14-21.ぐだぐだ
私はレーネに人化魔術をかける。
リヴィの時と同じ様に、
レーネの全身が光に包まれる。
そうして、光が収まると足の生えたレーネが現れた。
「!?」
あ!やば!
私は慌ててレーネに水中探索用の魔法をかける。
「ゴホッゴホ
ハアハアハア」
危うく窒息する所だった。
水圧とかもやばかったかもしれない。
何も考えずに深海で人間態にしてしまった。
ここは普通の人間が活動できる環境では無い。
あまりにも水中探索魔法が快適過ぎて、
何かいろいろ感覚が麻痺していた。
『ごめんなさい!
レーネ大丈夫!?』
『もう大丈夫です。
危うく死ぬかと思いました』
ごめんなさい・・・
『これが人間さんの体ですね!
ありがとうございます!
夢が一つ叶いました!感謝です!』
もう元気になったようだ。
自分の足に興味津々だ。
なんだかちょっと妙な気分になってくる光景だ。
幼い顔の美女が際どい水着姿で、
水中に浮かんで足を撫で回したり、
曲げ伸ばしたりしている。
ごめんなさい。ノアちゃん。
今のは私が悪いわ。
抓られてるのも甘んじて受け入れるわ。
人化魔術で変身後は、
どこからか出現した服を着ている。
いつも通りの親切仕様だ。
リヴィは白いワンピースだった。
ちゃんとパンツも履いていた。
レーネの場合はボトムスだけだが、
元々着用していたトップスに合わせたデザインだ。
これらの服って、
脱いだ状態で変身解いたらどうなるのだろう。
どこにあっても消滅するのかな?
それとも変身する度に増やせるのかな?
もしくは再変身時に何も履いてないとか?
というか魔力で物質の生成してるの?
代償とか無い?大丈夫?
鱗とか素材にしてない?
脱いで戻したら鱗剥げたりしない?
まあ、あまり深く考えるのは止めておこう。
なんだか怖いから、
一応元に戻す時には今の服装になってもらおう。
『早速地上に行ってみましょうか。
今度は私達が案内するわ』
『良いんですか!
嬉しいです!すっごく嬉しいです!
是非お願いします!』
私達は一度テントに転移する。
その途端、レーネは地面にしゃがみこんでしまった。
「あえ?」
「レーネ?
もしかして立てない?」
『そうみたいです・・・』
考えてみたら当然よね・・・
今まで足なんて無かったのだし、
そもそも自分の体重を支える事すら初めてだろう。
「ふんぬ!」
なんとか立ち上がろうとするレーネ。
リヴィは直ぐに慣れたけど、
レーネは厳しそうだ。
流石にこれはマズいかもしれない。
一から立って歩ける様になるのって
どれくらい時間がかかるのかしら。
やむをえまい。
私はレーネに飛行魔法をかける。
飛行魔法には重力軽減機能がある。
「え!え!?」
推進力の方は、
流石に自分以外を地上生活出来る程に微調整するのは面倒だ。
代わりに私が手を引くとしよう。
私はレーネの手を引いてテント内を歩き回る。
ちょっと浮いてるけど大丈夫かしら。
段差とかで調整するのも面倒ね・・・
どうしよう。
やっぱり車椅子でも用意するべきかしら。
それとも少しずつ重力軽減を解いて歩く練習するべきかしら。
結局、なんとか飛行魔法を改良して、
地面から少し浮いている程度を自動で維持できるようにした。
これで細かい段差とかも大丈夫だろう。
後は丈の長いスカートでも履かせて足元を隠せば大丈夫かな?
今は夏だから暑いけど。
幸いレーネの背格好は私と同程度だ。
胸囲も同じくらいだし。
腰は・・・ちくせう
レーネのスタイルの良さに
なんとも言えない気持ちになりながら、
収納空間から服を探していく。
持ってないわね・・・
そもそも最近は殆どスカートなんて履いてないから、
今のサイズで良い感じのが無い。
一度買い出しに行ってきましょう。
私はノアちゃんにレーネを任せて町に転移する。
私が選んだのはアリアと来た店だ。
以前にも応対してくれた店員さんに希望を伝えると、
良い感じの白いワンピースを持ってきてくれた。
流石に足元まで完全には隠れないけど、
何となく視線を逸らせそうなデザインだ。
胸元開きすぎじゃないかしら?
まあ、良いか。
着るのレーネだし。
元々、もっと露出度高いのだし。
ついでに麦わら帽子も購入して再びテントに戻る。
レーネに買ってきたばかりの服を着せると、
なんだかリヴィと親子みたいになってしまった。
二人とも似たような白いワンピース姿だ。
レーネとリヴィは喜んでいるけど、
ノアちゃんが複雑そうだ。
ごめんて。
それしか良い感じのが無かったの。
今度リヴィとノアちゃんの服も買ってあげるから。