14-18.人化
その日も結局見つからず、
一旦お開きになった。
リヴィはレーネの所に泊まりたそうにしていたが、
流石に水中で一晩、目を離すのには抵抗があったので、
連れて帰る事にした。
この子なかなかの人誑しよね。
連日他の女の子の家に泊まり歩いてるイメージだ。
やっぱり男の子だったりしないわよね?
それに、リヴィには手伝ってもらいたい事がある。
人化魔術の実験台だ。
まあ、実験台とは言え、
別に失敗する事はない。
今の私なら、作った段階で
上手くいきそうかどうかは漠然とわかるのだ。
そうでなければ不老魔術だって
いきなり試したりはしない。
私はノアちゃんが夕食の準備をしている間に、
リヴィに頼んでみた。
「ちょっと人化魔術を試して欲しいのだけど良いかしら?」
「キュイ!」
了承らしい。
実にあっさりしている。
早速リヴィに魔法をかけてみる。
リヴィの体が光に包まれて、
段々と姿が変わっていく。
「なんで?」
光が収まり現れたリヴィの姿は、
ノアちゃんにそっくりだった。
多分三歳くらいのノアちゃんだ。
というかセレネ?
でも顔つきは二人より無邪気な感じがする。
背中にはドラゴンの翼と尻尾が残っている。
「アウア?」
「リヴィ喋れるの?」
「あい!」
舌っ足らずだけど、
アルカとハイかな?
これは思った以上に上手く行ったのではないだろうか。
「ちょっとノアちゃんの所に見せにいきましょう」
私はいたずら心を抑えきれず、
そう提案していた。
「あい!」
リヴィは直ぐ様ノアちゃんの元に駆けていく。
最初は若干よちよち走りだったけど、
直ぐに人間の体に慣れていった。
「ママ!」
「にゃ!!
え!?リヴィなの!本当に!?
アルカ!!!!!」
やっべ。
ノアちゃんブチギレてる。
どうやら驚きすぎたようだ。
しかも直ぐに私の仕業と気付いたらしい。
恐る恐る近づいた私にどういう事かと詰め寄る。
「レーネの為に人化の魔術を作ってみたのだけど、
リヴィに練習台になってもらおうかなって・・・」
「リヴィに何かあったらどうするんですか!?」
「いえ、それは大丈夫って確信があったのだけど・・・」
「まったく・・・」
「黙ってやってごめんなさい」
「おめんあい」
リヴィも私の隣で頭を下げる。
「先に私にも相談して下さい!」
「はい」「あい」
「でもリヴィも喋れるのは嬉しいです。
いっぱいお喋りしましょうね」
「あい!」
「ところで何で私とそっくりなんですか?
アルカの趣味ですか?」
「もちろんノアちゃんの顔は大好きなんだけど、
何でこうなったのかは良くわからないの・・・」
「そうですか。
まあ、私の娘ですしね」
「ママ!」
リヴィがノアちゃんに抱きついていく。
「ママはご飯作ってるから
リヴィは一緒に離れていましょうね」
私が引き止めると、ノアちゃんからストップがかかる。
「大丈夫ですリヴィは賢いですから。
それに姿はともかくドラゴンです。
火傷の心配も無いでしょう。
私の側にいて大丈夫ですよ」
「あい!」
「ノアちゃん?まさかリヴィまで?
流石に幼いノアちゃんの姿しているからって、
リヴィにまで手を出したりしないよ?」
「・・・何の話ですか?
それより、セレネが呼んでいます。
さっきの私の驚きについて聞きたいようです。
リヴィの事は話さずに誤魔化してきてください」
「セレネも驚かすつもり?」
「・・・良いじゃないですか。
セレネにもそっくりなんですからきっと驚きます」