪魔だろう。


まあ、今日は接待役だ。

ゲストが楽しんでくれる様に裏方に専念するとしよう。




その内に、ノアちゃんに唆されたのか、

レーネがギルドに行きたいと言い出した。


ノアちゃん・・・

ギルドは観光スポットじゃないのよ・・・



ゲストのご要望なので渋々連れて行く。

テッサに来たのは失敗だったかもしれない。


私は外で待ってるから、

ノアちゃん達だけで行ってきてくれない?

ダメ?

そうすか・・・



前回と同様に大歓迎を受けていると、

ギルド長さんが出てきた。



「アルカどうした?

何でまた突然?

ノアの連れている子供って・・・

お前まさか!?」


「何を想像しているのか知らないけど、

あの子はリヴィアよ。

地下の国で何度か見かけたでしょう?

あのドラゴンの子供よ」


「リヴィアだと?

だがノアにそっくりじゃないか。

まさか!魔法で!?」


「私の意図した事じゃないの!

人化の魔法をかけただけよ。

見た目がそっくりな理由はわからないわ」


「そっそうか・・・」


「何引いてるのよ!!!」


「いや、悪い。つい。

ところで言い辛いんだが、

お前ノアと別れたのか?

あの女性はどういう関係だ?」


「よくそんな事聞けたわね!?

というかそんなわけないでしょ!

あの子はノアちゃんより年下よ。

私達の友達なの」


「なんだ。アルカのハーレム候補か」


「友達って言ってるでしょ!!」


「何時までもこんな所で騒ぐのは止めてくれ。

話があるなら奥で聞くぞ」


「あなたのせいでしょ!!!

というか、ここの人達の歓迎っぷりの方がよっぽどじゃない!」


「アルカ、もう皆静かになっているぞ。

お前がここの者達の前で普通に喋るのは珍しいしな。

アルカからそんな大声が出るのかと驚いているぞ」



私が我に返って周囲を見回すと、

本当に周囲が静かになっていた。

急激に恥ずかしさで顔が熱くなる。



結局、その後は、

またも興奮した冒険者達や職員達に囲まれる事になった。

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